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マルウェア対策の5つのポイントと感染時の対処フローを解説

マルウェア対策の5つのポイントと感染時の対処フローを解説

2025 12/19
マルウェアによる被害は、企業・個人を問わず深刻化しています。感染すれば、データの消失や情報漏えい、業務停止など、事業継続に大きな影響を与えるおそれがあります。近年は攻撃手法が高度化し、従来のウィルス対策だけでは防ぎきれないケースも増えています。本記事では、マルウェアの基本知識から感染経路、代表的な種類、そして実際に企業が取るべき予防策や感染時の対処フローまでをわかりやすく解説します。専門的な知識がなくても理解できるよう、身近な例を交えながら安全対策のポイントを整理していきます。

※ 記事制作時の情報です。

1.マルウェアとは|定義とウィルスとの違い

マルウェアとは、「悪意のあるソフトウェア」を意味する言葉で、利用者企業に害を与える目的で作られたプログラム全般を指します。ウィルスランサムウェアトロイ木馬など、さまざまな種類がこの中に含まれます。よく耳にするウィルスは、マルウェア一種で、ウィルス自身がほかのファイルに入り込み、増やしながら広がっていくのが特徴です。イメージとしては、大きなカテゴリであるマルウェアの中に、ウィルスというグループ位置づけられています。

マルウェアとは|定義とウィルスとの違いのイメージ画像
(参考図解)

1-1. なぜ企業はマルウェアの標的になるのか

企業顧客情報取引データ技術資料などの貴重情報を多く保有しています。これらは攻撃者にとって金銭的価値が高く、転売恐喝対象となります。特に、ランサムウェアによる金銭要求取引先経由して感染を広げるサプライチェーン攻撃増加しています。例えば、ある企業感染すると、その取引先にも被害波及し、業務停止信頼低下につながるケースがあります。中小企業でも被害他人事ではなく、攻撃者セキュリティ対策の甘い組織を狙って侵入します。

2.警戒すべき代表的なマルウェアの種類

マルウェア手口目的多岐にわたります。ここでは、企業個人が特に注意すべき代表的な3つのマルウェアについて、その特徴被害例紹介します。

2-1. ランサムウェア|データを人質に身代金を要求

ランサムウェア感染したパソコン内のデータ暗号化し、復旧のために金銭身代金)を要求します。営業資料顧客データ暗号化され、業務停止するケースも多く、2021年には日本国内製造業医療機関被害を受け、復旧までに数週間を要した事例報告されています。攻撃者暗号化解除の「鍵」を売りつけ利益を得る仕組みです。こうした攻撃業務再開多大コストがかかります。

2-2. トロイの木馬|無害を装いシステムに侵入

トロイ木馬は、安全そうなファイルアプリを装って利用者インストール実行させるマルウェアです。インストールすると、内部バックドアと呼ばれる侵入口を作り、攻撃者遠隔から操作できるようにします。これにより、社内ネットワーク監視情報の抜き取り、別の攻撃への利用などが可能になります。感染後端末操作記録機密データ外部流出する危険があるため、注意必要です。

2-3. スパイウェア|気づかれずに情報を収集

スパイウェアは、利用者が気づかないうちにパソコン内の個人情報行動履歴収集し、外部送信するマルウェアです。収集されるのはID・パスワードクレジットカード番号閲覧履歴など多岐にわたり、オンラインバンキングログイン情報を盗み、不正送金悪用される事例があります。無料アプリインストール時や不審広告クリック侵入することが多く、一度感染すると被害範囲特定するのが難しくなります。

3.マルウェアの主な感染経路4選

マルウェア日常業務インターネット利用の中で、さまざまな経路から侵入します。ここでは、特に注意すべき4つの感染経路とその特徴紹介します。

3-1. メール|添付ファイルやURLリンク

特に多い感染経路メールです。業務連絡請求書を装ったメール添付されたファイルを開いたり、本文中リンククリックしたりすると感染するケースがあります。こうした手口標的型攻撃メールと呼ばれ、実在する取引先名乗るなど、受信者を巧みに騙すのが特徴です。見分けるポイントは、送信元アドレス不自然な違い、文面不自然日本語開封を急がせる内容などです。

3-2. Webサイト|不正広告や改ざんサイト

Webサイト閲覧だけで感染する、ドライブバイダウンロード攻撃警戒必要です。これは、正規サイト広告スクリプト不正に改ざんされ、アクセスしただけでマルウェア自動的ダウンロードされるものです。利用者特別操作をしなくても感染するため、被害に気づきにくい点が特徴です。OSやブラウザプラグインを常に最新状態に保ち、不要拡張機能無効化しておくことで、攻撃を受けにくい環境を整えられます。

3-3. 外部メディア|USBメモリなど

USBメモリ外付ハードディスクを通じた感染依然として多く見られます。特に外部取引先個人使用したUSBにウィルス仕込まれている場合接続しただけで自動的マルウェア起動する危険があります。社内使用するデバイスウィルススキャンを行い、私物の持ち込みを制限するルールを設けることが重要です。また、社外とのデータ授受クラウドストレージ利用するなど、より安全方法への移行有効です。

3-4. ソフトウェア|OSやアプリの脆弱性

ソフトウェア脆弱性セキュリティ上の欠陥)を突いた攻撃も増えています。古いOSやアプリを使い続けると、既知脆弱性悪用され、外部から不正アクセスを受ける危険があります。特に更新通知無視したまま放置すると、攻撃者にとって侵入しやすい環境を自ら作り出すことになります。定期的アップデートを行い、公開された修正プログラムパッチ)を速やかに適用することが被害防止基本です。

4.マルウェア感染のサインと企業が受ける被害

マルウェア感染のサインと企業が受ける被害のイメージ画像

マルウェア感染時に見られるサイン被害など、次の4つのポイントについて紹介します。

  • PCの動作不良不審表示などの感染サイン
  • 機密情報顧客情報流出
  • システム停止による業務への影響
  • 信用失墜損害賠償などの二次被害

4-1. PCの動作不良や不審な表示などの感染サイン

マルウェア感染したパソコンは、さまざまな異常を示します。次のような兆候が見られたら、感染可能性を疑いましょう。

起動動作が急に遅くなった

ブラウザを開くと不審広告ページ自動表示される

✓覚えのないアプリツール勝手インストールされている

ファイル名が勝手変更されている、または開けなくなっている

セキュリティソフト突然無効化されている

✓謎のエラーメッセージ警告画面頻発する

これらはマルウェア内部活動しているサインです。特に「ウィルス検出」などの偽警告表示して、有料ソフト購入させようとするスケアウェア存在します。異常を感じたらインターネット接続を切り、速やかにシステム管理者セキュリティ担当報告しましょう。

4-2. 情報漏えいや事業停止など

企業が受ける甚大被害企業マルウェア侵入されると、想像以上打撃を受けます。中でも重大なのは、顧客情報取引データといった機密の漏えいで、いったん信用が揺らぐと回復には長い時間がかかります。ランサムウェアではデータ暗号化され、システム停止によって工場店舗稼働が止まり、事業一時中断することもあります。さらに、復旧原因調査には多額費用発生し、経営への負担は避けられません。漏えいに個人情報が含まれていれば、個人情報保護法に基づく損害賠償行政処分を受ける可能性もあります。こうした一次被害に加え、ブランド価値低下といった二次的影響長引くことも珍しくありません。だからこそ、日ごろからの予防迅速初動対応整備が何より重要です。

5.マルウェア感染を予防する5つの対策

マルウェア脅威を防ぐには、日常的意識組織的対策両立が欠かせません。ここでは、企業実践すべき5つの基本対策紹介します。

マルウェア感染を予防する5つの対策のイメージ画像

5-1. セキュリティソフトの導入と適切な運用

セキュリティソフトは、マルウェアから企業システムを守る第一防御線です。ウィルス検知不正アクセス遮断に加え、最近ではAIによる未知脅威検出も行われます。導入するだけでなく、運用継続的に行うことが重要です。特に「パターンファイル」と呼ばれるウィルス定義データを常に最新状態に保つことで、新たな脅威にも対応できます。また、定期的フルスキャン実施して潜在的感染早期発見することも効果的です。法人向セキュリティソフトでは、複数端末一括管理できる機能も備わっており、運用負担軽減できます。さらに、クラウド型のセキュリティサービス導入すれば、社外端末リモート環境でも一貫した保護維持でき、最新攻撃手法に合わせて自動的防御内容更新される点も大きな利点です。

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5-2. OS・ソフトウェアのバージョンを最新に保つ

古いOSやアプリを使い続けると、セキュリティ上の欠陥脆弱性)が悪用されるリスクが高まります。開発元脆弱性発見すると修正プログラムパッチ)を配布しますが、適用を怠ると攻撃者標的になりやすくなります。特に、OSやWebブラウザ業務利用するアプリは、常に最新状態を保つことが基本です。自動更新設定有効にすることで、更新漏れを防ぎやすくなります。また、使用していないソフト削除しておくことも有効です。最新バージョンを保つことは、攻撃の入り口を減らす簡単確実対策のひとつです。さらに、アップデート適用記録管理台帳で残すことで、社内全体更新状況可視化し、運用上の抜けや遅れを防ぐことができます。

5-3. 従業員へのセキュリティ教育の徹底

マルウェアの多くは、社員操作ミスがきっかけで入り込みます。だからこそ、システム面の対策だけでなく、利用する人の意識を高める取り組みが欠かせません。不審メール安易に開かない、見覚えのないURLをクリックしないといった基本的注意が、感染防止直結します。なかでも効果的なのが、実際攻撃に近い形で行う「標的型メール訓練」です。定期的実施することで、従業員危険兆候に気づく力が養われます。また、社内セキュリティポリシーを分かりやすくまとめ、新入社員研修定期的勉強会に組み込むと、組織全体意識底上げできます。内容最新攻撃手口実際に起きた被害事例を取り入れながら更新し、一人ひとりが自分業務と結びつけて考えられるようにすることが大切です。

5-4. アクセス権限の最小化と管理

社内システムでは、すべての従業員が同じ権限を持つことはリスクにつながります。そこで重要なのが「最小権限原則」です。従業員一人ひとりに対し、業務遂行するうえで必要範囲アクセス権限だけを付与するという考え方です。例えば、経理担当開発用データベースアクセスする必要はなく、開発担当経理システムに触れる機会もありません。権限最小化することで、業務外情報閲覧誤操作を防げます。
また、マルウェア感染など不正侵入発生した場合にも、攻撃者システム内を自由移動できないため、重要データ他部門への侵入阻止されるのです。さらに、定期的権限見直し、退職者異動者アカウント削除することも欠かせません。こうした仕組みをIT部門連携して整備することで、安全透明性の高い情報管理体制維持できます。

5-5. 重要データの定期的なバックアップ

バックアップは、企業データを守るための最後の砦といえる存在です。ランサムウェアによりファイル暗号化されても、別に保存しておいたデータがあれば業務を止めずに復旧へ進めます。中でも広く用いられているのが「3-2-1ルール」です。3つのコピーを作り、2種類媒体に分け、さらに1つは別の場所に置いておくという方法で、トラブル発生時安全性が高まります。クラウドストレージ外付ドライブ併用すれば、障害災害にも柔軟に備えられます。自動バックアップ設定し、定期的復元テスト実施して、いざという時に確実に使える状態維持することが重要です。加えて、バックアップデータ自体暗号化して保管しておけば、仮に外部流出したとしても簡単内容を読み取られにくくなります。

6.マルウェア感染時の対処フロー

マルウェア感染時の対処フローのイメージ画像

感染が疑われる場合は、初動対応の速さが被害拡大防止の鍵です。初動を誤ると復旧時間コストがかかるため、あらかじめ手順を定めておきましょう。実際対応を3段階フロー解説します。

  1. 感染拡大を防ぐ(ネットワークからの隔離
  2. 被害状況確認関係者への報告
  3. マルウェア駆除システム復旧

1. 感染拡大を防ぐ(ネットワークからの隔離)

端末異変を感じたとき、使い続けるのは危険です。マルウェアネットワークを通じて広がるため、まず行うべきは「通信を止める」措置です。LANケーブルを抜く、Wi-Fiを無効にする、BluetoothやUSB接続をはずすなど、端末外部とやり取りできない状態にします。こうした初動が遅れると、社内サーバー共有フォルダにまで影響がおよび、ランサムウェア場合重要データが次々と暗号化されてしまうおそれがあります。隔離したら、ログ操作履歴が消えないように電源は切らずにそのまま維持します。

2. 被害状況の確認と関係者への報告

端末を切り離したら、次は被害がどこまで及んでいるかを確認します。異常発生した時間影響を受けたファイル直前操作内容などを整理し、通信履歴可能範囲確認します。状況がまとまったら、情報システム部門セキュリティ担当へ速やかに報告します。発生日時端末名表示された症状を伝えることで調査が進めやすくなります。顧客データ外部システム影響が出る可能性がある場合は、経営層広報部門にも共有し、早めに対応方針を固めておくことが重要です。

3. マルウェアの駆除とシステムの復旧

被害状況把握したら、専門ツールを使ってマルウェア駆除します。多くのセキュリティソフトには駆除機能が備わっており、検出された脅威安全削除できます。ただし、完全除去できない場合感染深刻場合は、システム初期化やOSの再インストール必要になることもあります。駆除後バックアップからデータ復元し、正常動作するかを確認します。また、感染経路特定して同じ原因による再感染を防ぐことも大切です。定期的監査対策見直しを行うことで、被害最小限に抑えつつ、将来的リスクにも備えられます。

7.【法人向け】マルウェア対策サービスの選び方

自社に適したセキュリティサービスを選ぶときは、次の3つのポイント確認しましょう。

1つ目は保護範囲です。守る対象端末だけなのか、ネットワーククラウドまで含むのかによって、必要サービスは変わります。攻撃手口は年々複雑になっているため、広い範囲保護できる仕組みを選ぶと安心です。

2つ目は運用体制です。セキュリティ対策は日々の監視分析が欠かせません。24時間監視インシデント対応提供するマネージドサービスであれば、専門部署がなくても安定した運用ができます。

3つ目がサポート体制です。問い合わせ窓口対応時間日本語サポート有無確認ポイントになります。導入支援が含まれるサービスなら運用開始スムーズです。

これらを基準検討することで、適したサービスを見つけやすくなります。

8.まとめ

マルウェアは日々進化を続けており、企業個人を狙った攻撃巧妙化しています。感染を防ぐには、技術的対策だけでなく、社員一人ひとりの意識改革も欠かせません。日常セキュリティ教育システム更新バックアップ体制などを継続的整備することが、効果的防御になります。もし感染が疑われた場合は、慌てず冷静初動対応を行うことが重要です。組織として明確手順責任体制を定め、平時から備えておくことで、万一の際も被害最小限に抑えられます。

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