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真正性とは? 情報セキュリティの重要性や対策方法を解説

真正性とは? 情報セキュリティの重要性や対策方法を解説

2025 9/30
データ改ざんやなりすましが巧妙化するいま、オンラインの情報が本物かどうかを確かめる力が欠かせません。情報の真正性 (しんせいせい) を確保することは、医療・金融・行政をはじめ、あらゆる分野で重要性を増しています。本記事では、真正性の意味と背景、認証・暗号・デジタル署名の仕組み、ビジネスの現場で使える対策、AI時代の最新動向までを、事実に基づいてわかりやすく解説していきます。

※ 記事制作時の情報です。

1.情報セキュリティの7要素

情報セキュリティの7要素のイメージ画像

情報セキュリティ確保するには「機密性」「完全性」「可用性」「真正性」「責任追跡性」「信頼性」「否認防止」の7要素を、業務要件に合わせて設計運用する必要があります。

  • 機密性: 権限管理暗号化で、許可ユーザーのみにアクセス許可します。
  • 完全性: ハッシュ検証デジタル署名変更管理で改ざんを防ぎます。
  • 可用性: 冗長化・バックアップ・災害復旧 (DR) 計画停止リスク最小化可能にします。
  • 真正性: 多要素認証 (MFA)、電子証明書デジタル署名暗号化を用いて人・端末情報正当性確認します。
  • 責任追跡性: 改ざん耐性のあるログ監査を通じて操作履歴を残します。
  • 信頼性: 堅牢設計テスト監視運用安定した稼働維持します。
  • 否認防止: 特定行為取引が行われたことを証明し、その行為を後から当事者否認されないようにするための手段を指します。デジタル署名タイムスタンプなどが有効です。なお、タイムスタンプとは、電子データに対して特定時刻記録し、そのデータがその時点存在し、改ざんされていないことを証明する技術です。

運用ポイントは、7要素が互いに影響し合うことを前提に考えることです。リスク評価を踏まえ、トレードオフ可視化しながら、最適バランス設計運用することが重要です。

2.真正性 (Authenticity) とは

真正性とは、情報・人・デバイス・通信が「本物」であると確認できる状態を指します。送受信者本人確認を行い、データ途中で改ざんされていないことを検証します。電子証明書多要素認証暗号化デジタル署名を組み合わせ、なりすましや改ざんを抑止することができます。さらに、タイムスタンプ監査証跡 (システムプロセスにおける操作活動履歴時系列記録したもの) と連携することで、誰が・いつ・何を行ったかを示せるため、否認防止トレーサビリティも高まります。信頼できる取引業務前提となる概念です。

真正性 (Authenticity) とはのイメージ画像

2-1. なぜ今「真正性」が注目されているのか

クラウドモバイル、SaaSの普及で、社内社外区別依存する考え方は成り立ちにくくなりました。ユーザー端末場所都度変わるため、アクセスのたびに「誰が・どの端末で・どこから」接続しているかを確認する必要があります。加えて、ディープフェイク生成AIを悪用した偽情報巧妙化するフィッシングにより、文書画像音声真偽見抜きにくい場面が増えました。電子契約キャッシュレス行政手続きのオンライン化が進むほど、発信者内容の正しさを裏付ける仕組みが欠かせなくなっていきます。こうした環境変化により、日々の意思決定事故防止土台として、真正性確保が強く求められています。

2-2. 真正性の重要性とその影響

真正性が崩れると、不正ログイン不正送金契約無効マルウェア混入ブランド毀損発生しやすくなります。対応する費用機会損失が膨らむだけでなく、各業界監督当局ガイドライン違反すれば罰則業務停止のおそれも生じます。一方真正性を高めると、電子契約決済信頼度が上がり、監査・コンプライアンス対応効率化できます。メール認証 (DMARC、SPF、DKIMなど) やコード署名端末アテステーション (デジタル証明を使い、端末信頼できる状態確認する技術) を徹底すると、サプライチェーン全体信頼底上げされ、オンライン取引利用拡大顧客体験向上に結び付きます。医療金融行政など厳格性が求められる領域でも、業務前提を支える基盤として機能します。

3.真正性を構成する3つの要素

真正性は、「認証」「暗号技術」「デジタル署名」の三位一体で成り立ちます。認証で人や端末正当性を確かめ、暗号技術通信データを守り、デジタル署名で改ざん検知否認防止担保します。この三要素並行して運用し、状況に応じて継続的検証することにより、ビジネス安定して真正性維持できます。

3-1. 認証

認証は「相手が誰か」を確かめる基盤です。ID/パスワードだけに頼ると突破されやすいため、知識所有生体三要素を組み合わせる多要素認証採用します。例えばパスワードパスキー (FIDO2、WebAuthnなど) やワンタイムコードを重ね合わせ、指紋顔認証裏付けます。さらに端末健全性接続場所利用時挙動評価し、ログイン後も継続的本人性確認します。こうした何重もの認証技術により、なりすましやアカウント乗っ取りのリスクを抑えられます。

3-2. 暗号技術

暗号技術は、データ秘匿性完全性を守ります。通信はTLS (セキュリティプロトコル) で暗号化し、保存データはAESなどの共通鍵暗号保護します。鍵の配布更新はPKI (公開鍵基盤) やKMS (鍵管理サービス) を使い、安全鍵管理徹底します。改ざん検知にはハッシュ (データ要約) やMAC (メッセージ認証コード)、あるいはAEAD (認証付暗号化) 方式を用います。加えて電子証明書検証することで接続先正当性確認でき、盗聴中間者攻撃成功確率を大きく下げられます。認証と組み合わせることにより、通信取引相手内容の正しさを一貫して担保できます。

3-3. デジタル署名

デジタル署名は、送信者秘密鍵生成した署名値データ付与し、受信者公開鍵検証する仕組みです。これにより、途中内容が変わっていないことを示し、当事者が後から関与否認できない状態に整えることができます。電子契約社内稟議ソフトウェア配布正当性確認などで広く利用されています。電子証明書無効になっていないかを確認する失効確認 (OCSP、CRLなど) とタイムスタンプ併用すると、署名有効性をより確実に保てます。こうした要素がそろうと、現場で求められる真正性水準安定して満たせます。

4.真正性を保つ対策方法

真正性を保つ対策方法のイメージ画像

真正性は、技術運用両輪維持します。認証暗号署名土台に、設定標準化し、鍵を適切保護して、利用者行動管理します。さらに監査可視化を重ねることで、日常業務の中でもデータ正当性を確かめられます。以下三点段階的整備してください。

4-1. ソフトウェア対策

まずソフトウェア面を強化します。アクセス管理重要コンポーネントであるIAMやPAMを整備し、多要素認証、SSO (シングルサインオン)、条件付アクセスゼロトラスト方針一貫運用します。これにより、誰が・どの条件アクセスできるかを統一的制御できます。続いて、脆弱性管理パッチ適用計画化し、構成管理設定ミスを減らします。メールはDMARC/SPF/DKIMなどの認証方式有効化して正当送信元のみ通過させます。さらに、アプリ配布更新にはコード署名必須化し、CI/CD (継続的インテグレーション継続的デプロイメント) で署名検証徹底します。最後に、統合ログアラート逸脱早期検知します。

4-2. ハードウェア対策

次にハードウェア面を固めます。端末の鍵は、セキュリティ強化のためのハードウェアコンポーネントであるTPMやSecure Enclaveに格納し、セキュアブートフルディスク暗号化有効化します。こうして端末信頼起点確立すると、上位認証署名安定して機能します。サーバー側ではハードウェアセキュリティモジュール (HSM) で証明書鍵分離保管し、ローテーション (定期的な鍵の交換) を自動化します。併せてモバイルデバイス管理 (MDM) と統合エンドポイント管理 (UEM) で資産ポリシー一元管理し、紛失時リモートワイプ情報流出を防ぎます。さらに、フィッシング耐性を持つ物理的認証デバイスであるFIDOセキュリティキー配布して、フィッシング耐性を高めます。

4-3. ユーザー対策

最後ユーザー面を整備します。定期的フィッシング訓練とeラーニング実施し、疑わしいリンク添付ファイルを開かずに報告する行動定着させます。加えて、アカウント棚卸しと最小権限継続し、休眠IDを計画的削除します。高リスク操作には複数承認体制整備し、申請承認監査ログ運用に組み込んで可視化を高めます。さらに、連絡先遮断手順明文化して周知し、インシデント初動対応迅速化します。

5.真正性の今後の展望と課題

クラウド活用リモート業務が広がり、境界で守る発想だけでは対応しきれなくなっています。これからはアイデンティティー中心アクセス判断し、ログ可視化自動化運用負荷を抑えることが重要になります。一方で、強力認証と使いやすさの両立コスト最適化レガシー環境との共存といった課題が残ります。ゼロトラスト段階的導入し、効果測定しながら改善を重ねていきましょう。

5-1. AI時代に必要な認証技術

生成AIやディープフェイク一般化が進み、発信者内容の出どころを確認する仕組みが欠かせません。画像音声動画・テキストには、改変履歴作成者情報付与して検証できるコンテンツ認証 (例: 来歴情報電子透かし) を取り入れてください。ログインはFIDO2やWebAuthnなどのパスキーを使い、フィッシングに強い方式移行します。ログイン後は行動的生体認証 (ユーザー行動パターン分析して本人確認を行う方法) や継続認証で、セッション中の本人性見極めます。端末側デバイスアテステーション健全性証明し、ソフトウェア供給網アーティファクト署名やSBOM (ソフトウェア部品表) 署名ビルドから配布までの改ざんを抑えます。これらを組み合わせ、技術だけでなく運用手順まで整えると、AI時代にも通用する真正性確保できます。

5-2. 世界標準化への取り組み

広い範囲信頼確立するには、標準化相互運用が要になります。運用枠組みは、情報セキュリティ管理国際標準ISO/IEC 27001・27002を参照し、本人確認強度はNIST SP 800-63 (デジタルアイデンティティガイドライン) を目安設計します。パスワードレス認証はFIDOアライアンスとW3C WebAuthnの仕様に沿って導入します。Web通信はIETFのTLS標準とCA/Browser Forum (証明書基準を定める業界団体) の証明書要件を守り、失効確認まで運用します。コンテンツ出自証明は、デジタルコンテンツ信頼性保証する標準であるContent Credentials (C2PA) といった共通仕様を用いて来歴を示します。自社ポリシー手順をこれらと照らし合わせ、段階的適用範囲を広げると、監査対応が楽になり、海外取引先ともスムーズ連携できます。

6.まとめ

真正性は、認証暗号・デジタル署名を軸に、データ正当性継続的に確かめる営みです。メール送受信から電子契約ソフトウェア配布クラウドアクセスまで、あらゆる業務プロセス真正性担保前提に動きます。多要素認証パスキーコード署名、TPM/HSM、ログ監査教育多層で組み合わせることにより、なりすましや改ざんのリスク抑制できます。AIとクラウド時代に沿った標準化自動化を進めていきましょう。

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