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AI (人工知能) とは、コンピューターが自然言語を理解したうえで、人間のように「学習」あるいは「推論」をする技術です。従来のシステムは、あらかじめプログラムで記載されたことしか実行できませんが、AIは大量のデータからパターンを学び、判断や推測を柔軟に行えます。
例えば、AIは防犯カメラの映像から人物や車両を自動で識別・分類や、音声認識や過去のデータをもとにした将来予測や異常検知が可能です。
AIの詳細は下記の記事を参考にしてください。
AIはこれまで人が担ってきた業務を自動化・効率化することで、企業活動にさまざまなメリットをもたらします。ここでは、AI導入の主なメリットを解説します。
AI導入により、定型作業やデータ入力などの繰り返し作業を自動化できます。例えば、日報の集計や資料作成をAIが自動で対応することで、作業時間を削減可能です。
その分、社員は企画や顧客対応など、人間ならではの判断力や創造性が求められる業務に集中でき、一人一人の生産性が向上します。
AIは、問い合わせの自動化にも対応可能です。例えば、AIチャットボットが顧客からの問い合わせに24時間対応すれば、少人数でも滞りなく業務を処理できます。
また、働き手の確保が難しい3K (きつい・汚い・危険) といわれる労働環境においても、AIによる監視・点検や自動搬送ロボットによる運搬作業などを導入することで、人に依存しない仕組みをつくり、慢性的な人材不足を緩和できます。
これまで人が行っていたデータ処理や在庫管理などの業務をAIで自動化・効率化することで、作業コストを抑えられます。さらに、24時間365日稼働できるため、シフト手当や残業代などの人件費も削減可能です。
AI導入には初期投資が必要ですが、長期的には人件費削減効果により投資回収が見込めます。
AIに定型作業や数値入力、書類の自動作成などを任せることで、社員の時間的な余裕が生まれます。空いた時間を商品企画やマーケティング戦略立案など、創造力が求められる業務に充てることが可能です。
その結果、組織全体の付加価値向上につながるでしょう。
AIは一定のルールやアルゴリズムに従って判断するため、体調や感情の影響を受けず、ヒューマンエラーを防止できます。例えば、会計業務ではAI-OCR (Optical Character Reader) が請求書から金額を自動抽出することで、入力ミスを防ぎます。
こうした仕組みをつくるには、タスクを自律的に実行するAIエージェントを活用すると、広範囲な領域で能力を発揮できます。
AIエージェントの詳細は下記の記事をご覧ください。
人間では時間を要する分析も、AIなら膨大なデータを瞬時に処理し、傾向やパターンを抽出可能です。例えば、販売データをAIで分析すれば、売れ筋商品や需要予測を即座に把握できます。
これにより、経営判断や意思決定の精度が向上し、戦略立案や業務改善の効率的な実施につながります。
AIを活用すれば、システムや設備の異常や変化をAIが早期に察知し、トラブルを未然に防げます。例えば、工場設備のセンサー情報をAIが常時監視し、異常の兆候を検知して事前にメンテナンスを行うといった活用が可能です。
結果として、業務停止や損失のリスクを大幅に低減できます。
AIを用いた進捗管理や情報共有の仕組みを導入すれば、場所に関係なく効率的に作業を進められます。例えば、AIがメンバーごとのタスク進捗を分析し、遅延を検知してアラートを送ることで、管理者は全体状況を把握できます。
結果的に、柔軟な働き方を実現しつつ、チーム全体の連携と生産性が向上するでしょう。
AIの導入はさまざまなメリットをもたらす一方で、注意点も存在します。
AIは学習したデータを基に、さまざまな判断や推論を生成するため、企業が持っている機密情報や内部情報をAIに学習させると、それらの情報が外部に公開されるリスクがあります。さらに、セキュリティ対策が不十分な場合、外部攻撃や内部不正により重要情報が流出するおそれもあります。
情報漏えいのリスクを低減するためには、ルール整備やセキュリティ教育を行うほか、専門知識をもつ担当者の配置も有効です。
明確なルールや運用体制がないとAIの活用が進まず、逆に混乱やトラブルを招くおそれがあります。例えば、利用ルールが不明確な場合、社員ごとに使い方が異なり、誤操作や情報漏えいの原因になりかねません。
ガイドライン策定や教育を通じて、社内全体で統一的にAIを利用できる環境を整備しましょう。
AIが判断を行った結果、トラブルや損害が生じた場合に、誰が責任を負うのかが曖昧になりがちです。例えば、自動運転車が事故を起こした場合、所有者 (運転者) と製造者のどちらが責任を負うかは、現在もなお議論が続いています。
AI導入前には、責任範囲を可能な限り明確にし、社内規定や契約に反映しておくことが重要です。
AIは学習データを基に判断・推論を行うため、学習データに偏りや誤りがあると、AIが不正確な情報を生成するハルシネーションのリスクが高まります。AIの出力結果を100%正しいという前提で業務を設計すると、信用を損ない、企業全体の評価が低下しかねません。
AIの結果は鵜呑みにせず、人による検証や補完を組み合わせる必要があります。
AI導入や維持には一定の費用がかかるため、使い方を誤ると投資以上の支出が発生するおそれがあります。AIに精度を求めるほど、学習データの収集・整備やモデルの開発・保守に手間とコストがかかります。結果として、想定以上のコストが必要となる可能性があるでしょう。
AI導入時は必要性を精査し、費用対効果を十分に検討することが不可欠です。
AIの仕組みは複雑であり「なぜその結論に至ったのか」を人間が理解しづらいことがあります。例えば、分析結果の根拠が不明確で改善点を特定できず、社内での説明責任を果たせないケースが考えられます。
AI導入時は透明性を確保し、結果を解釈できる仕組みを意識することが重要です。
AIは、すでにさまざまなシーンで活用されています。ここでは、AI導入によりメリットを受けた事例を紹介します。
KDDIは2025年3月10日より、お客さまセンターの問い合わせ窓口に、生成AIとデジタルヒューマンを組み合わせた「auサポートAIアドバイザー」を導入しています。
人間のような外見と自然な対話で、音声・テキスト・画像を用いて案内する仕組みです。これにより、混雑時でもすぐにつながり、利用者が迅速に問題を解決できる環境を実現しています。
KDDIは万全なセキュリティを施したChatGPTの社内版「KDDI AI-Chat」を、グループ1万人に対して運用しています。
実際の利用者からは「1日がかりだったプログラミングが2~3時間でできた」「集計が難しい自由記述方式のアンケートを効率的にまとめられた」など、業務効率が向上したという声が届いています。
AIの導入を検討する際は、リスクを十分に理解し、適切な対策を講じることが重要です。ここでは、AI導入のデメリットや問題点の事例を紹介します。
生成AIは過去の膨大なデータを基に新たなコンテンツを生成しますが、その過程で既存の著作物に類似した表現が含まれるリスクがあります。
2025年、米国の生成AI事業者に対し、日本国内の複数の報道機関が「自社の記事データを無断利用された」として、利用差し止めや損害賠償を求める訴訟を提起した事例もあります。
AIの生成結果をそのまま使うのではなく、たたき台やアイデア出しにとどめ、人の目で内容を精査・修正するルールを設けることが重要です。
AIが自律的に判断して行動する仕組みでは、事故や不具合が起こった際に「誰が責任を負うのか」が不明確になりやすいという問題があります。
過去には、自動運転機能を搭載した車両が関係する死亡事故をめぐり、システム側の不具合とドライバーの不注意が双方に原因として指摘され、裁判で争われた末に和解へ至った事例もあります。
AIを活用する際は、利用規約やマニュアルなどを熟読して適切な利用方法を守るほか、責任範囲も事前に確認しましょう。
AIを業務で活用するには、いくつかのポイントを押さえることが重要です。
AIは万能ではなく、業務課題に合わせて適切に設計しないと期待する効果は得られません。「顧客対応の負担を軽減するためにデータ分析を効率化する」など、解決したい課題を具体化することが重要です。
目的を明確にすれば、導入後の効果を測定しやすくなるほか、無駄なコストの発生も防げます。
AI導入はいきなり全社展開するのではなく、試行を繰り返すことが重要です。例えば、一部の部署でチャットボットや自動集計ツールを試験導入し、課題や改善点を洗い出します。その後、段階的に改善しながら導入範囲を拡大することで、リスクを抑えつつ効果的に活用できます。
AIの知見がない場合、社内で業務分析からAIモデルの選定、導入後の運用までをやり切るのは困難です。こうした場合は、外部のコンサルや専門家の活用を検討しましょう。
専門家に依頼すれば、初期の計画立案から導入後の運用支援まで一貫したサポートを受けられます。導入失敗のリスクを減らし、早期の成果創出が可能です。
AIは業務の効率化や生産性向上など多くのメリットをもたらす一方で、情報漏えいや責任の不明確さなどのデメリットも存在します。そのため導入時は、解決したい課題を明確にし、小規模に試しながら進めることが重要です。また、専門家の支援を受けることで失敗を防ぎ、安心してAI活用を推進できます。
KDDIは、AIの導入に必要な高度なセキュリティやセキュアな環境の提供から、導入時のコンサルティング、設計、構築までをトータルサポートし、安心してAIを活用できる環境を整備します。KDDIグループは、さまざまな業種・業務に対応した豊富なAIソリューションを提供しており、課題整理から設計・導入・運用までをトータルでサポートします。お客さまのビジネスに最適なAI活用を支援します。