多くの企業が利用している『クラウド』の基本を知り、ビジネスへの活用方法を知る本シリーズ。前回コラムでご紹介したとおり、クラウド導入において多くの企業がメリットとして挙げているのが『コスト削減』です。
今回は、なぜ『クラウド』でコストが抑えられるのか、導入後の運用の効率化について解説していきます。
システム導入時に考えなければいけないのが「導入時の初期コスト」と「運用時のランニングコスト」です。
『自社運用型 (オンプレミス型)』の場合は、自社内にサーバを置きシステムを管理するため、サーバ本体の購入費用に加えて、設定に関する人件費、必要なOSやソフトウエアの費用などを導入時に一括で支払うことが多いです。そのため初期投資が大きくなる傾向があります。またランニングコストとしては、サーバの維持メンテナンス費用はもちろん、障害時の復旧対応、バージョンアップ時にかかるコストなども見込んでおく必要があります。
一方、『クラウド』の場合は、初期費用 (無料の場合もあります) および、定額や従量課金という形でランニングコストを支払うことになります。しかし自社運用と比較し、初期コストでみると、サーバ本体の購入費用はかからず、設定やソフトウェアに関する費用も基本費用に含まれているなどしてかなり抑えることができます。また、運用コストにおいても、バージョンアップやメンテナンスは、サービス提供会社が行うため自社での負担は基本的になくこの点でもコストメリットがあるのです。
ここで考えなければならないのが、『総コスト: TCO (Total Cost of Ownership) (注)』です。システム導入コストを抑えるためには、「導入時の初期コスト」と「運用時のランニングコスト」、それぞれの中身を細かく見ていく必要があります。
企業によって異なりますが、機器などのコストや人件費も含め、下記のような項目を用意し、現在それぞれの項目にどの程度の費用がかかっているか試算してみるのが良いでしょう。
多くの場合で、『クラウド』の方が、コストメリットがあることを実感頂けるかと思います。
上でも述べたとおり、クラウドの導入により、ソフトウエアに関する費用についてもコスト削減を図ることが可能です。
従来は、ワープロソフトや表計算ソフト、プレゼンテーションソフトなどのソフトウエアは導入段階に必要な人数分のパッケージやライセンスを購入する必要がありました。そのため、途中で利用者が減ってしまいライセンスが無駄になってしまったというご経験をした方もいらっしゃるのではないでしょうか?
一方、クラウドの場合では、「使ったライセンス分だけのコストが発生する」のが基本です。具体的な料金体系はそれぞれのサービスによりますが、利用人数x月額で計算されることが多く、途中で利用者が減ってしまった場合でもライセンス数をいつでも減らすことができるなど、無駄な出費を抑えることが可能です。
例えば、半年間だけ集中して作業が発生するため臨時的に10名の派遣社員を雇用した場合でも、クラウドであれば『10名分のアカウントx6ヶ月分』のライセンス料金を支払うだけで済むなど、柔軟な対応が可能なのです。
総じて、『クラウド』を導入すると、初期コストは抑えられます。運用コストも必要にはなりますが、必要な分、利用した分だけの料金が発生する仕組みなので、自社運用システムと比較し無駄な費用は抑えられることが多いのです。自社の利用状況にあった、コストパフォーマンスの高い『クラウド』を導入することで、コスト削減が実現できる可能性は高いといえるでしょう。
システムやソフトウエアの導入検討の際に、『クラウド』を選択肢の一つとされることをぜひおすすめします。
■コスト削減を実現するクラウドサービス
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