スマートフォンの普及とともに、コミュニケーションがより手軽で身近なものになった要因として、通話、メールに続く新たなコミュニケーションツールの登場が挙げられます。その代表格と言えるのが、チャットアプリケーション『LINE』です。LINEの利便性をビジネスにも活用できれば、より効率的かつ活発なコミュニケーションが可能になるでしょう。
しかし個人向けツールとして広く普及している『LINE』をそのままビジネスの場面で活用することにはいくつかのセキュリティリスクをはらんでいる可能性があるのです。それはどのようなものなのでしょうか? そしてどのようにしたら回避できるのでしょうか?
今や日常のコミュニケーションツールとして欠かせない『LINE』。特に20代を中心に高い支持を得た理由には、スタンプ機能によって新しいコミュニケーション手段を確立したことに加え、直観的で使いやすいユーザーインターフェース (UI) が挙げられます。例えば『トーク機能』では時系列ごとにメッセージが羅列され、視覚的にも履歴が追いやすくなっています。操作性に優れた『LINE』は一気に普及し、国内では約7000万人 (出典: ワークスモバイルジャパン株式会社 調べ。2017/7/26時点) が利用している代表的なチャットアプリケーションとなっています。
また『LINE』の特徴的な機能である、相手がメッセージを読んだか分かる『既読』機能ですが、これは東日本大震災の教訓から付け加えた機能とも言われています。2016年の熊本地震の際も、LINEの既読機能で知人の安全が確認できたという報道もありました。『LINE』は単なる無料通話やチャットアプリケーションというだけではなく、すでにコミュニケーションインフラとしての役割を担いつつあるのではないでしょうか。
このように利便性の高い『LINE』は、最近、ビジネスの現場でも使われている例があるようです。具体的な利用例とその課題を見ていきましょう。
個人用ツールとして開発された『LINE』は、その便利さからビジネスでの活用を黙認している会社も少なくありません。例えば、多くのアルバイト、パートが働く小売業では、次のような利用シーンが考えられます。
【ケース1】
ある小売業では、社員に提供しているメールアカウントを、出入りの激しいアルバイトやパートへは発行していませんでした。そのため、出勤時間の調整や業務の連絡などは個人の『LINE』アカウントでやりとりしていていました。しかし、アルバイトやパートが辞めた後も、やりとりに使っていた『LINEグループ』にそのまま参加していた例が散見され、業務上の機密事項が漏えいしていたのでは? と問題になりました。
社内コミュニケーションツールとして、ビジネス向けのメールサービスやチャットツール、グループウエアなどを導入している企業も見られます。しかしながら社員同士は利用できても、パートやアルバイトにまでその利用権限を広げることはコストや手間の面でも負荷が高いため、ケース1のように見送っているケースも多いのではないでしょうか?
個人のお客さまと『LINE』でやりとりするケースも発生しています。お客さまとの接点が多い業種である飲食店でのケースをご紹介します。
【ケース2】
ある飲食店では、親しいお客さまとの連絡手段として、スタッフが個々人の『LINE』を使うことが多くなっていました。ところが、あるとき、『LINE』でやりとりしたはずの『予約』が取れていなかった事態が発覚。お客さまは予約の連絡を『LINE』で送ったけれど、なんらかの理由で予約が完了していなかったのです。当然クレームとなりましたが、担当スタッフが休んでいたため、店側でやりとりの履歴が確認できず、適切な対応に遅れが出てしまいました。
上記の小売店の事例では、お客さまとスタッフのやりとりを会社が把握できていないことが問題となっています。もしも事前に確認できていたら回避できたトラブルだったでしょう。しかしながら、スタッフのプライベートな情報も含まれる『LINE』を会社が監視するというわけにもいきません。
ではこのようなリスクを防ぐにはどのようにしたらよいのでしょうか?
上記のような情報セキュリティリスクを回避できるのが、LINEの持つ利便性を受け継ぎながらビジネスでの使い勝手を追求した<ビジネス版LINE>である「LINE WORKS with KDDI」です。
「LINE WORKS with KDDI」を利用することで、上記二つのケースに対し、以下のように課題解決が可能です。
【ケース1の場合:「管理機能」でパート、アルバイトのIDも簡単に管理】
従業員それぞれに「LINE WORKS with KDDI」のアカウントを発行し、『管理機能』を利用するのが有効です。発行した各アカウントを会社として一括管理することができます。管理者は、IDの発行や権限の制限、アクセス管理、退職時のID削除を容易に行う事ができるのです。また、ユーザーの利用権限は社内ルールに合わせて管理者がアルバイト用、正社員用、部長職以上用など、権限テンプレートを作成する事ができるのでID追加や、昇進などで権限が変更になった場合でも簡単に権限を付与することが出来ます。
ほかにも、アプリケーション自体の遠隔削除などもできるため、社員がスマートフォンを無くした場合や退職した場合でも情報漏えいの危険を回避することが可能です。
また「LINE WORKS with KDDI」の使い勝手はLINEとほぼ同じであるため、利用者の多くが特段の研修もなくすぐに使い始められることも大きなメリットです。
【ケース2:「LINE連携」機能でお客さまとのやりとりも可能。社内で閲覧・保存できる】
このケースでは「LINE WORKS with KDDI」の特徴的な機能である『LINE連携』が有効です。会社に管理された安全な環境で、お客さまや取引先など個人アカウントを持つLINEユーザーとメッセージや画像の送受信などのコミュニケーションができる機能です。
本名以外を設定しているLINEユーザーでも「LINE WORKS with KDDI」側からLINEユーザー名を設定できるので、誤送信を防止につながります。
個人『LINE』とのやりとりも管理者側で閲覧できログ保存できるので、あとからやりとりを確認することでトラブルの回避などに役立つことでしょう。オプション (追加料金必要) になりますが、トークのログを最長10年間保管することも可能です。
なお、『LINE連携』機能の許可・禁止は、管理者側でユーザー単位に設定できることで、より高い安全性を担保することが出来ます。
このように「LINE WORKS with KDDI」はLINEとつながる唯一にして安全なビジネスチャットツールなのです。
次回以降のコラムでは「LINE WORKS with KDDI」の機能概要と活用事例についてご紹介していきます。
シンプルで簡単。ビジネスの現場での効果を発揮する<ビジネス版LINE>の活用方法をご紹介しています。