お客さまのニーズに合わせ、デバイス、ネットワークやセキュリティなどを組み合わせ、最適なソリューションをKDDIがワンストップで支援します。
※ 記事制作時の情報です。
ペネトレーションテストは、サイバー攻撃が巧妙化する現代において不可欠なセキュリティ検証手法です。この手法では、実際のハッカーと同様の攻撃技術を用いてシステムやネットワークへの侵入を試み (ホワイトハッカー)、潜在的な脆弱性を発見します。
脆弱性診断が既定のチェック項目に基づく受動的な検査であるのに対し、ペネトレーションテストは攻撃者の立場から能動的にシステムの弱点を探り、実際の被害範囲まで検証する点で大きく異なります。
外部インターネットからの不正アクセスや内部ネットワークでの権限昇格など、さまざまな攻撃を想定した実証的な検査を行います。近年のサイバー犯罪の高度化により、理論的な脆弱性だけでなく実際に悪用可能なリスクを把握することが重要となっており、効果的なセキュリティ投資の判断材料として活用されています。
 
       
      ペネトレーションテストの目的は、実際の攻撃を模して弱点を見つけ、被害を未然に防ぐことです。外部から侵入できるか、内部から情報が持ち出せるかを確かめ、診断だけでは見逃しやすいリスクを把握します。
結果をもとに対策を実施すれば、企業のセキュリティを着実に強化できます。
また、発見した弱点の重要度を見極め、対策の優先順位をつける判断材料にもなります。
企業のセキュリティ強化において重要な「脆弱性診断」と「ペネトレーションテスト」は、それぞれ異なる特徴と役割を持っています。以下の表で両者の違いを詳しく比較します。
| ペネトレーションテスト | 脆弱性診断 | |
|---|---|---|
| 目的 | 実際に侵入できるか、影響範囲を検証 | 既知の脆弱性を網羅的に確認 | 
| 検証方法 | 攻撃者視点で手動を交えて侵入を試行 | ツールやチェックリストに基づく自動・半自動診断 | 
| 実施期間 | 数週間〜数カ月かかる場合がある | 比較的短期間で実施可能 | 
| 実施者 | 高度な知識を持つ専門技術者 | セキュリティ診断サービス提供者 | 
| 負荷 | システムに一定の負荷がかかる場合がある | サーバーへの影響は軽微 | 
脆弱性診断は短時間かつ低負荷で実施できるため定期的なセキュリティチェックに適していますが、理論的な脆弱性発見に留まる場合があります。一方、ペネトレーションテストは時間と専門性を要するものの、現実的な脅威レベルを正確に把握できる貴重な検証手法です。
ペネトレーションテストは大きく「外部ペネトレーションテスト」と「内部ペネトレーションテスト」に分けられます。前者はインターネット経由の攻撃を想定し、後者は社内ネットワークからの不正を想定するものです。
外部ペネトレーションテストとは、外から会社のシステムに入り込めるかどうかをチェックするテストのことです。調べる対象は、ホームページや公開しているサーバーなど、外部から誰でもアクセスできる部分です。実際の不正アクセスや標的型攻撃を模倣することで、インターネット上でどの程度リスクにさらされているのかがわかります。
外部からの攻撃は規模の小さい会社でも起こりえるため、このテストは防御力を高めるうえで欠かせない検証手段となります。
 
      内部ペネトレーションテストは、社内ネットワークや端末にアクセスできる状況を前提に実施されます。内部関係者の不正利用や、外部攻撃者が一度侵入したあとに社内の別のサーバーや端末へ次々と広がっていくケースを想定することが目的です。
特に大規模組織では内部からのリスクが深刻化しやすく、アクセス権限の設定やセキュリティポリシーが機能しているかを確認するうえで有効です。内部からの攻撃を軽視せずに備えることは、総合的なセキュリティ強化に直結します。
ペネトレーションテストの手法には「ブラックボックステスト」「ホワイトボックステスト」「グレーボックステスト」の3種類があります。提供される情報量や検証範囲に応じて選択され、それぞれ実際の攻撃シナリオを異なる角度から再現します。
ブラックボックステストとは、システムの内部情報をほとんど与えずに外部から侵入を試みる検査です。例えば、ウェブサイトのログイン画面や公開サーバーに対して、不正にログインできないか試したり、入力フォームから情報が漏れないかを確認したりします。
実際の攻撃に近い形で安全性を確認できますが、情報が不足するため見落としが生じやすく、侵入までに時間がかかることがあり、費用や期間が多めに必要になる場合もあります。
ホワイトボックステストは、システムの内部構造やソースコードなどの情報を事前に確認しながら行うテスト方法です。例えば、プログラムの処理フローやデータのやり取りを把握したうえで、脆弱性やセキュリティ上の問題点を効率よく洗い出せます。
開発段階での品質向上や改善点の明確化に役立ちますが、外部の攻撃者の視点で行うテストに比べると、未知の攻撃への耐性や実際の侵入リスクを完全に再現できるわけではない点には注意が必要です。
 
      グレーボックステストは、システムの一部情報だけを使って行う検証方法で、ブラックボックスとホワイトボックスのメリットを兼ね備えています。例えると、家の間取り図の一部だけ見せてもらい、どこに鍵があるかを推測しながら侵入できるか試すイメージです。これにより現実的な攻撃を想定できます。
ただし情報が限られるため、見落とす部分がある点や完全な内部情報がないと効率的に問題を見つけにくい点がデメリットです。それでも実際のリスクを確認する有効な手段として、多くの企業で活用されています。
自社でペネトレーションテストを行う場合、社内のシステムや業務の状況をよく知っているので、問題が見つかってもすぐに対応できます。例えば、自社のサーバーや社内アプリに脆弱性があれば、担当者がすぐに修正方法を検討できます。
また、情報が外部に漏れる心配も少ないのが安心です。しかし、専門知識を持つ人材やテスト用の環境が必要で、準備が整っていないと負担やコストがかかる点には注意が必要です。社内に十分な体制がある企業に向いた方法です。
外部の専門業者にペネトレーションテストを依頼すると、最新の攻撃手法に詳しいエンジニアが実際の攻撃を想定して検証してくれます。自社に専門スタッフがいない、複雑で規模の大きいシステムを調べたい場合に特に有効です。
ただし、依頼には費用がかかるほか、社内での調整や契約内容の確認にも時間が必要です。依頼先を選ぶ際は、これまでの実績やサポート範囲をしっかり確認し、自社に最適な支援を受けられるようにすることが大切です。
ペネトレーションテストは、攻撃者の視点に立ってシステムの弱点を洗い出せる有効な検証手段です。脆弱性診断との違いや、外部・内部からの検証、ブラックボックス・ホワイトボックス・グレーボックスの手法の特徴を理解することが大切です。
また、それぞれの手法の特性を把握することで、自社に合ったテストを選択できます。コストや時間はかかりますが、その成果は企業の防御力を大きく高めるものとなります。
企業のセキュリティ対策は「わかっているつもり」では通用しません。実際の攻撃を想定した検証を行うことで、初めて潜在的なリスクを把握できます。
KDDIでは、マネージド型ゼロトラストサービスをはじめとした幅広いセキュリティソリューションを提供し、システム運用の安全性を支援しています。自社のセキュリティ体制を見直したい方は、ぜひKDDIにご相談ください。