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テキストマイニングとは? 分析手法や活用法を基礎からわかりやすく解説

テキストマイニングとは? 分析手法や活用法を基礎からわかりやすく解説

2025 9/26
膨大な文章データの中から価値ある情報を見つけ出す手法として、近年注目されているのが「テキストマイニング」です。SNSの投稿やアンケートの自由記述、問い合わせ内容など、言葉として蓄積されたデータを分析し、傾向やパターンを可視化することで、顧客ニーズの把握や課題の発見に役立ちます。本記事では、テキストマイニングの基礎から代表的な分析手法、導入によるメリット、実際の活用法までわかりやすく解説します。

※ 記事制作時の情報です。

1.テキストマイニングとは

テキストマイニングとはのイメージ画像

テキストマイニングとは、大量テキストデータから、有用情報抽出する技術のことです。

私たちの周りには、アンケート自由記述やSNSの口コミ日報、問い合わせメールなど、言葉記録されたテキストデータが溢れています。これらは、人々の本音や隠れたニーズが詰まった貴重情報源ですが、一つひとつを人の目で確認して分析するのは非常困難です。

テキストマイニングは、こうした膨大文章データ人工知能 (AI) 技術、特に自然言語処理 (NLP) や機械学習アルゴリズムによって分析します。特定単語出現回数やどのような言葉一緒に使われているか、意見ポジティブネガティブかなど、言葉背景にある文脈関係性まで分析できます。例えば、多数の口コミから自社製品評判客観的把握することが可能です。

このように、テキストマイニング言葉可視化し、課題発見アイデア創出につなげる分析手法です。

1-1. テキストマイニングが注目される理由

テキストマイニング注目されている背景には、大きく二つの理由があります。

一つ目は、分析対象となるテキストデータ増加したことです。SNSの投稿やECサイトレビューコールセンターに寄せられる声などは、企業意思決定において非常貴重情報源です。しかし、データ量が膨大なため、これまでは十分活用できていませんでした。

二つ目は、AI技術、特に文章理解する「自然言語処理」の発展です。これにより、単に言葉出現頻度を数えるだけでなく、文章文脈感情ニュアンスをより深く読み取ることができるようになりました。

この二つの変化が重なったことで、顧客の隠れた本音的確に捉える手法として、テキストマイニング重要性急速に高まっています。

1-2. データマイニングとの違い

テキストマイニング データマイニング
主な目的 テキストデータから、有益な情報 (傾向、関連性、評判など) を発見する。 あらゆるデータ群から、未知のパターン、ルール、知識、相関関係を発見する。
分析対象 非構造化データ (自然言語で書かれた文章) が中心。
・アンケートの自由記述
・SNSの投稿、口コミ
・コールセンターの応対履歴・日報、報告書、論文など
構造化データ (数値化されたデータ) が中心。
・売上データ (POSデータ)
・顧客属性データ (年齢、性別、地域など)
・Webサイトのアクセスログ
・センサーデータなど
データの種類 定性データ (言葉の意味、感情、文脈など) 定量データ (数値、カテゴリ、IDなど)
前処理 形態素解析 (文章を構成する最小単位である単語や文節に分割) 、構文解析など、自然言語処理技術を用いて文章をコンピューターが扱える形式に変換する。 名寄せ、欠損値の補完、正規化など、統計的に処理しやすいようにデータをクレンジング・整形する。
関係性 データマイニングという大きな枠組みの中で、テキストデータに特化した手法。 テキストマイニングを含む、さまざまなデータから知見を得るための広範な概念・手法の体系。

2.テキストマイニングの主な分析手法

テキストマイニングには、感情を読み取るセンチメント分析関連性可視化する対応分析主成分分析複数単語の結び付きを探る共起分析など、多様手法があります。

2-1. センチメント分析 (ポジネガ分析)


センチメント分析は、文章に込められた感情分析する手法で、「ポジネガ分析」とも呼ばれます。SNSの口コミ商品レビューといったテキストデータが、「肯定的 (ポジティブ)」「否定的 (ネガティブ)」「中立 (ニュートラル)」のどれに分類されるかを自動判定します。

この手法メリットは、自社製品サービスに対する世間評判を、大規模かつ直感的把握できる点です。例えば、顧客満足度変化時系列追跡したり、SNSでの炎上早期検知したりする際に役立ちます。一方で、日本語特有皮肉や、「ヤバい」のように文脈によって意味が変わる言葉感情判定は難しいというデメリットもあります。

センチメント分析 (ポジネガ分析) のイメージ画像

2-2. 対応分析 (コレスポンデンス分析)

対応分析は、アンケート結果などの項目間関連性一枚マップ (散布図) で視覚的表現する手法です。
コレスポンデンス分析」とも呼ばれます。マップ上の点と点の距離が近いほど、それらの項目関連性が高いことを示します。

メリットは、複雑クロス集計表数値を見るよりも、直感的データ全体構造理解できることです。例えば、「20代女性」という回答者層がどの商品デザインを高く評価しているか、といった関係性一目把握できます。ただし、マップの軸が何を意味するのか解釈が難しいケースがあることや、あくまで項目間関連性を示すだけで因果関係証明するものではない点には注意必要です。

2-3. 主成分分析

主成分分析は、多数項目少数要素にまとめることで、データ特徴をよりわかりやすく示す手法です。例えば、アンケート価格品質サポート体制といった複数顧客満足度に関する項目を集め、それらを統合して「コストパフォーマンス」や「製品への信頼性」といった大きな概念方向性を導き出せます。複雑データ整理し、その背後にある本質的構造を見つけやすくなるのが大きな利点です。ただし、抽出された主成分具体的にどのような意味を持つのかを解釈するのは難しい場合もあり、分析者判断が求められます。

2-4. 共起分析

共起分析は、同じ文脈同時出現する単語パターンを調べる手法です。「美容」と「健康」のように、頻繁一緒に現れる単語ペア特定し、その関連の強さを測定します。結果ネットワーク図で視覚化され、単語間のつながりが線で表現されます。マーケティングでは、消費者商品に対して持つイメージ関連性を探ったり、新たな切り口を発見したりするのに役立ちます。メリット直感的理解しやすく、予想外関連性発見できる点です。しかし、因果関係ではなく相関関係しか示せないため、分析限界があります。また、文脈考慮できないことや、データに偏りが生じると、分析精度低下する可能性があるというデメリットがあります。

3.テキストマイニングのメリット

テキストマイニングのメリットのイメージ画像

テキストマイニングの大きなメリットは、膨大に生み出される文章データから有益情報効率的抽出できることです。アンケート自由記述やSNSの投稿、問い合わせ内容といった顧客の声を分析することで、数字だけでは見えにくい本音感情改善要望把握できます。例えば「この機能が使いにくい」といった小さな不満や「このような商品がほしい」といった期待は、商品開発サービス改善貴重な手がかりになります。また、SNSで不満が広がる前に兆候察知し、迅速対応策を講じることも可能です。

こうして得られたデータ経営マーケティング判断に活かせば、勘や経験だけに頼るのではなく、根拠ある戦略を立てられます。結果として、顧客満足度向上新商品成功確率を高め、リスクを抑えながらより的確意思決定につなげることができます。

3-1. 実際の活用事例: KDDIデジタルデザインの生産性支援の取り組み

テキストマイニングは、単に情報分析するだけでなく、データを軸に企業全体サービス現場進化させるための重要基盤となります。

KDDIデジタルデザイン株式会社デジタルコンタクトセンターソリューションでは、AIによるFAQやマニュアル横断検索音声認識対話要約テキストマイニングなどの技術活用しています。これらを導入したことでオペレーター通話時間後処理時間短縮され、応対品質安定化従業員負担削減にもつながりました。

さらに、テキストマイニング顧客体験 (CX) の向上にも貢献します。例えば、顧客の声 (VOC) を継続的分析し、その知見店舗スタッフカスタマーサポート接客反映させることで、一人ひとりに合わせた提案やきめ細かなフォロー可能になります。リアルタイム推奨対応を伝えるシステム導入することで、顧客満足度向上購買意欲促進サービス商品からの離脱防止にもつなげることができます。この事例詳細下記記事をご覧ください。

4.テキストマイニングの導入方法

テキストマイニングを始めるには、次の二つの方法推奨されます。一つはMicrosoft Excel (以下、Excel) を使った手軽方法、もう一つは専用ツール導入する本格的方法です。

Excelを使う場合は、分析したい文章整理したうえで、単語ごとに分割してセルに貼り付けます。その後、COUNTIF関数ピボットテーブルなどを使って単語出現回数集計し、グラフ化することで文章傾向可視化できます。作業には手間がかかりますが、文章分析基本を学ぶには最適です。

もう一つの方法として、効率的かつ高度分析を行いたい場合専用ツール導入有効です。まず「顧客不満把握したい」といった目的明確にし、予算必要機能を踏まえて自社に適したツールを選びます。それを踏まえてデータを取り込めば、共起分析感情分析など複雑処理簡単実行でき、結果自動でわかりやすく可視化されます。

このように、入門にはExcel、本格的活用には専用ツール利用するなど、段階に応じて方法選択することが重要です。

4-1. 導入時の注意点

テキストマイニング効果的活用するには、いくつかのポイントがあります。

まずは、分析に使うデータ品質管理重要です。誤字脱字表記揺れ、不要記号などが残っていると、有意義結果が得られない可能性があります。分析の前に不要情報整理し、適切処理できる状態へ整えることが必要です。次に、プライバシーへの配慮不可欠です。氏名連絡先といった個人情報は、匿名化マスキングなどの対策を講じるべきです。さらに、分析目的明確にすることも求められます。機械的分析だけでは文脈感情微妙な違いを正確に捉えられない場合があり、誤った判断につながるおそれがあります。これらのポイント意識して取り組むことで、テキストマイニングは真に価値ある成果を生み出す手段となります。

5.まとめ

テキストマイニングは、SNSやアンケートなど膨大蓄積される文章データ分析し、顧客の声や隠れたニーズ可視化できる強力手段です。感情分析共起分析など多様手法活用することで、商品開発サービス改善役立ち、顧客がより快適利用できる環境づくりにもつながります。導入時にはデータ品質確保プライバシー保護目的明確化重要です。適切活用すれば、企業データドリブン意思決定を支える武器となります。

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