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AIは日本語で「人工知能」といい、人間の知的活動をコンピューターに模倣・実現させる技術や仕組みを指します。論理的な推測や経験による学習を行えるのが特徴です。
ただし、現時点で普及しているAIは万能ではなく、特定の用途や指示を与えることにより効果を発揮します。そのため、ユーザー側がAIの特徴を理解したうえで、適切に活用する必要があります。
AIはすでにさまざまな業界で導入され、私たちの身近なシーンで活躍しています。ここでは、AI活用の事例を紹介します。
KDDIグループのフライウィールは、AIエージェント搭載のデータ活用プラットフォーム「Conata Data Agent」をKDDI物流センターに導入し、倉庫の最適化を実現しました。
倉庫内の多様なデータを「Conata」に集約し、AIとシミュレーション技術により人員シフトや設備稼働計画を最適化。非構造化データも活用可能となり、日々の意思決定にも反映できる体制を構築しました。
その結果、倉庫内のピッキング、仕分け、キッティング、封かんが最適化され、スマートフォンの出荷量は従来比約1.4倍に増加し、設備処理数も設計想定の約2倍を達成。最小人員で高い生産性を確保し、物流2024年問題などの構造的課題にも対応しています。
KDDIグループは、社内版ChatGPT「KDDI AI-Chat」を導入し、業務効率化と生産性向上を実現しています。
法人向けに生成AIソリューションを提供するため、まず社内で実証実験を重ね、知見やノウハウを蓄積。既存システムと生成AIの連携を推進するために、本部長クラスをプロジェクトオーナーとする「トップダウン」と、現場の従業員が日々の業務で効率化に直結する活用方法を自ら見つけ出す「ボトムアップ」という、2つのアプローチを組み合わせています。
現在、グループ全体で約1万人が利用する「KDDI AI-Chat」は、すでに以下の成果をあげています。
某プロスポーツクラブはKDDIと連携し、生成AIを活用して試合前後に最適な観光プランを提案する実証実験を実施しました。
プロスポーツの試合には、ホームチームのファンだけでなく、遠方から訪れるアウェイサポーターも多数来場するため、試合日程やスタジアム最寄り駅への到着・出発時刻、来場者の観光スタイルといった情報をもとにAIが自動で観光プランを生成する仕組みを構築。
さらに、生成された観光プランに対し、自然言語で希望を入力すると、その内容に応じてプランをパーソナライズできる機能も追加しました。
この実証実験を通じて、来場者数の増加や地域の魅力発信を図るとともに、スタジアムと街の回遊や宿泊促進による地域経済の活性化を目指しています。
地方自治体とKDDIは、AIドローンやデジタル技術を活用し、大規模災害による津波被害に備えた「事前防災」に取り組んでいます。
南海トラフ地震のような巨大地震が発生した場合、沿岸部の津波被害や集落の孤立が想定され、人や物資の搬送が困難となり生活に深刻な影響を及ぼすおそれがあります。
自律飛行型AIドローン「Skydio X10」は、高度な映像処理技術によりリアルタイムで空間を把握し、障害物を自動回避しながら飛行できる機体です。
両者は、このドローンを被害が想定される地域に平時から配備・活用しておくことで、有事の際には迅速かつ柔軟に対応できる体制づくりを進めています。
某鉄道会社は、10mメッシュでの人流データ分析が可能な「KLA (KDDI IoTクラウド Data Market~Location Analyzer~) (外部サイトへ遷移します)」を導入し、売上や顧客リピート率の改善を実現しました。
グループ会社約50社でKLAを導入し、10mメッシュという細かい区画での滞在人口・来街者/通勤者/居住者など属性別の人流データをリアルタイムに可視化。データを基にした戦略立案を行える基盤を構築しました。
結果としてコインパーキング事業では、近隣の人流動向に応じて夜間料金を前倒しするなどの施策で売上が向上。外食店でも客層の可視化を通じて新業態メニューの人気度を測定し、リピート率アップに成功しています。
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地方自治体では、AI潅水施肥 (かんすいせひ) システムの導入により、農作業の労力削減および作物の品質と収量向上を実現しました。
AIとIoTを活用した「ゼロアグリ」を導入し、日射センサーや土壌センサーで取得するデータを基に、AIが潅水および施肥のタイミングと量を自動で判断し、点滴チューブで供給できる仕組みを整えました。
潅水や施肥にかかる作業時間を削減することで、「誘引作業」や「芽かき」といった品質向上に欠かせない管理作業に時間を当てられるようになり、結果としてミニトマトの品質向上、収穫量アップを実現。経験やノウハウが乏しい人でも安定した栽培が可能となりました。
さらに、水・肥料使用の効率化による資源節約、作業環境の改善にも寄与しています。
某金融会社では、生成AIを活用した通話録音および音声テキスト化などの機能をもつ「KDDI Voice Viewer」を導入し、監査対応やトラブル対応にかかるコストを大幅に削減できる体制を確立しました。
同社は、トレーディング業務における通話録音関連の作業を省力化するため、KDDIの「通話録音機能」と「KDDI Voice Viewer」を導入し、録音データをテキスト化したうえで、日付・電話番号・キーワードで検索できるようにしました。
取引先との通話の録音とデータ管理の手間が大幅に軽減され、監査やトラブル発生時もキーワード検索などで効率的に該当通話を特定できるようになっています。
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某自動車メーカーでは、外観検査業務の精度向上と効率化を目的に、画像認識AIを活用した「AI×外観検査ソリューション (外部サイトへ遷移します)」を導入し、車体塗装の欠陥をエッジ部まで高精度に検出できる体制を実現しました。
「AI×外観検査ソリューション (外部サイトへ遷移します)」は、KDDIグループが保有する膨大なサンプルデータやディープラーニングを活用し、サビ検出やドローン点検など高精度な外観検査を実現しています。
導入の結果、従来の画像検査手法では検出が難しかった細かな欠陥も見逃さずに99%以上という高い判定精度を実現しています。
医療分野では、画像診断AIを活用して医師の診断業務を効率化し、特に深刻化する放射線科医の不足を補う取り組みが進んでいます。AIが放射線科医の読影業務を支援し、患者の放射線画像から異常所見を自動で抽出することで、診断効率の向上や見落としを減らす効果が期待されています。
具体的には、放射線画像をもとにした「異常所見の抽出」や「病変の識別」「疾患名候補の提示」「各臓器・部位のセグメンテーション」などを行い、結果を活用した「レポーティング支援」などにAI技術が応用されています。
さらに、新型コロナウイルス肺炎の画像診断を支援するAIシステムが日本国内で医療機器として承認され発売されるなど、医師の負担軽減や医療現場の効率化を支援する動きが加速しています。
地方自治体では、「KLA (KDDI IoTクラウド Data Market~Location Analyzer~)」を導入し、市内人流をリアルタイムに可視化し、コロナ対策や駅前再整備といった行政施策の精度向上を実現しました。
道路や施設単位で調査エリアや時間帯を設定し、市内人流をリアルタイムに可視化することで、夜間繁華街の滞在人口を把握して行動自粛の呼びかけなどに活用しました。
また、駅を利用する人の年齢・性別・居住地といった属性や、道路単位での自動車通行量を取得することで、駅前再整備に向けた計画立案に役立てています。
取得したデータは市長会見や市ホームページでの公表にも活用されており、庁内各部署での利活用も進むなど、EBPM (エビデンスに基づく政策立案) の推進やスマートシティの実現、市民サービスの向上につながっています。
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ここでは、AI活用を成功に導くために重要な3つのポイントを紹介します。
AIを導入する際は「何を解決したいのか」「どの業務を効率化したいのか」といった目的を明確にすることが不可欠です。目的が曖昧なまま導入すると、期待した成果が得られず投資対効果が見えにくくなります。
業務課題や達成したいゴールを具体的に定め、達成度を測るためのKPIを設定しておくと「どのようにAIを活用すべきか」「どこにどれだけ投資すべきか」を判断しやすくなります。
AIの利用には、倫理・セキュリティ・コンプライアンスの観点から一定のルールが必要です。例えば、生成AIを用いた文章作成や顧客対応では、誤情報や著作権侵害のリスクに注意しなければなりません。
組織として利用範囲や確認フローを定め、従業員が安心して活用できるガイドラインを整備することが重要です。
AI技術は進化のスピードが早く、新しいサービスや手法が次から次へと登場します。そのため、AI導入後も定期的に最新情報を収集・検証し、自社の業務に取り入れる姿勢が重要です。
また、業界動向や法規制の変化にも注意を払い、継続的に運用ルールや活用方法をアップデートすることで、変化に合わせて柔軟に対応できる体制が整います。
AIはさまざまな業界で活用が進み、業務効率化や新たな価値の創出に貢献しています。しかし、効果的に導入するためには「解決すべき課題や目的の明確化」「倫理・セキュリティを考慮したガイドラインの整備」「急速に進化する技術や規制へのキャッチアップ」が欠かせません。これらを踏まえてAIを適切に活用することで、組織は持続的に成果を生み出し、競争力を強化できます。
AI活用を進める際には、信頼できるパートナーの存在が成功の鍵を握ります。KDDIは、AIの導入に必要な高度なセキュリティやセキュアな環境の提供から、導入時のコンサルティング、設計、構築までをトータルサポートし、安心してAIを活用できる環境を整備します。KDDIグループでは、お客さまのビジネスを後押しする豊富なAIソリューションを提供しています。