通信と多様なケイパビリティを活用し、DXと事業基盤サービスでお客さまビジネスを支援します。
CO2排出量の可視化から削減まで、一貫してカーボンニュートラル実現を支援します。
KDDIは『つなぐチカラ』でビジネス、ライフスタイル、社会をアップデートします。
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土肥様 まず「テレワーク」です。ITmedia ビジネスオンラインでは、2019年9月から「日本を変えるテレワーク」という特集を展開していたのですが、当初苦戦しました。読者数はなかなか増えなかったのですが、新型コロナウィルスの感染の広がりを受け、今年の2月には5〜10倍ものアクセスがありました。
同時に、今年は「副業元年」と呼んでもいいほど、働き方が大きく変わりました。デジタルトランスフォーメーション (DX) が強制的に進むなか、通勤がなくなって、空いた時間で自分のスキルを生かして新しいことを始める人や、場所にこだわらない働き方を求める人が増えました。
今後、企業は副業人材の活用が課題になるでしょう。
本多様 私は、いま土肥さんがおっしゃったDX (デジタルトランスフォーメーション)を挙げさせていただきます。DXは、ここ数年IT業界で最も盛り上がったバズワードですが、アナログな業務をデジタルに置き換える「デジタイゼーション」や、デジタルテクノロジーでビジネスモデルを変革したり新しいビジネスを作る「デジタライゼーション」と混同した議論も多かったと思います。
しかし、新型コロナウィルスという強烈な環境変化のなか、本来のDXの本質である「デジタル活用を前提に、いかに継続的に競争優位性を確保できる文化に変えることができるか」という点に企業の意識が向けられ始めたという印象を持っています。ITベンダにもそれが波及し、顧客の本質的なDXを支援しよう、価値を提供しようという意識が高まり、ITベンダー自身もDX変革を推進してそのノウハウ・知見を蓄えようとする動きが目立つようになったと思います。
土肥様 「近づかない・集めない」を挙げました。コロナ禍前は、「たくさんのお客さまを集め、近くに寄る」ことがビジネスの鉄則でしたが、その価値観が180度変わるなか、新しい様式の模索に終始した1年だったと思います。
飲食店が宅配サービスを始めたり、百貨店が福袋の予約を始めたりしているのも、その流れでしょう。
本多様 IT業界の専門紙としては、やはり「ゼロトラスト」は外せません。新型コロナウィルスで働き方が大きく変わるなか、従来のファイアウォールやIDSといった境界型セキュリティの限界が指摘されるようになりました。働く場所の制限なく、安全・安心にクラウドをフル活用するためには、「何も信頼しない (ゼロトラスト)」という概念を前提にした新しいセキュリティのあり方が、社会的に求められています。そういう意味で、今年のIT業界を象徴するキーワードだと思います。
ゼロトラストセキュリティを実現する足掛かりとしては、ID認証、ユーザーの端末にある不正を検知するEDR (Endpoint Detection and Response)、クラウドセキュリティといったソリューションは特に盛り上がっていますね。
本多様 さらにIT業界では、「ノーコード/ローコード開発」もよく聞かれました。自治体のなかには、ノーコード/ローコード開発のプラットフォームを活用し、定額給付金申請のフォームをスピーディーに作成したり、受給確認ができるようなサービスを内製したところもありました。このトレンドは、DXの推進という観点でも、重要だと思います。
本多様 確かに人月商売の受託開発に依存しているような企業には厳しい流れでしょうが、そのビジネスモデルに未来を感じている人たちはほとんどいないでしょう。
今回のコロナ禍で、新しいSIビジネスを模索しなければならないという危機感は多くのSIerで従来以上に高まったと思います。
土肥様 トレンドとしては、「もやもやしていること、よく分からないことを数値化する動き」ですね。「数値化する」「数字を知って、行動に移す」ということがより加速すると思います。
ある居酒屋では、店舗オペレーションのコンサルティングサービスを受け、注文を取る最適なタイミングを数値化しました。「お客の肘の高さが90度のとき、ドリンクの残量は10%」ということが数値化できたので、そのタイミングで注文を取るようにしたそうです。
根性論ではなく、きちんと数値化することで物事を考え、共有し、現場に定着できるようになる。
今後こういう流れが広まると思いますし、そこで得た数値や知見をうまくビジネスに変換できれば、厳しい市場の中でも勝ち残っていくことができるのではないでしょうか。
本多様 業務のデジタル化はより加速していくと考えています。その少し先に、いま土肥さんが話されたように、業務プロセス全体をデジタル化して可視化し、最適化して計画的に改善していく取り組みが本格化しそうな気配も感じます。
ITツールでいえば、プロセスマイニングやBPM (ビジネスプロセスマネジメント)、またビジネスプロセスのモデリングツールなどの動向に注目しています。
もう1つ、HRテックの領域も新しい変化や進化があるでしょう。テレワークが浸透しても評価がしやすいということもあってジョブ型雇用に注目が集まるという動きとリンクして、タレントマネジメント機能の充実や従業員体験、従業員エンゲージメントの管理・強化機能の充実が加速する気がします。このあたりも注目市場ですね。
落合 ありがとうございます。
KDDIも新しい働き方を推進しており、それがコロナ禍で加速しましたが、その流れでコーポレートのあらゆる分野でデジタル化が加速しそうですね。
今日はありがとうございました。
ITmedia ビジネスオンライン 編集長 土肥 義則 様
2018年に「ITmedia ビジネスオンライン」編集長に就任。同メディアは、2015年に創刊したビジネスサイトで、月間PVは4000万 (2020年5月に過去最高)。会社で働く役職者に対して、仕事に役立つ情報を提供している。
週刊BCN 編集長 本多 和幸 様
水インフラの専門紙記者を経て、2013年に株式会社BCNに入社。2018年1月に「週刊BCN」編集長に就任。週刊BCNは1981年に創刊された老舗のITビジネス専門紙で、法人向けIT市場のビジネスエコシステムにフォーカスしている。