このページはJavaScriptを使用しています。JavaScriptを有効にして、または対応ブラウザでご覧下さい。

閉じる
閉じる
マイグレーションの意味や手法・リプレイスとの違いについて解説

マイグレーションの意味や手法・リプレイスとの違いについて解説

2025 10/21
マイグレーションとは、古くなったシステムやデータを新しい環境に移す取り組みのことです。これを行わずに放置すると、運用コストが増えるだけでなく、セキュリティのリスクも高まってしまいます。マイグレーションは企業のIT環境を長く安定させ、将来的な発展を支えるうえで欠かせません。本コラムでは、マイグレーションの基本に加え、リプレイスやコンバージョンとの違い、種類や主な方法、進める際のポイントなどを紹介します。

※ 記事制作時の情報です。

1.マイグレーションとは

マイグレーションとは、今使っているシステムデータを新しい環境へ移す作業のことです。単に古い機器交換するのではなく、これまでのデータ仕事の流れを活かしながら、クラウドや新しいサーバーに移す点が特徴です。例えば、社内で動かしていた基幹システムクラウドに移したり、古いサーバーから最新サーバーアプリデータを引き継いだりするケースがあります。
移行を正しく行えば、セキュリティ強化されるだけでなく、コスト削減業務効率化システム性能向上期待できます。

マイグレーションのイメージ画像

ただし、移行には注意点もあります。業務への影響をできるだけ抑える工夫や、データが正しく移るかどうかの確認、古い仕様への対応など、事前準備非常大切です。成功させるには、対象範囲明確にし、影響度をきちんと評価したうえで、少しずつ段階的に進めることが重要です。
さらに、小規模で試す「PoC (概念実証)」を行うことで、リスクを減らし、安心して本格移行を進められます。

1-1. マイグレーションとリプレイスとの違い

リプレイスは、古くなった機器ソフト同等新製品・新バージョンに置き換えることです。マイグレーションデータ業務ロジックを別の環境へ“移す”作業全体を指すのに対し、リプレイス全体または一部を新しいものに交換するイメージです。マイグレーションメリットは、検証済みの後継製品短期間更新でき、保守切リスク解消性能安定性向上見込め、運用変更最小で済みます。
一方デメリットは、機能や使い勝手抜本改善にはつながりにくく、将来拡張性限定される場合があること、製品費用一時的停止発生すること、ベンダーに縛られやすいことです。
既存手順教育変更が少なく、現場負担を抑えやすい反面、技術的負債が温存される可能性もあります。用途に応じて選びましょう。

1-2. マイグレーションとコンバージョンの違い

コンバージョンは、データファイル形式を新しい仕様に合わせて変換する作業です。例えば旧システム顧客情報を、新システムで読める形に作り替えることを指します。マイグレーション計画環境準備移行・テストまで含む移行全体なのに対し、コンバージョンはその中のデータ変換特化した工程です。
メリットは、既存データを生かして移行後業務継続しやすい点や、無駄再入力を減らせる点。デメリットは、変換ルール設計検証手間がかかること、誤変換欠損が起きると品質問題につながることです。
一方コンバージョンだけでは業務フロー変更アプリ改修ユーザー教育などは含まれません。そのため全体移行マイグレーション計画し、コンバージョン品質整合性担保する役割を担います。

1-3. マイグレーションとモダナイゼーションの違い

モダナイゼーションとは、ただシステムを新しい環境に移すだけでなく、設計仕組みそのものを最新テクノロジーに置き換えて作り直すことを意味します。例えば、クラウドサービス活用できるようにしたり、機能ごとに独立した構成 (マイクロサービス化) に切り替えたり、古いプログラム言語を新しいものに置き換えたりします。
マイグレーションが「そのまま移す」作業なら、モダナイゼーションは「より使いやすく、現代技術に合わせて作り変える」取り組みです。メリットは、拡張性が増し、運用保守がしやすくなり、将来的コスト削減ビジネス変化にも柔軟対応できる点です。
一方で、初期費用作業負担が大きくなり、計画専門知識必要になるなど、慎重判断が求められます。

2.マイグレーションの種類

マイグレーションの種類のイメージ画像

代表的種類は次の4つです。用途停止許容時間技術的難易度に応じて適した方式を選びます。

  • ライブマイグレーション
  • レガシーマイグレーション
  • データマイグレーション
  • サーバーマイグレーション

それぞれの種類特徴紹介します。

2-1. ライブマイグレーション

ライブマイグレーションとは、システム一切止めずにシステム基盤を新しくする技術です。この技術最大メリットは、サービスを止めずに継続できる点です。一時的停止が許されない銀行オンラインシステム巨大インターネット通販サイトなどは、この方法メンテナンスアップデートを行っています。利用者はいつもどおりサービスを使えるため、ビジネスへの影響ゼロです。
しかし、一方膨大手間コストがかかることがデメリットといえます。動いているシステムから新しいシステムへ、データ完璧同期させ続けるには、非常高度技術綿密計画不可欠です。少しでも設計を誤れば大事故につながりかねないため、専門家による入念テストが繰り返されます。

2-2. レガシーマイグレーション

レガシーマイグレーションは、長年使われてきた古いシステムを新しい環境移行する作業です。何年もかけて現場ニーズに合わせて改修されたシステムは、当初設計書では把握しきれない複雑構造になっていることが多く、移行前詳細調査が欠かせません。
メリットとしては、運用コスト大幅削減が挙げられます。老朽化したハードウェア保守費用や、サポート終了したソフトウェアによるウィルス感染システム不具合などのリスクから解放されます。また、新しいプラットフォームでは処理速度向上セキュリティ強化期待できます。
一方デメリット移行期間の長さとコストの高さです。既存システム解析関係者へのヒアリング互換性検証など、準備段階で多くの時間を要します。さらに、移行中システム停止データ移行時トラブルリスク考慮する必要があります。

2-3. データマイグレーション

データマイグレーションは、顧客情報取引履歴など大切データを、別のデータベースや新しいフォーマット引越しさせる作業を指します。特徴は、データだけに特化して移行する点にあり、データ正確さや整合性を保ちながら、欠損フォーマットの違い、文字コード変換などに細心注意を払う必要があります。
メリットは、新しいシステムで引き続きデータ利用できることや、環境が変わっても情報安全に引き継げる点です。
一方で、データ移行ミス不整合があると業務支障が出るリスクもあり、事前ツール設計移行後動作テスト差分比較などの厳密検証が欠かせません。計画的に進めることで安全データ移行実現します。

2-4. サーバーマイグレーション

サーバーマイグレーションは、今まで使っていたサーバー上のシステムデータを、新しいサーバークラウドなど別の環境に移し替える作業です。例えば、古くなったサーバーを新しいものに入れ替えたり、社内サーバーからクラウドサービスへ切り替えたりするときに行われます。サーバーマイグレーションの大きなメリットは、システム動作が速くなったり、障害に強くなったり、将来利用拡大にも柔軟対応できるようになる点です。
しかし一方で、作業を行う際にはサービス一時的に止める必要があったり、ネットワーク設定見直したりデータ保存場所を移し替えたりと、ライセンス管理など細かな調整必要になります。スムーズ移行するためには、事前にどのような影響があるか調べておくことや、段階的テストを重ねることが大切です。

3.マイグレーションに使われる手法

マイグレーションには、次の4つの手法が使われます。

  • リホスト
  • リビルド
  • リファクタリング
  • クラウドへの移行

それぞれに用途時間・コスト・改修度合いに応じて手法を選ぶ必要があります。

マイグレーションに使われる手法のイメージ画像

3-1. リホスト

リホストとは、今使っているシステムをほぼそのまま新しいサーバークラウドに移す方法です。最大メリットは、システムの大きな改修をせず、短期間かつ低コスト移行できる点にあります。特に、今までのシステムをそのまま動かしたい場合や、互換性が高い環境同士での移行に向いています。
ただし、プログラム仕組自体は古いままなので、抜本的機能強化運用コスト大幅削減は難しいのがデメリットです。まずリスクの少ないシステムから段階的に試すことが一般的です。

3-2. リビルド

リビルド最大メリットは、間取りや設備根本から見直し、最新技術を取り入れた快適頑丈システム構築できる点です。将来メンテナンスシステム拡張改修もしやすくなります。
しかしその反面ゼロから作り直すため、多額費用と長い時間必要になるのが大きなデメリットです。そのため、単に古いからという理由だけでなく、増改築を繰り返して構造複雑になりすぎた場合など、抜本的刷新必要なときに選ばれる、一大決心とも言える手法です。

3-3. リファクタリング

リファクタリングとは、今あるプログラム設計を大きく作り変えることなく、徐々に分かりやすく・効率よく改善していく方法です。メリットは、動くシステムを止めずに保守性性能を高めたり、不具合を減らしたりできる点です。また、全面的再構築に比べてリスクが抑えられるのも利点です。
しかし、部分的修正でも、変更に伴うテスト作業時間は決して少なくありません。計画的な進め方や自動テストなどの工夫不可欠です。

3-4. クラウドへの移行

クラウド移行する大きなメリットは、柔軟性の高さです。必要なときに必要な分だけコンピューター能力を借りられるため、急なアクセス増にも対応しやすく、コスト無駄を減らせます。
一方デメリットは、コスト構造見直しや、セキュリティガバナンス面の対策をきちんと整える必要があり、ネットワーク設計モニタリング体制も新たに設計しなければなりません。最適運用移行成否は、事前十分準備設計によって左右されるでしょう。

4.マイグレーションの手順

マイグレーションは次のように段階的計画実行することが重要です。

① 目的を明確にする
② 情報を整理する
③ PoCを行う
④ 設計を行う
⑤ 運用する

それぞれの段階でどのようなことを行う必要があるのかを紹介します。

① 目的を明確にする

マイグレーションを進めるうえで大切なのは、まず移行目的をはっきりさせることです。例えば、コスト見直しやセキュリティ強化クラウド活用など、目的によって選ぶべき方法優先順位が変わります。事前経営陣担当部門移行後に何を目指すかを明確に決め、共通ゴール設定しておくことで次の手順スムーズになります。

② 情報を整理する

情報整理する」とは、現在使っているシステムデータアプリケーションミドルウェア関連する構成依存関係を一つひとつ洗い出す作業です。特に、依存関係構成情報曖昧なままだと、移行後想定外トラブルにつながることもあります。
そのため、漏れのない詳細棚卸しとリスク評価を行い、後の工程での問題未然に防ぐことが大切です。

③ PoCを行う

次にPoC (Proof of Concept、概念実証) として、小規模範囲試験的移行を行います。本格移行前リスク課題確認するための工程です。この段階実際に動かしてみることで、技術的問題運用上課題を早い段階発見できます。PoCの結果をもとに本番移行計画手順見直すことで、移行に伴う失敗トラブルリスク大幅に減らすことができます。

④ 設計を行う

PoCの結果を踏まえて、いつ・誰が・どのように移行実施するか具体的に決めます。移行スケジュールシステム停止時間データ移行にかかる時間を細かく設定し、古いシステムから新しいシステムへの切替手順段階的整理します。
さらに、移行後動作確認する検証項目を洗い出し、各作業責任者緊急時連絡体制明確にします。システム監視方法ログ収集方法についても事前に決めておくことで、移行作業スムーズになります。

⑤ 運用する

最後システム安定して稼働しているかを確認し、必要に応じて改善する工程必要です。まず、新しい操作方法手順教育実施し、運用マニュアルやトラブルシューティングガイドを整備して日常業務サポートします。
また、運用開始後定期的システム状況レビューし、性能や使い勝手問題がないかチェックします。収集したフィードバック反映させて改善することで、より使いやすく効率的システムへと成長させることが可能です。

5.まとめ

マイグレーションとは、今使っているシステムデータを新しい環境に移し替える重要作業です。マイグレーションを行うことで、セキュリティがより強固になり、運用コスト削減業務効率化といったメリット期待できます。
移行方法は、何を目的とするか、どのくらいの予算期間があるかによって、最適手法選択することが大切です。移行完了後は、スタッフへの教育マニュアル整備定期的見直しを継続することで、新しいシステム安定して効率的活用し続けることができるのです。

社内システムに関するご相談ならKDDIにお任せください

社内システム刷新マイグレーション検討中のお客さまは、ぜひKDDIにご相談ください。KDDIは最新テクノロジーノウハウを活かし、データセンタークラウドサーバー環境最適に組み合わせた移行支援サービス提供しています。現状分析から移行設計実行運用移管まで、ワンストップサポートし、ビジネス最適ソリューションをご提案します。まずはお気軽詳細についてお問い合わせください。

関連記事


ピックアップ