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由上 昨今、ECや各種サービスのウェブサイトで「チャットでの質問はこちら」という表示を見る機会が増えました。改めてチャットボットとはどのような技術なのか教えてください。
中野様 「チャット」とはテキストを介したコミュニケーションを指し、「ボット」とは処理を自動化するプログラムなどの仕組みを意味します。この2つを合わせた用語が「チャットボット」で、AIやプログラムが人間に代わって一定の会話を自動化する 「自動会話プログラム」という意味です。
最近はプログラムも賢くなっており、定型質問であればあらかじめ用意した回答を使って的確なコミュニケーションができるようになりました。ユーザーが入力した質問文を自然言語処理エンジンで解析して質問意図を汲み取り、適切な回答を提示するツールもあります。
人工知能を組み込んだコンピューターが人間に代わって一定の会話を自動化
由上 チャットボットのAIプログラムが学習し、質問したユーザーの意図を汲み取って適切な回答を提示するわけですね。
中野様 はい。ただし最初から完璧にコミュニケーションするのは難しいので、そこはチャットボットを継続的に「育て」、精度向上に取り組む必要があります。
また、チャットのインターフェースとして、LINEや、Microsoft Teams、Slack、LINE WORKSといったコミュニケーションツールに組み込むケースが増えています。チャットボットというとホームページや社内向けポータルなど、ウェブサイトでよく見るイメージがあるかもしれませんが、コミュニケーション手段の広がりに合わせて、用途も広がっているのです。
さらに、チャットボットだけでは解決できないお問い合わせが来た場合、有人対応に切り替えられるチャットツールもあります。チャットボットに任せられるところは任せて、本当に人間が対応する必要があるところを人間が対応する、リソースの有効活用を下支えするツールの1つでもあります。
由上 チャットボットが、いまビジネスや業務現場で急速に普及しているといいますが、どのような背景があるのでしょうか。
中野様 調査会社が分析した市場動向によると、チャットボットソリューション市場は年間15%前後で伸びており、この傾向は今後も継続すると見られています。また当社でも、チャットボット「スグレス」の導入ボット数や実際のメッセージ数の推移を見ているのですが、市場成長率よりも大きく、前年同月比の1.4〜1.5倍と伸びており、ニーズの高さを実感しています。
成長が加速している背景は、やはり新型コロナウイルスの影響が大きいと考えています。実際、2020年12月に経済産業省が発表した「DXレポート2 中間取りまとめ(概要)」でも、コロナ禍で企業が取り組むべきアクションがまとめられているのですが、そのなかで「顧客との接点のデジタル化」が挙がっており、その手段としてチャットボットの導入に言及されています。こうしたことから私たちも、企業が直面している課題解決の選択肢として「チャットボット導入」があると認識しております。
由上 利用が拡大している中で、社会の変化をふまえニーズに変化はありましたか?
中野様 BtoCの場合、サポート窓口として電話やメールを選ぶケースが多いのですが、そこにチャットボットを追加検討する企業が増えました。ニーズ変化が顕著なのはBtoE、いわゆる社内向けのサポートや問い合わせです。
例えば、申請書や経費精算のやり方、ICTまわりの質問などは、これまでであればまず近くに座っている同僚などに聞き、わからなければ社内の担当者に直接聞きに行くか、電話で問い合わせすることが多かったと思います。ところがリモートワークが普及し、隣の同僚にちょっと聞いてみるということが難しくなりました。その結果、電話やメールで社内担当者に問い合わせが集中することになり、問い合わせ対応のリソースにも限りがありますから、「定型のFAQはチャットボットで対応しよう」という流れが増えているのだと思います。
チャットボットで即時回答があれば、問い合わせた従業員もその後業務を停滞させずに済みますし、問い合わせに対応する側の負担軽減にもなります。
由上 具体的にはどのような業務で使われているのでしょう?
中野様 BtoEでは、人事や経理ルールはもちろん、リモートワークならではのリモート環境の不具合や設定などICTに関する問い合わせ、さらには営業サポートなど幅広い分野で利用されています。せっかく導入しても従業員に活用されないと意味がないので、業務で利用しているLINE WORKSをチャットボットのインターフェースに採用し、対人コミュニケーションにチャットボットを組み合わせてスムーズな活用を促すような取り組みをする企業もあります。
チャットボットは24時間対応できるので、定型的な課題はいつでも自己解決できるのが強みです。時と場所を選ばず迅速に対応でき、お問い合わせ対応業務の効率化につながるので、限られたリソースを有効活用し、本当に必要な業務に注力できる環境づくりにお役立ていただいています。
またGtoC、行政の現場でも使われています。複数の自治体様では、LINE公式アカウントとチャットボットを組み合わせ、住民の生活・暮らし・子育てなどに関する問い合わせをサポートする窓口として「スグレス」をご活用いただいています。チャットボットで回答できるものなら、窓口の業務時間外でもリアルタイムで回答が返ってきます。住民の利便性や安心感にもつながり、「わからないことをLINEで気軽に尋ねられる」と好評です。
由上 先ほど「チャットボットを育てる」という話がありました。チャットボットのAI機能の精度を上げるためには、現場の運用負荷もかかるのではと思いますが、その点はいかがでしょう。
高橋様 チャットボットの回答精度を上げるには、質問をたくさん受け付けてAIの学習量を上げていくことが必要です。ですがそのために現場の工数がかかるのは本末転倒なので、いくつかポイントがあります。
大前提は、スモールスタートで始めること。スモールスタートしながらユーザーから多くの質問を受けるという観点では、チャットボットに名前を付けてキャラクター性を持たせるのも1つのやり方です。最初はうまく答えられなくても、スモールスタートで「これから一緒に育てていく」という方針をユーザーに周知することで、チャットボットをみんなで応援し育てる環境を作ります。
実際に運用を開始すると、事前のFAQにない質問をされたり、質問とずれた回答をチャットボットが提示したり、回答があってもユーザーが不満に思うケースなど、さまざまな想定外の事態が起こるでしょう。しかしこうしたことを念頭に、一気に解決するのでなく、優先度をつけて管理者側でチューニングすることで、少しずつ回答精度が上がります。
またAIの補助機能を使い、チャットボットの回答の後に「問題は解決しましたか?」と表示して、役に立ったかどうかをユーザー側からフィードバックしてもらうのも有効です。チャットボットの自動学習に役立ちます。併せて、定期的にFAQをメンテナンスし、古い回答を削除するといった取り組みを実施している企業もいらっしゃいます。チャットボットを有効活用するには、やはり導入後の運用・育て方が鍵になりますね。
由上 そうした運用も含めて導入するわけですね。多くのチャットボットツールがある中で、自社に合ったチャットボットを選ぶポイントを教えてください。
高橋様 運用とも関わるのですが、まずガイドラインを決めていただくとよいと思います。例えば経理ならば、「経費精算」などチャットボットがサポートする範囲を決めておく。そうすると、「この回答ができなかった」「あれもできなかった」と個別の事案を深追いし、やみくもに範囲を広げてしまうことなく、スモールスタートで運用負荷を軽減できます。
あとは運用方針です。チャットボットのインターフェースにどれを選ぶか、定期的な振り返りのサイクルをどう設定するか、チャットボットで解決できない場合のサポート体制をどうするか、こうした方針を決めておくと、チャットボットに必要な機能要件も見えてきます。導入後の社内周知の方法なども検討しておくとよいでしょう。
こうした事前の検討で機能要件も固まるので、機能の優先順位もつけやすい。その上で具体的なツールを選べば、判断しやすいはずです。チャットボットならではの選定ポイントとしては、「自然言語処理エンジン」の性能も重要です。「スグレス」は、ユーザーの意図を汲み取り、表現のゆらぎがあってもそれをカバーして会話できるオリジナルの自然言語処理エンジンを採用しています。ユーザーにとって使い勝手がよく、管理者側の運用負荷軽減にも役立ちます。
他にも、導入・運用のハードルの低さや、LINEやLINE WORKS、Microsoft Teams、Slackなどさまざまなインターフェースで利用できる点、そして導入・運用へのサポート体制など、「スグレス」をご評価いただくポイントを改めて考えてみると、利用シーンと導入後を見据えた視点が、やはりチャットボット選びには欠かせないでしょう。
由上 人的リソースが限られるというお話がありましたが、チャットボットはまさにそのリソースを埋めてくれるツールの1つですよね。同時に、ユーザーに利便性や安心感も届けられる。人間が適切に運用・メンテナンスし、チャットボットの得意な分野を最大限に育てられれば、チャットボットとさらに最適な共存関係が築けそうですね。「スグレス」をはじめ、チャットボットの今後の可能性が楽しみです。
なお、KDDIではITヘルプデスクのソリューションも提供しています。リソースが限られるなかで、増え続ける社内のお問い合わせ対応は、多くのお客さまにとって課題の1つのはずです。ITヘルプデスクを内製で維持し続けることも難しいですから、「スグレス」や「ITヘルプデスク」で、お客さまが本当に注力しなければならない業務に工数を割ける環境づくりを、ぜひご支援したいですね。