※AWSとは、米Amazon.comが提供するクラウドサービスの名称です。
通信と多様なケイパビリティを活用し、DXと事業基盤サービスでお客さまビジネスを支援します。
CO2排出量の可視化から削減まで、一貫してカーボンニュートラル実現を支援します。
KDDIは『つなぐチカラ』でビジネス、ライフスタイル、社会をアップデートします。
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―コロナ禍で大きな影響を受けたのがコンタクトセンターの働き方や運営方法です。感染防止初期はクラスターがニュースでも取り上げられ、その後コンタクトセンターの働き方は徐々に変わりだしたといわれていますが、具体的にどのような変化がありましたか?
加瀬 コロナ禍前のコンタクトセンターは、1フロアにつき100名くらいのオペレーターが在籍していて、1グループ10人につきベテランのSV (スーパーバイザー) がついて業務の品質向上に当たっていました。現場で何かトラブルがあると、オペレーターが手を挙げてSVに知らせ、サポートを受けるという、そういった働き方でした。
しかしコロナ禍に伴い、密にならないようオペレーターの人数を制限したり、パーティションやフェイスガードを活用して飛沫を防ぐなどの対策に追われました。またコロナをきっかけに「人が密集する環境で働きたくない」というネガティブな印象も、働き方を見直す大きなきっかけになったと思っています。
—どのような見直しが行われたのでしょうか?
加瀬 そこで進んだのが、オペレーターが自宅でコンタクトセンター業務を行う「在宅コンタクトセンター」です。ただ、在宅コンタクトセンターにはさまざまな課題があるのも事実です。
お客さまの大切な情報がオペレーターのPCに残る不安もありますし、そもそも現状のコンタクトセンターシステムが在宅用に拡張できないという事情もあるでしょう。オペレーターの自宅に電話を転送するとその分コストがかかりますし、トラブル時にSVへすぐにヘルプを伝えられない可能性もあります。
—そうした課題を解決するにはどのような方法があるのでしょうか。
加瀬 例えば、コンタクトセンターへの着信を在宅オペレーターへ転送する場合、コンタクトセンター側に「KDDI 光ダイレクト」を導入し、転送先の在宅オペレーターはPCやスマートフォンで「Webex Calling」をご利用いただければ転送時の通話料自体は無料にできますが、「Webex Calling」の利用料などが新たなコストとして必要になりますね。
また、顧客情報をPCに残したくないのであれば、クラウド上に仮想デスクトップを組んでPC内に情報を残さないようにすることもできます。ただ、利用しているコンタクトセンターシステムをクラウド上に拡張することができなかったり、そもそもインフラ環境を見直さなければならないケースも非常に多いです。
コンタクトセンターの場合、オンプレミス環境にあり、インターネットなど外部から守られている環境がほとんどなので、在宅オペレーターがアクセスするためのNW環境の設定変更やセキュリティ対策なども必要となります。
またSVへのヘルプなど個別で作り込まれている機能もあり、決して簡単には実現できません。
橘様 クラウドといえばAWSの利用を考える方も多いと思います。
ただAWS上でデスクトップ環境を実現するにしても、選択できるサービスは2〜3種類あります。
そういったサービスをどう掛け合わせながら在宅コンタクトセンター業務を組み立てていくかは、AWSに関する知見と共に、コンタクトセンター業務に精通しているプロフェッショナルの力が必要になります。
—単なる追加開発やシステム拡張で対応できるわけではないのですね。すると在宅コンタクトセンターの課題を解決するにはどうすれば良いのでしょうか。
加瀬 そこで提案しているのがAmazon Connectです。Amazon ConnectとはAWS上にあるクラウドベースのコンタクトセンターソリューションで、KDDIでは2019年前後から検証を進めてきました。電話応対や自動音声、チャットなどさまざまなチャネルでのお客さま対応を実現します。
Amazon Connectの最大の特長は開発しやすいサービスであるということです。オペレーターが使う画面をカスタマイズしてSVへのヘルプボタンを追加するなどサポート面の課題を解決するための実装上の工夫が容易です。オンプレミスのシステムだとカスタマイズは難しいのですが、Amazon Connectであれば標準的なAPIが公開されているので、開発が容易といえます。
また、コスト的にも、AWS上のコンタクトセンターを利用するため、余計な転送料はかかりません。
橘様 AWS上にあるさまざまなサービスとの親和性も高いので、Amazon Workspacesなどを利用し、ローカルのPCにお客さま情報を残さないセキュアなデスクトップ環境や通話システムなどを統合的に作れる点は大きいです。パッケージソフトのように出来上がったものの場合、他システムと連携しようとするとインターフェイスが多くなるので開発も構成も複雑化します。Amazon Connect ではAWSという枠の中で自由度を持って開発できます。
またオンプレミスとの比較でいえば、クラウドなので使った分しか課金されないことも大きなメリットです。必要だと思って追加したものの使われていない機能があれば、その部分を後からでも削除できるので無駄な費用はかかりません。
そういう点も、これから在宅用にコンタクトセンターシステムを導入したい企業には、クイックにミニマムに始められるサービスだと言えます。
加瀬 必要時に追加可能なので、業務実態に合わせたコンタクトセンター開発が可能なのもAmazon Connectが選ばれる理由ですね。
—コロナ禍前の2019年ごろからAmazon Connectの検証を進めていたというお話ですが、当時から在宅コンタクトセンターに着目していたのでしょうか。
加瀬 コロナ禍で在宅コンタクトセンターの導入が進んだのは確かですが、働き方改革や豪雨・災害対策のため、以前から在宅コンタクトセンターのニーズは高かったです。航空会社などでは災害時ほど問い合わせが殺到するのですが、自然災害の場合は、オペレーターが出社できないケースもあるという点が課題でした。そこで電話対応部分に絞りAmazon Connectを導入することで、緊急時の在宅対応が可能になるなど有効な対策の実績もあります。この時は機能を絞ったこともあり、約1カ月で導入が完了しました。
—Amazon Connect の導入にあたり、KDDIとアイレットならではの付加価値を教えてください。
加瀬 KDDIが持つフリーコールなどの従来の強みである音声ソリューションの実績とAWS 上のシステムとの連携という点でアイレットが存在していることが我々の付加価値だと思います。
橘様 そうですね。今回の在宅コンタクトセンターは、いわば2社が持つ強みが親和性良くマッチしていると言えると思います。アイレットはAWS上の環境構築において、国内トップクラスの実績 (注) があります。数もさることながら、すべての過程で内製しているのが当社の強みです。AWSは豊富な機能を備えているため、どういうフローで何を実現したいのか、KDDIの知見と、内製でAWSの環境構築をしてきたアイレットのノウハウを掛け合わせて、お客さま環境に最適な在宅コンタクトセンターシステムをご提供します。
コロナ禍初期にスピード重視で構築したため、見直しをしたいといった声もよく聞きます。これから取り組む企業さまだけでなく、現状の在宅コンタクトセンター環境に課題がある企業もぜひ、一度ご相談いただきたいですね。