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ロボティクスとは、ロボット技術の設計、開発、応用を総称する学問および技術を指し、「ロボット工学」とも呼ばれます。ロボットは、特定のタスクを効率的かつ適切に実行できるようプログラムされた機械です。
こうしたロボットの開発・運用に関わる技術は、機械工学や電気工学、コンピューターサイエンスなどの領域で展開されています。2章で詳しく述べますが、特にAI (人工知能) やIoT (注1) と連携させたロボット技術は、大きな関心を集めています。
ロボティクスは多くの業界で普及が進んでおり、業務の効率や生産性だけでなく、安全性や品質改善にも寄与しています。技術が進歩するにつれ、さらに活躍の幅が拡大し、新たなイノベーションの創出が期待されるでしょう。
ここからは、製造業・医療・農業での活用事例を紹介します。
製造業では、人手不足や技術継承などの課題解決に向け、ロボティクスの採用が急速に拡大しています。これにより、自動車や電子機器の製造ラインでは、ロボットアームによる溶接や組み立て、品質検査の自動化が可能となり、生産性の向上や安全性の強化に大きく寄与しています。
さらに、AIやIoTを活用した「スマートファクトリー」が普及し始めています。ロボットがリアルタイムでデータを収集・分析し、生産ラインの故障を予測することで、より高い水準の最適化を実現できるようになりました。
医療分野でも、ロボティクスは患者のケアを支援する重要な要素となっています。例えば、手術支援ロボットは、高精度かつ精緻な手術を可能とし、医療事故の発生や患者の負担を軽減しました。また、リハビリ用の外骨格ロボットは、患者の身体的サポートだけでなく、医療スタッフの作業負担を減らす効果も見込めます。他方、自律移動ロボットが院内物流を担う事例もあり、医療従事者が患者とのコミュニケーションや専門的なケアにより専念しやすくなりました。
農業分野でも、ロボティクスの採用が広がっています。自動収穫機や除草ロボット、ドローンによる農薬散布など多数の作業が自動化され、業務効率化に大きく貢献してきました。天候や体調面の影響を受けることが少ないロボットであれば、作業可能な日数が増え、1日当たりの作業面積も広がります。また、センサーとAIを組み合わせる精密農業 (注2) により、土壌や作物の状態を細かく解析し、収穫量の増加や資源の有効活用が実現しやすくなるでしょう。さらに技術の進展で、農業の生産性はもちろん、農薬や肥料の最適化による水質汚染の軽減など、環境への配慮といった面でも大きなメリットが期待されています。
ロボティクス化は、単純作業の自動化だけでなく品質の安定や安全性の強化、さらにトレーサビリティの向上など、多くの恩恵をもたらします。以下に、3つのメリットを解説します。
ロボティクスを用いることで、作業品質を一定の水準で維持しつつ、24時間365日稼働できるようになりました。人間による作業では、熟練度の差や疲労などの影響で品質にばらつきが生じやすい一方で、ロボットは常に安定した性能を発揮できます。その結果、納期遅延のリスクが軽減され、生産量の安定化が見込めます。また、顧客満足度が高まるだけでなく、検査業務では見落としの防止や品質管理のばらつきが減り、安定化が期待できるでしょう。一例として、食品業界では異物混入を検知するロボットの活用が広がり、リスクヘッジを取りながら高品質な製品の安定供給に取り組んでいます。
危険な作業現場における安全性の強化も、ロボティクス化がもたらす重要なメリットです。高所・高温・高圧で行う業務、有害物質を扱う業務など、人間にとって危険なタスクをロボットに代行させることで、事故やケガの発生率を大幅に軽減できます。また、センサーやAIを組み合わせれば、障害物を検知し周囲をモニタリングできる仕組みが整えやすくなり、作業環境の安全性が一段と高まるでしょう。近年は、高所点検をドローンで行う事例も増えてきました。作業者が危険な場所へ立ち入る機会が減ることにより、従業員の心理的なストレス軽減も望めます。
トレーサビリティとは、生産から消費に至るまでの流れを追跡し、不具合や問題の原因を迅速に追究する仕組みです。ロボットによる業務は、作業内容や日時を正確に記録しやすく、不具合が生じた際の原因特定や対応を円滑に進めることが容易になります。製造工程で担当者が頻繁に代わる現場では、「誰がいつ何を行ったか」についての追跡が困難になるケースが珍しくありません。しかし、生産ラインのロボット化により、「いつ」「どこで」「何が行われたか」を正確に記録することで、品質保証やリスク管理を強化できます。
ロボティクスを採り入れると大きなメリットが期待できる反面、いくつかのデメリットも伴います。その中でも、初期投資コストや専門技術者の確保は大きな課題と言えるでしょう。特に、大規模な企業と比べてリソースの限られた中小企業にとっては、大きな障壁となる可能性が少なくありません。
ここでは、この2つの課題について解説します。
ロボティクスの導入には初期投資が必要です。ロボット本体の購入費用に加え、設置工事やソフトウェアの開発、インフラ整備といった初期コストが生じます。ただし、長期的には人件費の削減や業務効率化、製品の安定性向上による収益の拡大などが見込まれます。初期投資の負担軽減には、リースの利用や段階的な採用が有効な手段です。業種業態や地域によっては、補助金制度も活用できます。自社のニーズに合わせたコストと効果を試算し、適切な計画を策定しましょう。
ロボットの運用において、不具合やトラブルのリスクを避けることは難しく、定期的な保守・点検を実施し、予期せぬ問題に迅速に対応できる専門技術者の確保が欠かせません。専門技術者には、ロボットの操作やプログラムの設定だけでなく、トラブルシューティングの高度なスキルが求められます。導入後の運用・保守・点検については事前に計画を策定し、リスクをできるだけ軽減させる必要があります。同時に、技術の進歩に対応していくには、専門技術者への継続的な教育やスキルアップも不可欠です。社内での人材確保が難しい場合は、外部サービスの利用も検討しましょう。
ロボティクスは、ロボットの設計・開発・運用保守を行うための技術全般を指します。
よく比較される類似語として、以下の3つが挙げられるでしょう。
これらは、互いに関連性があるものの、それぞれに異なる意味を持つ独自の概念です。その違いを正確に理解することで、議論での誤解や実務での齟齬を防ぐことができます。それぞれの特徴についてみていきましょう。
「ロボット」は、特定のタスクを自動化するために設計された機械です。一方、「ロボティクス」は、ロボットの設計・開発・運用に関わる技術全般を表します。つまり、ロボットはモノを指し、ロボティクスは技術全般を指す点で大きく異なります。具体的には、工場のロボットアームやレストランの配膳ロボット、ドローンがロボットの代表例です。
その一方で、これらのロボットを動かす設計、プログラム、センサー技術などはロボティクスの領域となります。ロボットはロボティクス技術の成果物であり、両者は密接な関係にあるのです。
「オートメーション」は、作業の自動化プロセス全般を意味する言葉です。自動計算器や制御システムなど、人間の介入を最小限に抑える多くの技術が含まれており、「ロボット」はそのプロセスの一部として機能します。オートメーションの主な目的は、業務の効率化、コストの削減、そしてヒューマンエラーの防止です。
「ロボティクス」と「オートメーション」は、どちらも自動化技術ですが、焦点が異なります。オートメーションは広範な自動化システムを指すのに対し、ロボティクスはロボットの設計や制御、動作に特化した専門的な技術領域です。例えば、倉庫の業務では、オートメーションの活用が加速しています。入出荷の流れを一括で管理する「自動倉庫システム」、棚から商品を運ぶ「自動搬送システム」、ピッキング指示を行う「ピッキングシステム」など、さまざまな技術を組み合わせて効率化を図っているのです。
「RPA」とは「Robotic Process Automation」の略で、業務プロセスの自動化に特化したソフトウェア技術です。データ入力、定期的なレポート作成、請求書処理といった、定型的かつ反復的な作業を自動で実行することができます。これによりヒューマンエラーの削減や業務生産性の改善が見込めますが、臨機応変な対応や複雑な意思決定が要求される作業には適していません。
「ロボティクス」と「RPA」は、どちらも自動化を得意としますが、対象となる作業範囲は異なります。具体的には、RPAはコンピューター内での作業を自動化する技術に特化しており、ロボティクスはロボットアームやドローンなどの物理的なロボットを設計・制御・運用する技術です。
今後、ロボティクスはAIと融合し、自律的な学習や高度な判断が可能になると予測されています。また、IoTと組み合わせることで、リアルタイムにクラウドから情報を取得し、状況に応じた柔軟な判断や動作を実現できるでしょう。
現在、遠隔操作とロボットの技術進化により、災害現場のがれき撤去や原子力施設の点検など人間の安全性を確保しながら作業できる体制が整ってきています。人間と共同作業を行う協働ロボット (コボット・Cobot・Collaborative Robot) (注3) は、建設現場での資材搬送など一部の現場で実装が進みつつある状況です。
他方、ロボティクスが浸透することにより、雇用喪失やプライバシーの問題などの倫理的課題も生じます。こうした課題への対応には、規制やガイドラインの整備などが不可欠です。
ロボティクスを取り巻く現状として、製造業での生産ラインの自動化や、医療分野での手術支援ロボットなど、幅広い業界で採用が進んでいます。AIやIoTの進化に伴い、さらなる技術が期待されています。この技術を通じて業務全般の自動化や安全性の改善、品質の確保などが実現できます。業務効率化や人手不足対策として効果を発揮するロボティクスの活用を検討してみましょう。
KDDIでは、次世代ビジネスプラットフォーム「WAKONX (ワコンクロス)」を展開しています。WAKONX は3つの機能群で構成されており、ロボティクス技術の基盤としても活用でき、業務の効率化や革新を支援します。
ロボティクスをはじめとする物流DX (倉庫内の運搬装置の自動化など) やドローン、水空合体ドローン、コネクティッドカー、自動運転などモビリティ領域において、「あらゆる動くもの」を進化させることを目指しています。これにより、社会課題の解決や新たな体験の創出を追求しています。
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