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ロボティクスとは?導入のメリットやデメリット、ロボット技術の進化がもたらす業界ごとの変化を解説

ロボティクスとは?
導入のメリットやデメリット、ロボット技術の進化がもたらす業界ごとの変化を解説

2025 4/11
ロボティクスは、少子高齢化による人材不足や生産性の低下といった社会課題の解決を支援する革新的な技術として注目されています。製造業、医療、農業ほか多数の産業で活用が進み、人々の生活や産業構造に大きな変化をもたらしてきました。業務効率や生産性の向上が期待される一方で、新たな課題も浮上しているのが現状です。本記事では、ロボティクスの基本概念やメリット、課題、今後の展望を分かりやすく解説します。

※ 記事制作時の情報です。

1.ロボティクスとは

ロボティクスとは、ロボット技術設計開発応用総称する学問および技術を指し、「ロボット工学」とも呼ばれます。ロボットは、特定タスク効率的かつ適切実行できるようプログラムされた機械です。
こうしたロボット開発運用に関わる技術は、機械工学電気工学コンピューターサイエンスなどの領域展開されています。2章で詳しく述べますが、特にAI (人工知能) やIoT (注1)連携させたロボット技術は、大きな関心を集めています。

  • 注1) IoTとは、「Internet of Things」の略称で「モノインターネット」と訳されます。物理的デバイスオブジェクトインターネット接続し、データ収集分析を行う仕組みのこと。

2. ロボティクスが使われている業界や用途

ロボティクスは多くの業界普及が進んでおり、業務効率生産性だけでなく、安全性品質改善にも寄与しています。技術進歩するにつれ、さらに活躍の幅が拡大し、新たなイノベーション創出期待されるでしょう。
ここからは、製造業医療農業での活用事例紹介します。

天秤のアイコンを中心に、情報技術やデータ管理に関連するシンボルが周囲に配置された画像。手前にはパソコンのキーボードが見える。

2-1. 製造業


製造業では、人手不足技術継承などの課題解決に向け、ロボティクス採用急速拡大しています。これにより、自動車電子機器製造ラインでは、ロボットアームによる溶接や組み立て、品質検査自動化可能となり、生産性向上安全性強化に大きく寄与しています。
さらに、AIやIoTを活用した「スマートファクトリー」が普及し始めています。ロボットリアルタイムデータ収集分析し、生産ライン故障予測することで、より高い水準最適化実現できるようになりました。

生産ラインを見下ろす視点で、工場内にデジタルデータやグラフのアイコンが重ねられた画像。作業台や機械が並び、効率化を示唆している。

2-2. 医療


医療分野でも、ロボティクス患者ケア支援する重要要素となっています。例えば、手術支援ロボットは、高精度かつ精緻手術可能とし、医療事故発生患者負担軽減しました。また、リハビリ用の外骨格ロボットは、患者身体的サポートだけでなく、医療スタッフ作業負担を減らす効果見込めます。他方自律移動ロボット院内物流を担う事例もあり、医療従事者患者とのコミュニケーション専門的ケアにより専念しやすくなりました。

自動化されたラインで、透明なワクチンボトルが並んでいる画像。ボトルにはラベルが貼られ、注射器が取り付けられた機械のアームが見える。

2-3. 農業


農業分野でも、ロボティクス採用が広がっています。自動収穫機除草ロボットドローンによる農薬散布など多数作業自動化され、業務効率化に大きく貢献してきました。天候体調面影響を受けることが少ないロボットであれば、作業可能日数が増え、1日当たりの作業面積も広がります。また、センサーとAIを組み合わせる精密農業 (注2) により、土壌作物状態を細かく解析し、収穫量増加資源有効活用実現しやすくなるでしょう。さらに技術進展で、農業生産性はもちろん、農薬肥料最適化による水質汚染軽減など、環境への配慮といった面でも大きなメリット期待されています。

温室内で、緑の苗の間を作業するロボットアームの画像。土壌の上で作業を行い、周囲には健康的な植物が茂っている。
  • 注2) IoTやAIなど、ICT (情報通信技術) を駆使して、農業生産効率化を図る手法

3.ロボティクス化のメリット

ロボティクス化は、単純作業自動化だけでなく品質安定安全性強化、さらにトレーサビリティ向上など、多くの恩恵をもたらします。以下に、3つのメリット解説します。

ギアのアイコンが浮かぶ背景に、ビジネスマンが指を伸ばしている画像。ギアは青い光で強調され、周囲には矢印が描かれている。

3-1. 品質の安定

ロボティクスを用いることで、作業品質一定水準維持しつつ、24時間365日稼働できるようになりました。人間による作業では、熟練度の差や疲労などの影響品質にばらつきが生じやすい一方で、ロボットは常に安定した性能発揮できます。その結果納期遅延リスク軽減され、生産量安定化見込めます。また、顧客満足度が高まるだけでなく、検査業務では見落としの防止品質管理のばらつきが減り、安定化期待できるでしょう。一例として、食品業界では異物混入検知するロボット活用が広がり、リスクヘッジを取りながら高品質製品安定供給に取り組んでいます。


3-2. 安全性の確保

危険作業現場における安全性強化も、ロボティクス化がもたらす重要メリットです。高所高温高圧で行う業務有害物質を扱う業務など、人間にとって危険タスクロボット代行させることで、事故ケガ発生率大幅軽減できます。また、センサーやAIを組み合わせれば、障害物検知周囲モニタリングできる仕組みが整えやすくなり、作業環境安全性一段と高まるでしょう。近年は、高所点検ドローンで行う事例も増えてきました。作業者危険場所へ立ち入る機会が減ることにより、従業員心理的ストレス軽減も望めます。


3-3. トレーサビリティの実現

トレーサビリティとは、生産から消費に至るまでの流れを追跡し、不具合問題原因迅速追究する仕組みです。ロボットによる業務は、作業内容日時正確記録しやすく、不具合が生じた際の原因特定対応円滑に進めることが容易になります。製造工程担当者頻繁に代わる現場では、「誰がいつ何を行ったか」についての追跡困難になるケースが珍しくありません。しかし、生産ラインロボット化により、「いつ」「どこで」「何が行われたか」を正確記録することで、品質保証リスク管理強化できます。

4. ロボティクスにおける課題

ロボティクスを採り入れると大きなメリット期待できる反面、いくつかのデメリットも伴います。その中でも、初期投資コスト専門技術者確保は大きな課題と言えるでしょう。特に、大規模企業と比べてリソースの限られた中小企業にとっては、大きな障壁となる可能性が少なくありません。
ここでは、この2つの課題について解説します。


4-1. 導入コスト

ロボティクス導入には初期投資必要です。ロボット本体購入費用に加え、設置工事ソフトウェア開発インフラ整備といった初期コストが生じます。ただし、長期的には人件費削減業務効率化製品安定性向上による収益拡大などが見込まれます。初期投資負担軽減には、リース利用段階的採用有効手段です。業種業態地域によっては、補助金制度活用できます。自社ニーズに合わせたコスト効果試算し、適切計画策定しましょう。


4-2. 専門技術者の確保

ロボット運用において、不具合トラブルリスクを避けることは難しく、定期的保守点検実施し、予期せぬ問題迅速対応できる専門技術者確保が欠かせません。専門技術者には、ロボット操作プログラム設定だけでなく、トラブルシューティング高度スキルが求められます。導入後運用保守点検については事前計画策定し、リスクをできるだけ軽減させる必要があります。同時に、技術進歩対応していくには、専門技術者への継続的教育スキルアップ不可欠です。社内での人材確保が難しい場合は、外部サービス利用検討しましょう。

5.ロボティクスと類似語との違い

ロボティクスは、ロボット設計開発運用保守を行うための技術全般を指します。
よく比較される類似語として、以下の3つが挙げられるでしょう。

  • ロボット
  • オートメーション
  • RPA

これらは、互いに関連性があるものの、それぞれに異なる意味を持つ独自概念です。その違いを正確理解することで、議論での誤解実務での齟齬を防ぐことができます。それぞれの特徴についてみていきましょう。


5-1. ロボットとの違い

ロボット」は、特定タスク自動化するために設計された機械です。一方、「ロボティクス」は、ロボット設計開発運用に関わる技術全般を表します。つまり、ロボットモノを指し、ロボティクス技術全般を指す点で大きく異なります。具体的には、工場ロボットアームレストラン配膳ロボットドローンロボット代表例です。

その一方で、これらのロボットを動かす設計プログラムセンサー技術などはロボティクス領域となります。ロボットロボティクス技術成果物であり、両者密接関係にあるのです。


5-2. オートメーションとの違い

オートメーション」は、作業自動化プロセス全般意味する言葉です。自動計算器制御システムなど、人間介入最小限に抑える多くの技術が含まれており、「ロボット」はそのプロセス一部として機能します。オートメーションの主な目的は、業務効率化コスト削減、そしてヒューマンエラー防止です。

ロボティクス」と「オートメーション」は、どちらも自動化技術ですが、焦点が異なります。オートメーション広範自動化システムを指すのに対し、ロボティクスロボット設計制御動作特化した専門的技術領域です。例えば、倉庫業務では、オートメーション活用加速しています。入出荷の流れを一括管理する「自動倉庫システム」、棚から商品を運ぶ「自動搬送システム」、ピッキング指示を行う「ピッキングシステム」など、さまざまな技術を組み合わせて効率化を図っているのです。


5-3. RPA (Robotic Process Automation) との違い

「RPA」とは「Robotic Process Automation」の略で、業務プロセス自動化特化したソフトウェア技術です。データ入力定期的レポート作成請求書処理といった、定型的かつ反復的作業自動実行することができます。これによりヒューマンエラー削減業務生産性改善見込めますが、臨機応変対応複雑意思決定要求される作業には適していません。

ロボティクス」と「RPA」は、どちらも自動化得意としますが、対象となる作業範囲は異なります。具体的には、RPAはコンピューター内での作業自動化する技術特化しており、ロボティクスロボットアームドローンなどの物理的ロボット設計制御運用する技術です。

6.ロボティクスの今後の展望

今後ロボティクスはAIと融合し、自律的学習高度判断可能になると予測されています。また、IoTと組み合わせることで、リアルタイムクラウドから情報取得し、状況に応じた柔軟判断動作実現できるでしょう。

現在遠隔操作ロボット技術進化により、災害現場のがれき撤去原子力施設点検など人間安全性確保しながら作業できる体制が整ってきています。人間共同作業を行う協働ロボット (コボット・Cobot・Collaborative Robot) (注3) は、建設現場での資材搬送など一部現場実装が進みつつある状況です。
他方ロボティクス浸透することにより、雇用喪失プライバシー問題などの倫理的課題も生じます。こうした課題への対応には、規制ガイドライン整備などが不可欠です。

  • 注3) 協働ロボット (コボット・Cobot・Collaborative Robot) とは、人間とともに作業を行うことを目的としたロボット安全性重視して設計され、人と近接して作業ができるよう多くのセンサー柔軟操作性を備えており、単純作業から高度協働作業まで幅広対応します。

7.まとめ

ロボティクスを取り巻く現状として、製造業での生産ライン自動化や、医療分野での手術支援ロボットなど、幅広業界採用が進んでいます。AIやIoTの進化に伴い、さらなる技術期待されています。この技術を通じて業務全般自動化安全性改善品質確保などが実現できます。業務効率化人手不足対策として効果発揮するロボティクス活用検討してみましょう。

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