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※ 記事制作時の情報です。
SIEMは、ネットワーク上のセキュリティを高度に管理・監視するシステムです。ファイアウォール、IDS/IPS (ネットワークやサーバーの不正アクセスや異常な通信を検知・防御するセキュリティサービス) 、プロキシなど、さまざまなセキュリティ機器から生成されるログやデータを一箇所に集約し、それらを統合的に分析します。
サイバー攻撃やマルウェア感染によるインシデントを迅速かつ効率的に検知し、継続的な監視と分析により脅威を未然に防ぐことで、強固なセキュリティ環境を構築します。
SIEMは、2005年にガートナー社によって提唱され、当初は、セキュリティ情報管理 (SIM) とセキュリティイベント管理 (SEM) を統合したツールとして登場しました。その後、処理できるデータの量や関連付けられるイベントの技術的進化を経て、現在ではエンドツーエンドのサイバーセキュリティ管理・統制・コンプライアンス対応を支援する、包括的なソリューションとして知られています。
SIEMがこのような進化を遂げた背景には、サイバー犯罪の増加や、リアルタイムデータの活用が進むITサービスの普及、クラウド環境の複雑化などがあります。例えば、データ侵害の平均コストは年々増加しており、2024年のIBMの調査 (注) によれば、世界平均では488万ドルとなり、過去最高となりました。また、侵害されたデータがパブリッククラウドに保存されていた場合の平均コストは517万米ドルに達し、こちらも史上最高値を記録しました。つまり、管理の効率化が喫緊の課題であることが明らかになり、より包括的なシステムが求められています。
SIEMは、サーバー、ネットワークデバイス、セキュリティデバイス、アプリケーション、クラウドサービスなど、企業のネットワーク全体から多様なイベントデータを集約し、一元的に監視・分析を行うシステムです。
収集されたデータは統合され、ユーザーや資産に関する情報を付加された形で可視化されるため、管理者はひとつの画面で企業全体のセキュリティ状況を確認できます。
SIEMのデータソースには、ルーター、スイッチ、ファイアウォール、侵入防止システム (IPS) 、Webサーバー、メールサーバー、クラウドサービスなどが含まれます。また、ログイン履歴やIPアドレス、イベントのタイプなども分析対象となります。
リアルタイム分析により、異常な挙動や潜在的な脅威を迅速に検出し、セキュリティ管理者にアラートを通知します。
従来の脅威検出は、ルールベースが一般的でしたが、基準値設定のミスやシステムの一時的な挙動により、誤検知が発生しやすいという課題がありました。
近年のSIEMは、AIや機械学習を活用し、正常な動作パターンの学習により誤検知を削減し、精度の高いアラートを生成できるようになりました。アラートの精度が向上すれば、セキュリティ管理者は業務の効率化が図れます。また、潜在的な脅威の詳細はダッシュボードに通知されるため、迅速な調査と適切な対応が可能です。
さらに、SIEMは現在の組織のニーズに適応するだけでなく、IT環境の変化にも柔軟に対応できることから、長期的な運用においても高い効果が見込めます。
SIEMとは別のセキュリティソリューションとして、SOAR (Security Orchestration, Automation and Response:セキュリティのオーケストレーションと自動化によるレスポンス) やXDR (Extended Detection and Response:拡張された検出と応答) などは、自動化や特定領域へ機能を集中させることでセキュリティオペレーションのさらなる効率化を可能にします。本項では、SIEMとほかのサイバーセキュリティソリューションとの関係性について詳しく解説します。
UBA (User Behavior Analytics、ユーザー行動分析) は、UEBA (User and Entity Behavior Analytics、ユーザー/エンティティ行動分析) とも呼ばれ、ユーザーやシステムの行動データを分析し、脅威の検出やインシデント対応を支援する仕組みです。例えば、通常とは異なる時間帯でのログインや大量のデータ転送などの不審な行動が検出されると、サイバー攻撃の兆候として管理者に通知されます。
UBAをSIEMと連携させることで、悪意のある行動をリアルタイムで監視し、潜在的なセキュリティリスクを特定することが可能になります。これにより、早期の予防措置がとれるようになり、組織内外から発生する高度なリスクへの対応を強化できます。
SOARは、セキュリティオペレーションの効率化を目的としたオーケストレーション (統合管理) と復旧作業の自動化、さらにインシデント対応を含む技術です。SIEMは主に監視と検出に焦点を当てていますが、SOARは機械学習による自動化機能が組み込まれており、インシデント対応を迅速に実行することができます。
SIEMで検出された脅威を、SOARによる復旧作業の自動対応で、より強力で効率的なセキュリティ運用を実現します。
XDRは、パソコンやスマートフォンといったエンドポイントの脅威検出・調査・対応を効率化する技術です。SOC (Security Operation Center:セキュリティオペレーションセンター) のアナリストを支援する統合プラットフォームとして機能し、トリアージや検証、対応プロセスを合理化することで、インシデントへ迅速に対応できるように設計されています。
XDRとSIEMの大きな違いはデータの取り込み範囲です。SIEMはファイアウォール、クラウドサービス、ネットワークデバイスなど多様なデータソースを収集するのに対し、XDRはエンドポイントや特定のセキュリティソリューションに特化し、高精度の脅威検出を行います。
また、データの保存能力にも違いがあります。SIEMは大量のデータを長期間保存できるのに対し、XDRは保存期間が限定され、即時の脅威対応に特化しています。
SIEMは、現代のセキュリティ管理において不可欠です。組織のIT環境を保護する代表的な3つの機能を解説します。
従来の手作業によるログ分析では、複数のデバイスを横断したデータ照合に膨大な時間と労力を要していました。SIEMは、個々のデバイスに分散している大量のログデータを一箇所に集約し、効率的に管理できます。集約したログを分析し、異常な活動や潜在的な脅威を迅速に特定することが可能です。
SIEMは、多様なデータソースのログを相関分析し、単一のログのみでは見逃されやすい異常な挙動や潜在的な脅威を検出します。具体的には、ファイアウォールとサーバーのログを相関分析することで、不正アクセスの兆候を迅速に発見することが可能です。また、過去のデータを基にした機械学習を活用することにより、分析精度が向上し、高度な脅威検出を実現します。
SIEMは、ログが発生すると即座に分析を行い、過去のデータや運用実績と比較しながら、サイバー攻撃やマルウェアの兆候を検出します。異常な挙動を検知した場合、SIEMはアラートを発信し、セキュリティ管理者に即時通知します。この通知を基に管理者はインシデントの深刻度を評価して、適切な対応を講じることができます。
SIEMを効果的に導入するには「導入前の計画と目標設定」「導入後の継続的なメンテナンス」「経験豊富な人材の確保と育成」が重要です。
SIEMを導入する際は目的を明確にし、具体的な目標を設定することが重要です。
また、収集するデータの種類や量、ネットワークの規模、地理的要件、コンプライアンス上の義務、予算、担当者のスキルレベルなど、さまざまな要素を考慮する必要があります。組織のセキュリティニーズに加え、将来的な成長やセキュリティ機能の拡張も見据えた計画を立てることで、SIEMの導入効果を高めることができます。
SIEMを適切に運用するためには導入後の継続的なメンテナンスが重要です。システムを定期的に評価し、ビジネス環境やセキュリティ脅威の変化に応じて適切に調整しましょう。例えば、アラートの条件設定や対応手順を見直すことで、誤検知や不要なアラートを減らし、重要な脅威への対応に集中しやすくなる場合があります。
SIEMの導入や保守運用には経験豊富な人材の確保とスタッフの継続的なトレーニングが必要です。適切な設定やチューニング、異常検知の分析、アラート管理には、セキュリティに関する深い理解と専門的なスキルが求められます。
セキュリティ環境は日々変化しており、新たな脅威に対応するにはスタッフのスキル向上と知識習得が欠かせません。そのため、定期的な研修やトレーニングプログラムの実施に加え、最新のセキュリティ動向を学ぶ機会を提供することが重要です。
SIEM (Security Information and Event Management) は、複雑化する脅威に対応し、組織のセキュリティを強化するシステムです。迅速なインシデント対応を可能にし、データの安全性や業務の継続性を確保する役割を担っています。
適切な導入と運用を行うことで、組織全体のリスク管理能力が向上し、サイバー攻撃への耐性が強化されます。これからのセキュリティ対策を検討する際、SIEMの導入は有力な選択肢の一つとなるでしょう。
KDDIは、豊富な実績を活かし、SIEMを含むゼロトラスト型セキュリティに基づいた統合的な解決策を提供しています。
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