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SIEM (シーム・Security Information and Event Management) とは?セキュリティの異常を自動検知する仕組みについて解説

SIEM (シーム・Security Information and Event Management) とは?
セキュリティの異常を自動検知する仕組みについて解説

2025 5/12
近年、サイバー攻撃が巧妙化する中、企業のセキュリティ対策には高度な管理と迅速な対応が求められています。そうした状況で注目されているのが、SIEM (Security Information and Event Management:セキュリティ情報イベント管理) です。SIEMは、複数のセキュリティデバイスやシステムから生成されるログやデータを統合・可視化し、異常を検知して迅速なインシデント対応を行うシステムで、データの安全性や業務の継続性を確保する役割を果たします。本記事では、SIEMの仕組みやメリット、ほかのサイバーセキュリティソリューションとの違いなどをわかりやすく解説します。

※ 記事制作時の情報です。

1.SIEMとは

SIEMは、ネットワーク上のセキュリティ高度管理監視するシステムです。ファイアウォール、IDS/IPS (ネットワークサーバー不正アクセス異常通信検知防御するセキュリティサービス) 、プロキシなど、さまざまなセキュリティ機器から生成されるログデータ一箇所集約し、それらを統合的分析します。
サイバー攻撃マルウェア感染によるインシデント迅速かつ効率的検知し、継続的監視分析により脅威未然に防ぐことで、強固セキュリティ環境構築します。

2.SIEMの現状とサイバーインシデントの動向

SIEMは、2005年にガートナー社によって提唱され、当初は、セキュリティ情報管理 (SIM) とセキュリティイベント管理 (SEM) を統合したツールとして登場しました。その後、処理できるデータの量や関連付けられるイベント技術的進化を経て、現在ではエンドツーエンドサイバーセキュリティ管理統制・コンプライアンス対応支援する、包括的ソリューションとして知られています。
SIEMがこのような進化を遂げた背景には、サイバー犯罪増加や、リアルタイムデータ活用が進むITサービス普及クラウド環境複雑化などがあります。例えば、データ侵害平均コストは年々増加しており、2024年のIBMの調査 (注) によれば、世界平均では488万ドルとなり、過去最高となりました。また、侵害されたデータパブリッククラウド保存されていた場合平均コストは517万米ドルに達し、こちらも史上最高値記録しました。つまり、管理効率化喫緊課題であることが明らかになり、より包括的システムが求められています。

3.SIEMの仕組み

SIEMは、サーバーネットワークデバイスセキュリティデバイスアプリケーションクラウドサービスなど、企業ネットワーク全体から多様イベントデータ集約し、一元的監視分析を行うシステムです。
収集されたデータ統合され、ユーザー資産に関する情報付加された形で可視化されるため、管理者はひとつの画面企業全体セキュリティ状況確認できます。
SIEMのデータソースには、ルータースイッチファイアウォール侵入防止システム (IPS) 、Webサーバーメールサーバークラウドサービスなどが含まれます。また、ログイン履歴やIPアドレスイベントタイプなども分析対象となります。
リアルタイム分析により、異常挙動潜在的脅威迅速検出し、セキュリティ管理者アラート通知します。

4.SIEMを導入するメリット

従来脅威検出は、ルールベース一般的でしたが、基準値設定ミスシステム一時的挙動により、誤検知発生しやすいという課題がありました。
近年のSIEMは、AIや機械学習活用し、正常動作パターン学習により誤検知削減し、精度の高いアラート生成できるようになりました。アラート精度向上すれば、セキュリティ管理者業務効率化が図れます。また、潜在的脅威詳細ダッシュボード通知されるため、迅速調査適切対応可能です。
さらに、SIEMは現在組織ニーズ適応するだけでなく、IT環境変化にも柔軟対応できることから、長期的運用においても高い効果見込めます。

5.SIEMとほかのサイバーセキュリティソリューションとの関係性

SIEMとは別のセキュリティソリューションとして、SOAR (Security Orchestration, Automation and Response:セキュリティオーケストレーション自動化によるレスポンス) やXDR (Extended Detection and Response:拡張された検出応答) などは、自動化特定領域機能集中させることでセキュリティオペレーションのさらなる効率化可能にします。本項では、SIEMとほかのサイバーセキュリティソリューションとの関係性について詳しく解説します。

セキュリティソリューションのイメージ画像

5-1. SIEMにおけるUBAの役割

UBA (User Behavior Analytics、ユーザー行動分析) は、UEBA (User and Entity Behavior Analytics、ユーザー/エンティティ行動分析) とも呼ばれ、ユーザーシステム行動データ分析し、脅威検出インシデント対応支援する仕組みです。例えば、通常とは異なる時間帯でのログイン大量データ転送などの不審行動検出されると、サイバー攻撃兆候として管理者通知されます。
UBAをSIEMと連携させることで、悪意のある行動リアルタイム監視し、潜在的なセキュリティリスクを特定することが可能になります。これにより、早期予防措置がとれるようになり、組織内外から発生する高度リスクへの対応強化できます。


5-2. SIEMとSOARの違い

SOARは、セキュリティオペレーション効率化目的としたオーケストレーション (統合管理) と復旧作業自動化、さらにインシデント対応を含む技術です。SIEMは主に監視検出焦点を当てていますが、SOARは機械学習による自動化機能が組み込まれており、インシデント対応迅速実行することができます。

SIEMで検出された脅威を、SOARによる復旧作業自動対応で、より強力効率的セキュリティ運用実現します。


5-3. SIEMとXDRの違い

XDRは、パソコンスマートフォンといったエンドポイント脅威検出調査対応効率化する技術です。SOC (Security Operation Center:セキュリティオペレーションセンター) のアナリスト支援する統合プラットフォームとして機能し、トリアージ検証対応プロセス合理化することで、インシデント迅速対応できるように設計されています。
XDRとSIEMの大きな違いはデータの取り込み範囲です。SIEMはファイアウォールクラウドサービスネットワークデバイスなど多様データソース収集するのに対し、XDRはエンドポイント特定のセキュリティソリューションに特化し、高精度脅威検出を行います。
また、データ保存能力にも違いがあります。SIEMは大量データ長期間保存できるのに対し、XDRは保存期間限定され、即時脅威対応特化しています。

6.SIEMソリューションの主な機能

セキュリティ管理のイメージ画像

SIEMは、現代セキュリティ管理において不可欠です。組織のIT環境保護する代表的な3つの機能解説します。


6-1. ログの収集と統合管理

従来手作業によるログ分析では、複数デバイス横断したデータ照合膨大時間労力を要していました。SIEMは、個々のデバイス分散している大量ログデータ一箇所集約し、効率的管理できます。集約したログ分析し、異常活動潜在的脅威迅速特定することが可能です。


6-2. 相関分析による異常検出

SIEMは、多様データソースログ相関分析し、単一ログのみでは見逃されやすい異常挙動潜在的脅威検出します。具体的には、ファイアウォールサーバーログ相関分析することで、不正アクセス兆候迅速発見することが可能です。また、過去データを基にした機械学習活用することにより、分析精度向上し、高度脅威検出実現します。


6-3. リアルタイム監視とアラート通知

SIEMは、ログ発生すると即座分析を行い、過去データ運用実績比較しながら、サイバー攻撃マルウェア兆候検出します。異常挙動検知した場合、SIEMはアラート発信し、セキュリティ管理者即時通知します。この通知を基に管理者インシデント深刻度評価して、適切対応を講じることができます。

7.SIEMの導入における重要な3つのポイント

SIEMのイメージ画像

SIEMを効果的導入するには「導入前計画目標設定」「導入後継続的メンテナンス」「経験豊富人材確保育成」が重要です。


7-1. 導入前の計画と目標設定

SIEMを導入する際は目的明確にし、具体的目標設定することが重要です。
また、収集するデータ種類や量、ネットワーク規模地理的要件コンプライアンス上の義務予算担当者スキルレベルなど、さまざまな要素考慮する必要があります。組織セキュリティニーズに加え、将来的成長セキュリティ機能拡張見据えた計画を立てることで、SIEMの導入効果を高めることができます。


7-2. 導入後の継続的なメンテナンス

SIEMを適切運用するためには導入後継続的メンテナンス重要です。システム定期的評価し、ビジネス環境セキュリティ脅威変化に応じて適切調整しましょう。例えば、アラート条件設定対応手順見直すことで、誤検知不要アラートを減らし、重要脅威への対応集中しやすくなる場合があります。


7-3. 経験豊富な人材の確保と育成

SIEMの導入保守運用には経験豊富人材確保スタッフ継続的トレーニング必要です。適切設定チューニング異常検知分析アラート管理には、セキュリティに関する深い理解専門的スキルが求められます。
セキュリティ環境は日々変化しており、新たな脅威対応するにはスタッフスキル向上知識習得が欠かせません。そのため、定期的研修トレーニングプログラム実施に加え、最新セキュリティ動向を学ぶ機会提供することが重要です。

8.まとめ

SIEM (Security Information and Event Management) は、複雑化する脅威対応し、組織セキュリティ強化するシステムです。迅速インシデント対応可能にし、データ安全性業務継続性確保する役割を担っています。
適切導入運用を行うことで、組織全体リスク管理能力向上し、サイバー攻撃への耐性強化されます。これからのセキュリティ対策検討する際、SIEMの導入有力選択肢の一つとなるでしょう。

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