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VPNの脆弱性に潜むリスクとは?発生要因や被害例、対策方法を解説

VPNの脆弱性に潜むリスクとは?発生要因や被害例、対策方法を解説

2026 5/21
VPNは、安全なリモートアクセスを実現するために多くの企業で利用されています。しかし、そのVPN機器に脆弱性があると、サイバー攻撃の侵入経路となり、事業継続を脅かす深刻な被害につながるおそれがあります。この記事では、VPNの基本的な仕組みから、脆弱性が生まれる主な要因、そして具体的なセキュリティ対策のポイントまでを分かりやすく解説します。自社のリモートワーク環境をより安全にするための具体的な手順や考え方が分かり、すぐに実践しやすい内容です。VPNのセキュリティに少しでも不安のある方は、ぜひご一読ください。

※ 記事制作時の情報です。

1.VPNの仕組みと脆弱性の基本

VPN (Virtual Private Network) とは、インターネットのような不特定多数利用するネットワーク上に、仮想的専用線構築し、通信内容暗号化することで第三者による盗聴や改ざんを防ぐ技術です。この仕組みにより、従業員自宅外出先からでも、オフィスにいるときと同じように社内ネットワーク安全アクセスできます。

しかし、このVPNを構成する機器ソフトウェア設計上不備、すなわち「脆弱性」が存在すると、それがサイバー攻撃標的となります。VPNの脆弱性悪用されると、暗号化された通信を守るはずの「門」が破られ、不正アクセス入口となってしまうのです。

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1-1. VPNの脆弱性を放置するリスク

VPNの脆弱性放置することは、企業機密情報顧客情報危険にさらす行為にほかなりません。攻撃者はこの脆弱性突破口社内ネットワーク侵入し、データ窃取システム破壊を引き起こします。

特に近年、最も深刻リスクの一つがランサムウェア攻撃です。警察庁によると、企業団体感染したランサムウェア侵入経路のうち、実に6割以上がVPN機器からの侵入であったことが報告されています (注1)

これは、多くの企業利用するVPNが攻撃者にとって格好標的となっている現実を示しています。

2.VPNの脆弱性が発生する主な原因

VPNの安全性は、機器ソフトウェア運用方法によって大きく左右されます。ここでは、VPNに脆弱性が生まれてしまう主な3つの要因について解説します。

2-1. 古いバージョンを狙った侵入


VPN機器ハードウェアや、その上で動作するソフトウェア (ファームウェア) を古いバージョンのまま使い続けることは極めて危険です。ソフトウェアには日々新たな脆弱性発見されており、開発事業者はそれらを修正するための更新プログラム提供しています。

この更新を怠ると、攻撃者既知脆弱性悪用して容易システム侵入できてしまいます。例えば、過去には特定のVPN製品脆弱性 (CVE-2019-11510) (注2)悪用され、認証情報がなくてもシステムファイルへのアクセス可能となり、結果として認証情報が盗まれるという事件世界中多発しました。自社利用しているVPN機器バージョンは常に最新状態に保ちましょう。

古いバージョンを狙った侵入のイメージ画像
  • 注2) CVE (Common Vulnerabilities and Exposures) は、脆弱性一意識別するための国際標準のIDです。各IDは「CVE-年-番号」の形式で表され、情報共有対策迅速化に用いられます (例:CVE-2019-11510)。

2-2. ウィルス感染端末からの侵入

VPN機器自体問題がなくても、ウィルス感染した従業員パソコンがVPNに接続することで、社内ネットワーク全体危険にさらされることがあります。これは、感染した端末が「踏み台」となり、VPNという正規ルートを通じて社内ネットワークへの侵入を許してしまうためです。

特にリモートワーク環境では、従業員自宅にあるパソコンセキュリティ対策不十分ケースも少なくありません。例えば、OSやウィルス対策ソフト最新でなかったり、不審メール添付ファイルを開いてしまったりすることで端末感染し、その端末からVPN接続された瞬間に、社内全体被害拡大 (ラテラルムーブメント) するリスクがあるのです。

2-3. 機器の設定ミス

VPN機器導入時に、セキュリティ設定を誤ってしまうことも脆弱性が生じる大きな原因です。ヒューマンエラーによる単純ミスが、攻撃者侵入糸口を与えてしまいます。

典型的設定ミスとしては、以下のようなものが挙げられます。

  • 推測されやすい安易パスワード設定している
  • 本来内部からのみアクセス可能にすべき管理画面を、インターネット上に公開してしまっている
  • 多要素認証 (MFA) のような、より強固認証方式設定していない

これらの設定ミスは、基本的防御十分に働いていない状態です。攻撃者は常にインターネット上で設定の甘い機器を探しており、ひとたび発見されると、不正アクセス設定の改ざんといった被害直結する可能性があります。

3.VPNの脆弱性を狙ったサイバー攻撃の被害例一覧

VPNの脆弱性原因発生する被害は、データの漏えいや金銭的損失にとどまらず、事業停止という最悪事態を招くこともあります。ここでは、実際報告されている主な被害一覧紹介します。

被害の種類 具体的な内容
ランサムウェア感染 VPN経由でネットワークに侵入され、サーバーやパソコン内のデータが暗号化される。業務の復旧と引き換えに高額な身代金を要求されるケース。
機密情報の漏えい 顧客情報、技術情報、財務情報などの重要なデータが盗まれ、外部に公開されたり、ダークウェブ上で売買されたりするおそれがある。
システムの停止 基幹システムや生産管理システムが停止し、事業活動が長期間にわたって停止する。結果として、サプライチェーン全体に影響が及ぶこともある。
不正送金 経理システムなどに侵入され、攻撃者が管理する口座へ不正に送金される被害が発生する。
DDoS攻撃の踏み台化 侵害されたVPN機器が、ほかの企業や組織を攻撃するための「踏み台」として悪用される。意図せず自社が加害者となるリスクがある。

3-1. 被害例1:大手飲料メーカーのサプライチェーン寸断


被害例1:大手飲料メーカーのサプライチェーン寸断のイメージ画像

2025年9月、国内大手飲料メーカー大規模ランサムウェア攻撃を受け、グループ全体基幹システム停止する事態に陥りました。この攻撃により受注物流システム混乱し、国内生産および出荷一時的ストップ。その結果同年10月の主要事業売上前年同月比で2〜4割の大幅減少となり、システム完全復旧までに約5カ月を要する見込みとなるなど、事業深刻影響を与えました。

同社公式発表で、侵入経路拠点設置されたネットワーク機器としていますが、その後の再発防止策として社内ネットワークリモート接続するためのVPNの使用停止を掲げました。このことから、VPN機器脆弱性攻撃起点となり、サプライチェーン全体を揺るがす大規模インシデント発展した可能性推測されます。

3-2. 被害例2:米石油パイプラインの操業停止

2021年、米国主要石油パイプライン企業ランサムウェア攻撃を受け、約1週間にわたり操業停止しました。これにより、アメリカ東海岸広範囲ガソリン供給不足発生し、社会的パニックを引き起こしました。

攻撃発端は、多要素認証 (MFA) が設定されていなかった旧式 (レガシー) のVPNアカウント認証情報ダークウェブ上で入手され、不正アクセス利用されたことです。この事例は、VPN機器自体脆弱性だけでなく、不十分認証設定がいかに致命的結果を招くかを明確に示しています。

4.VPNを安全に運用するセキュリティ対策のポイント

VPNを安全利用し続けるためには、機器導入して終わりではなく、継続的セキュリティ対策不可欠です。ここでは、企業が取り組むべき重要ポイント解説します。

4-1. 脆弱性情報の継続的な把握

自社利用しているVPN機器に関する脆弱性情報を日ごろから継続的収集し、迅速対応できる体制を整えることが大切です。脆弱性情報は、主に以下情報源から入手できます。

  • JPCERT/CC (ジェーピーサート・コーディネーションセンター):日本国内セキュリティインシデント対応する組織で、国内外最新脆弱性情報日本語提供しています。
  • IPA (情報処理推進機構):重要セキュリティ情報を「情報セキュリティ早期警戒パートナーシップ」を通じて公開しており、対策方法なども解説しています。
  • VPN機器事業者サイト利用している機器開発元が、自社製品脆弱性情報修正プログラム公開しています。

これらのサイト定期的確認する担当者を決め、新たな脆弱性発見された場合は、速やかに修正プログラム適用する運用ルール化しましょう。

4-2. 従業員教育の強化

セキュリティ対策は、システムだけでなく「人」の対策同様重要です。従業員一人ひとりのセキュリティリテラシーが低いと、それが組織全体弱点となりかねません。

具体的には、以下のような内容を含むセキュリティ教育定期的実施することが効果的です。

  • 不審メールやSMSの見分け方
  • パスワード適切管理方法 (使い回しの禁止定期的変更)
  • 公共のWi-Fiを利用する際のリスク
  • 社内情報を扱う上での心構

座学だけでなく、実際不審メールを送って対応訓練する「標的型攻撃メール訓練」などを取り入れると、従業員当事者意識を高めることができます。

4-3. 運用ルールの徹底


VPNを安全利用するための運用ルール明確に定め、全社徹底することも欠かせません。ルール策定する際は、以下ポイントを盛り込むことが推奨されます。

  • 認証強化:IDとパスワードだけの認証に頼らず、スマートフォンアプリやSMSなどを利用した多要素認証 (MFA) を必須とします。
  • アクセス最小化従業員役職業務内容に応じて、アクセスできるサーバー情報資産必要最小限制限します (最小権限原則)。
  • ログ監視:VPNのアクセスログ定期的監視し、不審時間帯場所からのアクセスがないかを確認する体制構築します。
  • 定期的設定見直し:年に1回など、定期的にVPN機器設定内容適切であるかを見直機会を設けます。
運用ルールの徹底のイメージ画像

これらのルール文書化し、従業員周知徹底することで、組織全体セキュリティレベル向上させることができます。

5.まとめ

本記事では、VPNの脆弱性がもたらすリスクと、それを防ぐための具体的セキュリティ対策について解説しました。VPNは便利ツールですが、設定不備パッチ未適用などの問題があると重大リスクにつながります。安全運用するためには、JPCERT/CCやセキュリティ専門事業者公開する脆弱性情報継続的チェックし、迅速パッチ適用徹底することが欠かせません。また、多要素認証導入アクセス権限最小化といった運用ルール整備に加え、従業員セキュリティ教育定期的実施することも重要ポイントです。

ただし、これらの対策自社だけで確実遂行するには、専門スキル一定運用リソース必要になります。もしVPNの運用不安がある場合は、専門家サポート外部サービス活用視野に入れることが、現実的かつ効果的選択肢となるでしょう。

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