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テレワーク時の工夫は? 困っていることは?
Smart Workコラム vol. 02

テレワーク時の工夫は? 困っていることは?

飲み会が減ってうれしいのは20代、悲しいのは40代以上? アンケートで本音が見えてきた!

2020 9/30
新型コロナウイルス感染対策として、政府や都道府県が「外出を控えて仕事はテレワークで」と在宅での勤務を推奨する中、3月頃よりテレワークの実施に踏み切る企業が相次ぎました。本来であれば環境を整備するべきですが、準備に十分な時間を取ることができないままテレワークを実施することになった企業では混乱が生じたようです。
外出制限期間が延びる中、KDDIではテレワークで働く人たちの実態を調査するためWEBアンケートを実施しました。
本コラムではその結果の中から、いくつか抜粋してご紹介します。
※ 記事内の社名、部署名、役職は取材当時のものです。

世代ごとに実感が変わるテレワークのメリット

まず、テレワーク頻度を見ると、全てが完全テレワーク実現しているわけではないと分かります。
完全テレワーク実現している場合は「毎日」と回答することになりますが、その比率全体半分程度で、従業員数1,000人以上大企業中堅以下企業比較すると、大企業ほど完全テレワーク実現している傾向が見られます(図1)。

図1:従業員規模別に見るテレワークの実施頻度
図1:従業員規模別に見るテレワークの実施頻度
出典: KDDI 自社調査

次に実施してみて分かったメリット確認したところ、世代ごとに差があると判明しました。

図2:年齢層別に見るテレワークで実感したメリット
図2:年齢層別に見るテレワークで実感したメリット(複数回答)
出典: KDDI 自社調査

特に顕著なのが生活面です。
図2を見ると、全体では「通勤時間をなくすことができる」が9割以上支持を集めましたが、生活関連するメリットを挙げる回答相対的に少なく、「趣味に費やす時間家族と過ごす時間が増えた」は26.2%に留まります。

興味深いのが「飲み会の回数が減った」を良かった点に挙げる意見が20代で最も多いことです。20代ほどではありませんが、30代も40代以上に比べて回答が多い傾向が見られます。ここでの飲み会とは仕事関係のものとは限りませんが、趣味家族との時間優先したいという世代特有価値観の違いが反映されているようです。

一方、よい兆候ではないのが、「作業集中しやすい」を挙げる回答比較的少なく、かつ世代間の差もほとんど見られないことです。通勤時間がなくなった分、その時間有効に使うことができればいいのですが、環境がそれを許さないのかもしれません。例えば、学校に行っているはずの子供が家にいて、その世話仕事中断しなくてはならないなど、特殊事情影響している可能性があります。


デジタル化の遅れが足かせとなる完全テレワークの実現

続いて、テレワーク不便に感じている点を調べた結果紹介しましょう。
今回調査では、仕事生活という2つの視点からどんなことを不便と感じているかを聞きました。

図3:テレワークの形態ごとに見るテレワークを実施する上で不便に感じていること:仕事面
図3:テレワークの形態ごとに見るテレワークを実施する上で不便に感じていること:仕事面(複数回答)
出典: KDDI 自社調査

まず、仕事面不便に感じている点です。
図3は、出勤のない「完全テレワーク」と出勤のある「限定テレワーク」のケースそれぞれで結果比較したものになります。全体的に最も多くの回答を集めたのは、「同僚との何気ないコミュニケーションがとりづらい」ことです。雑談による気分転換を含め、対面でのコミュニケーションを全てオンラインで行わなくてはならないことにストレスを感じている可能性があります。次に回答が多かった「ネットワーク環境が悪い/回線速度が遅い」ことは、住宅事情関係ありそうです。マンションのように複数世帯設備共有していたり、家族設備共有していたりで、普段以上通信環境負荷がかかっている可能性があります。

完全テレワークと比べて限定テレワーク場合指摘が多い回答は、出勤せざるをえない理由と考えてよいでしょう。該当するものは、「領収書請求書稟議書などの処理決済ができない」「紙の資料が見られない」などです。内部統制強化のためにも電子決済システムメリットは大きいのですが、投資先送りにしてきた企業にとって、完全テレワーク阻害要因になっている可能性があります。


若い世代とは対照的に飲み会が減ったことを嘆く中高年

次に、生活面不便に感じていることを見てみましょう。ここでは年齢層別不便に感じていることを比較しています(図4)。

図4:年齢層別に見るテレワークを実施する上で不便に感じていること:生活面
図4:年齢層別に見るテレワークを実施する上で不便に感じていること:生活面(複数回答)
出典: KDDI 自社調査

最も回答が多かったのが「運動不足」についてで、「椅子デスクなど作業環境が悪い」ことがこれに続きます。
運動不足問題については全世代共通ですが、「椅子デスクなど作業環境が悪い」「仕事集中できるスペースがない」「子供世話作業中断してしまう」は子育世代の30代や40代に回答が多い傾向が見られます。日本住宅事情では書斎スペース用意することが難しく、生活空間仕事のための環境を分けることに苦労していることが分かります。

面白いのは、「飲みに行くことができない」ことを不便とする回答傾向でしょう。全体としては少ないものの、年齢が高くなるほど回答が増えています。図2のテレワークメリットでは「飲み会の回数が減った」ことを挙げる意見は若い世代に多い傾向が見られましたが、全く対照的結果です。
いわゆる「飲みニケーション」には賛否両論がありますが、「人との会話が減った」ことへの指摘が20代で突出していることを考慮しても、若い世代はあまり好意的に見ていない可能性がありそうです。


オンライン会議の増加が変えた仕事風景

最後に、現在テレワーク実施している中で工夫していることを聞いた結果から、不便解決策になっていることを紹介しましょう。

図5:テレワークを実施している中で工夫していること
図5:テレワークを実施している中で工夫していること
出典: KDDI 自社調査

図5は自由記述における頻出用語同士関係を示しており、解決容易生活面については積極的対策を講じている傾向が見られます。例えば、運動不足については、「昼休みと夜間に、可能な限り、人通りの少ない場所散歩に行く」や「1時間おきに休憩を取り、ストレッチをしている」などの紹介がありました。作業環境については、主にディスプレイ増設椅子投資しているようです。

オンライン会議用作業用二画面仕事をしている」という意見からもわかるように、マルチディスプレイにする背景にはオンライン会議増加があります。ディスプレイを新しく購入したというケースに加え、テレビ流用しているケースもありました。「疲れにくい椅子購入し、集中できる仕事用スペース用意した」「椅子骨盤矯正マットなど、姿勢を正すアイテムを使うと腰痛によい」という意見参考になります。

また、同居する家族がいる場合、「オンライン会議時間をあらかじめ家族共有し、その時間配慮してもらっている」など、スケジュール家族共有することで、仕事集中するための工夫をしているようです。オンライン会議ツールに関しては、会議だけでなく、飲み会やランチ社内サークルヨガにまで用途が広がっていることも分かりました。

さらに、できるだけオフィスで働いている状況に近づける努力をしていることも分かりました。特に、オンオフの切り替えをスムーズに行うためのルーティン作りを勧める意見印象的です。例えば、「仕事始めるときに着替えること、髭を剃ること、あるいは化粧するなど、気持ちを切り替えるためには何かルーティンを作るべきだと思う」「朝の起床時間など、出勤時ルーティン極力崩さない。朝昼晩気分転換のため運動をする」などの工夫は、自律的仕事を進めることが求められるからこその工夫といえるでしょう。


有識者のコメント

岡田 朋之先生
専門:メディア論、文化社会学
「研究テーマ」
モバイル / コミュニケーションと日常生活 / メガ /
メディアイベントとICT
関西大学総合情報学部教授

岡田 朋之先生

調査結果から見えてきたのは、現在日本労働環境自体が抱えている問題でもあるという印象を受けました。「テレワークで良かった点」として多くが挙げられている通勤時間短縮や、家事子育てとの両立、あるいは自由服装などはテレワークをするしない以前に、働き方そのものとして今後変えていく必要があるのではないでしょうか。

また「不便に感じる点」とされる、書類決裁処理ができない、仕事プライベート区別が難しい、紙の資料が見られない、といった点は、欧米オフィスワークに比べて日本が立ち遅れている面として以前から指摘されてきたこと。したがって、テレワークをしやすい労働環境を整える方向社会シフトさせることは、とりもなおさず多くの人が暮らしやすい環境に向かっていくということでもあるかと思われます。


調査概要

  • 実施:KDDI 株式会社
  • 調査対象国内テレワーク実施している男女
  • 調査期間:2020年4月15日〜2020年4月24日
  • 調査方法:WEBアンケート調査
  • 有効回答数:1,045件
  • 回答者主要プロファイル
     性別男性 943名、女性 102名 
     年齢:20代 28名、30代 137名、40代 345名、50代 405名、60歳以上 130名
     勤務する企業従業員数規模:1,000人以上 637名、1,000人未満 408名
     業種別内訳製造業情報通信業過半数
     

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