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—「ガイドVR -12K-」とは、どのようなソリューションなのでしょうか。
大川 ヘッドマウントディスプレイ型VR端末を装着し、360度12Kの高画質なVRを提供するサービスです。
圧倒的な高画質であることに加え、VRを体験している人と「視点共有」ができる点が、「ガイドVR -12K-」の特長です。
通常のVR体験者は、自分以外の人が何を見ているのか分かりませんが、このサービスでは、複数人で体験した場合に自分以外の人がどこを見ているのかわかります。
なので、同じ体験を共有してコミュニケーションを取ることができますし、VRのガイド役の人も、体験者の視点を追いながら、見てほしい箇所に視点を誘導することができるのです。
この視点共有機能はKDDI総合研究所が開発したものです。
—VR体験を共有できるんですね! 大変ユニークな機能ですが、どのようなきっかけで開発したのでしょうか。
大川 ある時、チーム内で「VR体験を別の人がスマートフォンで見えるようにしたらどうなのか」という話が出たんですね。自分の隣で同じVR素材を体験している人が見ている視点を可視化したら、お互いが見ている場所がわかり、新しいコミュニケーションができるのではないかと考えました。
—ビジネスではどのような分野に適用できますか?
大川 プロトタイプを開発したのは2018年のことで、当時は「移動に時間がかかる離れた場所に行く」という課題解決を考えていました。
たとえば不動産の内見は、気になる物件を一つ一つ回る必要がありますが、VRで一通り物件内部の確認を済ませれば、本当に気に入った物件に絞って効率的にリアルで確認できます。
スマートフォンで体験者がVRのどこを見ているのか確認できるので、ガイドする不動産会社は、見て欲しいところに視点を誘導できますし、ファミリー物件の場合は、家族それぞれどこが気に入って何をチェックしているのか、会話しながらバーチャル内見ができます。
旅行では、宿泊予定のホテル・旅館をVR体験してから予約できます。似たケースでいえば、留学斡旋事業者が、留学希望者に学校の施設や雰囲気をVR体験してもらうことで、留学先の選定を支援するといった取り組みを行っていますし、そのほか高画質を生かして、例えば自動車ディーラーの営業業務などにも役立てていただけると思います。
また、このコロナ禍でそもそも「遠くに移動する」ことが難しくなりました。このため異動時や入社前の研修・教育にも支障が出るようになりましたが、そうしたケースでもこの「ガイドVR -12K-」は支援することができます。
—人事研修・教育分野で、「ガイドVR -12K-」はどのように貢献できるのでしょうか。
大川 KDDIではVRを新入社員研修に適用し、遠隔地の施設紹介を実施しました。
県をまたいだ移動をせずに、施設をリアルに体験できることで、施設に関する理解・関心が深まります。
研修中に受講者の視点がどこにあるのかを把握できるので、講師側がレクチャーしたいところへ注意を促せますし、実際に研修を受けた新入社員も、かなり印象に残ったようです。
また、異動で新しい職場や工場などに行く場合、事前に設備の状況をVRで確認しておくことで、異動後にも業務をスムーズに進められるでしょう。その際に大きく貢献するのが、360度12Kの高画質なVR空間です。
実は、VRは360度全体で解像度を表現しており、実際に見えている視野角は120度なので、このサービスの場合、見えている視界の画質は4Kになります。一般的なVRで4K画質となると、データ量が多くなって首を振るなどの動作に画像がついていきません。
逆に動作と視野を一致させようとすると解像度をかなり落とさざるを得ない。
そこをこのサービスでは、パートナー企業さまの画像圧縮技術を使って通信遅延を解消し、体験者の視点の動きと画像表示を一致させられる、高画質なVRを実現しました。ここがこのサービスの一番のポイントです。
—視点共有と高解像度のVR環境で、研修・教育にも大きく貢献できるのですね。
大川 そうですね、360度12K画像を評価いただき、教育現場に生かしている事例があります。京都大学フィールド科学教育研究センター 芦生研究林です。
実際の林の場所はかなり遠いのですが、「ガイドVR -12K-」を導入して森林環境を高解像度で再現しているので、現地に行かなくてもバーチャルで実習見学しているそうです。
ほかにも、移住誘致にこの「ガイドVR -12K-」を活用している自治体があります。
これも現地まで行かなくても住居や環境をリアルに体感してもらうことで、移住誘致に役立てているようです。
—今後の機能拡張や活用ユースケースのさらなる展開について教えてください。
大川 機能拡張ではないのですが、スマートフォンやパソコンのWebブラウザで360度画像を閲覧できる仕組みを備えているので、WebブラウザからのVR体験を活用いただけるようにご提案していきたいと考えています。
なお、この「ガイドVR -12K- 」は、KDDIのモバイル回線からコンテンツをアップするクラウド、VR端末、スマートフォンまでを1セットでご提供します。私どもで360度画像の制作をサポートすることもできますので、ぜひいろいろな用途でご活用いただきたいです。
KDDI株式会社
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5G・IoTサービス企画部 ビジネス開発グループリーダー
大川 祥一