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ファインチューニングとは何か?RAGとの違いとビジネス活用のポイントを解説

ファインチューニングとは何か?
RAGとの違いとビジネス活用のポイントを解説

2025 10/21
ファインチューニングとは、既存の学習済みAIモデルを特定のタスクや知識領域に適応させるための追加学習手法です。近年、生成AIの精度を向上させる技術としてRAG (Retrieval-Augmented Generation) も注目されており、両者の違いを理解することがAI活用の鍵となります。本記事では、ファインチューニングの概要から、RAGとの違い・使い分けのポイントまでを解説します。

※ 記事制作時の情報です。

1.ファインチューニングとは

ファインチューニングとは、ChatGPTなど大規模言語モデル (LLM) のような汎用的なAIモデルベースとして、自社マニュアル専門用語など特定データセットを使って追加学習させ、モデル性能知識をその領域最適化させる手法です。これは、例えるなら優秀人材に、自社専門分野研修を受けさせ、自社サービスビジネス特化した専門家に育てるイメージです。ゼロからAIモデル開発するのに比べて、学習必要計算コスト削減しつつ、高い精度実現できる点が特徴です。

トレーニングされたAIのイメージ画像

1-1. ファインチューニングの仕組み

ファインチューニング仕組みは、学習済モデル構造利用しています。
機械学習モデル多数の層で構成されており、入力に近い層ほど汎用的特徴を、出力層に近いほど具体的特徴を捉える傾向があります。
ファインチューニングでは、この学習済モデルの重みを引き継ぎ、主に出力層に近い一部の層を新しいデータ再学習させます。これにより、モデルが持つ広範知識維持しながら、特定タスク専門用語対応できるようパラメータ微調整します。

1-2. ファインチューニングの重要性

ファインチューニング重要性は、汎用的なAIモデルが抱える課題解決し、特定目的に応じた精度達成する点にあります。例えば、医療法律といった専門分野では、独自用語文脈理解不可欠です。ファインチューニングを行うことで、こうした専門知識モデル学習させ、回答精度を高めることができます。
また、社内文書マニュアル追加学習させることで、企業業務特化した問い合わせ対応システム構築可能です。このように、目的に合わせてAIをカスタマイズする上でファインチューニング重要役割を果たします。

2.RAGとの比較

ファインチューニングとRAGは、どちらも生成AIの性能を高める技術ですが、そのアプローチ明確な違いが存在します。ファインチューニングモデル内部知識更新するのに対し、RAGは外部データベースから最新情報専門知識検索し、それを基に回答生成する手法です。これらの手法についてここから詳しく紹介します。

2-1. RAGとは

RAGとは、「Retrieval-Augmented Generation」の略で、日本語では「検索拡張生成」と訳されます。この仕組みをわかりやすく説明すると、生成AIが回答作成する際に、外部データベースから関連情報検索し、その内容参考にする技術です。ユーザーからの質問入力されると、まず外部データベースなどから関連性の高い文書検索 (Retrieval) します。そして、検索結果プロンプトに含めてAIに渡すことで、AIはより正確最新の、あるいは専門的情報に基づいた回答生成 (Generation) します。これにより、AIモデル単体では不足していた情報補足されるため、より広範質問対応可能となります。

2-2. ファインチューニングとRAGの相違点

ファインチューニングとRAGの主な違いは、知識更新方法情報参照元です。ファインチューニングは、既存のAIモデル追加学習を行い、モデル内部パラメータ更新して知識統合します。これにより、特定タスク専門分野特化した応答可能になりますが、学習には時間コストがかかり、情報鮮度を保つためには定期的再学習必要です。
一方、RAGは、モデル自体再学習させることなく、外部データベースから関連情報検索し、その情報を基に回答生成します。このため、常に最新情報参照でき、ハルシネーション (AIが事実に基づかない情報生成すること) の抑制にもつながります。

2-3. どちらを選ぶべき?使い分けのポイント


RAGのイメージ画像

RAGとファインチューニングのどちらを選択するかは、用途目的に応じて決定することが重要です。RAGは、最新情報専門知識外部データベースから検索し、それを基に回答生成したい場合に適しており、時事性の高い情報頻繁更新される情報を扱うケース有効です。一方ファインチューニングは、モデルの振る舞いや応答スタイル特定タスクドメイン最適化したい場合に適しています。また、両者を組み合わせることで、最新情報参照しつつ特定スタイル回答するハイブリッドなAIを構築することも可能です。


■ ファインチューニングが適しているケース

ファインチューニングは、企業特定課題解決や、特定ビジネスドメイン特化したAIを構築する場合に適しています。例えば、自社製品サービスに関する専門用語顧客対応履歴データ特定業界特化した規制ガイドラインなど、汎用モデルではカバーしきれないニッチ知識モデル学習させたいケースです。これにより、モデルはより精度の高い回答生成し、企業競争力強化貢献します。さらに、ブランド独自トーンスタイルコミュニケーションを行う必要がある場合にも、ファインチューニング有効手段となります。


■ RAGが適しているケース

RAGは、日々更新される最新情報や、膨大な量の社内文書など、外部存在する多種多様データソース活用して、事実に基づいた正確情報提供することに長けています。特に、情報出典明示したい場合や、頻繁情報更新される分野での利用に適しています。これにより、AIが事実に基づかない情報生成するハルシネーション抑制にもつながります。例えば、企業最新製品情報や、株価のようなリアルタイム変動するデータへの対応有効です。


■ 組み合わせのハイブリッドも

大規模言語モデルは、学習時点までのデータしか知識として持たないため、それ以降の新しい情報には対応できないという課題があります。これを解決するため、最新公開データ活用したファインチューニング効果的です。例えば、最近ニュース記事統計データ法改正情報などをモデル学習させることで、モデル知識を常に最新に保ち、時事性の高い質問最新動向に基づいた分析対応できるAIを維持できます。

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