通信と多様なケイパビリティを活用し、DXと事業基盤サービスでお客さまビジネスを支援します。
CO2排出量の可視化から削減まで、一貫してカーボンニュートラル実現を支援します。
KDDIは『つなぐチカラ』でビジネス、ライフスタイル、社会をアップデートします。
場所にとらわれずつながるソリューションを、デバイスからセキュリティまで支援します。
多数の次世代型低軌道衛星により高速・低遅延通信を提供します。
データセンターからネットワークまで、業務に最適なソリューションをトータルで提供します。
中小規模の事業者向けに特化したスマートフォンのご利用方法のご案内です。
中小規模事業者のやりたいことや変えたいことを、モバイルとクラウドの技術を用いてサポートします。
※ 記事制作時の情報です。
位置情報サービスとは、GPS (Global Positioning System (注)) や携帯電話基地局、Wi-Fi、Bluetoothなどを利用して、ユーザーや対象物の現在位置を特定する技術です。地図アプリや乗換案内サービスといった日常の利便性向上を目的としたサービスだけでなく、ビジネス領域ではマーケティング、勤怠管理などの分野で活用されています。
なお、位置情報サービスは、使用する技術によって仕組みが異なります。それぞれの位置情報サービスの仕組みについて詳しく見ていきましょう。
GPSは、地球上空を周回する人工衛星 (GPS衛星) からの電波を地上のカーナビやスマートフォンなどの受信機が受信し、その位置を特定するシステムです。
衛星が発信する電波に含まれる時刻データを利用し、電波が発信されてから受信機で受信されるまでの時間差を計測します。この時間差に電波の速度 (光速:秒速約30万キロメートル) をかけることで、衛星から受信機までの距離が算出されます。
Wi-Fiを用いた位置情報サービスは、Wi-Fiルーターが発信する情報を端末が受信することで位置を特定します。
スマートフォンやPCが位置情報を受け取ると、プローブ (機器やソフトウェアの稼働状態を遠隔から監視するために導入されるプログラム) が要求をルーターに送信し、ルーターが応答するまでの時間に基づき端末からルーターまでの距離を推定します。
Beacon (ビーコン) は、赤外線や電波、低電力の近距離無線通信規格「Bluetooth Low Energy (BLE)」を利用した位置特定技術を搭載したデバイスです。
数秒に1回の頻度で、無線信号を半径数メートルから数十メートルの範囲に発信します。この信号にはIDや簡易データが含まれており、受信可能な端末がその信号を検知し、ビーコンのIDや位置情報をサーバーに送信することにより、ユーザーの現在地や移動履歴を把握したり、特定の情報を提供できます。
位置情報サービスには、次のようなメリットがあります。
位置情報データを活用して顧客の行動パターンを把握し、それを過去の購買データと結びつけることで、顧客の来店傾向や商圏分析など、精度の高い顧客分析が可能になります。その結果、より効果的なターゲティングを行えるようになり、ユーザーが求める商品やサービスをスマートフォンに配信することで、商品の購入率の向上につながります。
スマートフォンアプリなどを通じて収集された位置情報データの活用で、ユーザーの行動履歴や訪問先を正確に把握できます。こうした情報に基づき、ユーザーの嗜好や趣味、行動パターンを深く分析すれば、個々のニーズに応じたアプローチが可能となります。
例えば、特定のエリアや店舗に頻繁に訪れるユーザーには、その地域で開催されるイベント情報や店舗のセール情報を配信して、来店のきっかけをつくることが可能です。
また、店舗内のカートに位置情報を把握できる端末を設置すれば、顧客の行動パターンを追跡し、商品レイアウトや陳列方法の変更が実際にどのような効果をもたらしたか分析できます。
位置情報データの活用は、業務効率化にも大きく貢献します。例を挙げると、店舗内の動線が悪い場合、従業員の移動に無駄が生じ、それが時間のロスとして蓄積された結果、機会損失につながる可能性がありますが、このような課題に対し、位置情報を活用して従業員の動きを追跡・分析することにより、動線を最適化させることができます。
位置情報を活用した勤怠管理は、従来の方法と比べて大幅に効率化され、不正防止や管理精度の向上に役立っています。GPS位置情報を基に自動で時刻を記録する仕組みは、打刻漏れや不正打刻を防ぎ、公平性と透明性を確保できます。また、ジオフェンシング機能 (携帯端末などの位置情報を利用して空間内に仮想的な領域を設け、システムが領域の出入りを検知する) を用いることで、打刻可能な範囲を事前に設定し、規定外の場所からの不正打刻の排除も可能です。
また、出退勤時間の自動記録により、手動での作業を削減するだけでなく、取得したデータを効率的に分析し、レポートを作成することが容易になります。さらに、正確に記録された出退勤時刻や勤務地点のデータは、時間外労働の適正な管理や、労働基準法の遵守を支援します。具体的には、過剰な残業を未然に防ぐ仕組みや、適切な賃金計算の基礎データとして活用できます。
位置情報を活用することで、従業員間のコミュニケーションが活性化し、業務効率化と連帯感の向上が期待できます。リアルタイムで従業員の位置を把握でき、必要な情報を即座に共有したり、現場で発生した課題に迅速に対応することが可能になります。
さらに、特定のエリアにいる従業員間で協力や意見交換を促進することもできます。例えば、同じ現場で働くメンバー同士が位置情報を活用して連携することにより、業務上の問題解決をスムーズに進められます。
iPhoneの位置情報サービスは、次の方法で簡単にオン/オフを切り替えることができます。
「設定」>「プライバシーとセキュリティ」>「位置情報サービス」>オン/オフを切り替え
初期設定時だけではなく、デバイス利用開始後でも変更可能です。また、アプリやシステムサービス単位でも位置情報の利用可否を管理できます
位置情報サービスがオフになっている場合、アプリはフォアグラウンド (画面上に表示された状態) でもバックグラウンド (起動しているが、画面上に表示されていない状態) でも位置情報を利用できません。そのため、アプリのパフォーマンスが制限されるケースがあります。具体的には、地図アプリで正確な経路案内を利用できない、または位置情報を利用するサービスが正常に機能しないといった影響が考えられます。
Androidの位置情報サービスは、次の方法でオン/オフを切り替えることができます。
「設定」>「位置情報」>「位置情報を使用」>オン/オフを切り替え
Wi-FiスキャンやBluetoothスキャンを利用して位置情報の精度を向上させることもできます。なお、iPhoneと同様、Androidも位置情報サービスがオフになっている場合、フォアグラウンド・バックグラウンドのどちらでも、アプリは位置情報を利用できません。
Google では、位置情報を活用したさまざまなサービスを提供しており、日常生活から緊急時まで幅広く利用できます。一例としては、「緊急位置情報サービス (ELS)」という災害や緊急時にデバイスの位置情報を活用して救助支援を行うソリューションが挙げられます。
また、地震アラート機能では、近隣で発生した地震情報をリアルタイムの通知で受け取ることができます。
KDDIのおすすめ位置情報サービスを紹介します。それぞれの特徴や機能、活用事例について見ていきましょう。
「KDDI IoTクラウド Data Market~Location Analyzer~」は、auスマートフォンユーザーの位置情報ビッグデータおよび属性 (性別・年齢層) 情報を活用し、商圏および推定来訪者の鮮度の高い分析を可能にするセルフGIS分析ツールです。日本全国各地の人流データを簡単に分析し、可視化できます。また、データの見える化により、ビジネス戦略や地域活性化の計画を効果的に立案することが可能になります。
以下は、こちらのサービスの主な機能です。
このサービスの導入事例を紹介します。
名古屋鉄道株式会社様が、このツールを利用して高精度な人流データ分析を実現したケースが挙げられます。商圏データを基に未来の需要を予測することで、新たなマーケティング戦略の構築に成功しています。
また、名鉄協商様は、このデータを新規施設の開業計画や料金の見直しに活用し、売上アップを達成しました。名鉄ミライート様では属性分析を用いた集客施策を強化し、新業態での集客成功を収めています。
事例の詳細はこちら
「KDDI 高精度位置測位サービス」は、GNSS (全球測位衛星システム) の補正データを活用することで、数cm単位の高精度な測位を実現するサービスです。この技術は測量や自動運転などの分野で活用されており、業界を問わず多様なニーズに応えることができます。
こちらのサービスには、安定性と広域・高速移動対応を両立する2つのメニューが用意されています。
VRS-RTK (Virtual Reference Station Real Time Kinematic) |
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リアルタイムで高精度な測位を提供し、特定の地域での安定的な運用をサポートします |
PPP-RTK (Precise Point Positioning Real Time Kinematic) |
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広域での測位が可能で、移動体や広範囲での用途に適しています |
このサービスの活用事例を紹介します。
KDDIは株式会社アクアビットスパイラルズ様と連携し、「KDDI 高精度位置測位サービス」を活用したスマホタッチ支払いシステムを導入しました。この技術により、バスの乗降情報を正確に記録し、区間乗車料金の即時決済を実現します。GNSSデータを補正信号で高精度に処理することで、複雑な乗車料金計算にも柔軟に対応可能です。徳島県や岡山県での実証実験を通じて、交通系ICカードと同等の利便性を提供し、地域のモビリティ活性化に貢献しています。
事例の詳細はこちら
位置情報サービスを利用する際は、次の注意点を押さえましょう。
位置情報は、単独では個人を特定する情報とみなされない場合が多いものの、ほかの特定の個人を識別できる情報と容易に照合できる場合は、「個人情報」に該当する可能性があります。
このため、位置情報を利用する際には、個人情報保護法に基づき適切な取扱が必要で、セキュリティに十分配慮した情報漏えい対策が求められます。
プライバシーは、個人の事情が他人に知られたり、干渉を受けたりしない権利を指します。位置情報サービスを提供する際は、ユーザーのプライバシーを尊重し、適切に取り扱うことが極めて重要です。ゆえに、プライバシーポリシーを明確にし、位置情報を取得・利用する目的をユーザーにわかりやすく理解してもらう配慮が欠かせません。ユーザーが位置情報の取得や利用について十分に認識し、理解できる仕組みを整備する必要があります。
また、収集した情報を目的以外で使用する場合や、第三者と提携して取得した情報をマーケティングサービスに活用する場合は、契約や約款の利用用途や提携サービスの目的の中でプライバシー保護に関する条項を記載し、ユーザーの同意を得ることが不可欠です。ユーザーが安心してサービスを利用できるよう十分に配慮しましょう。
位置情報サービスを利用する際は、セキュリティリスクを十分に考慮し、適切な管理と運用ルールを整備することが重要です。管理面では、位置情報データへのアクセス権を制限し、特定の社員やシステム管理者にのみ許可を与えるといった対策を実施することで、情報漏えいのリスク軽減が可能です。運用面については、GPSなどの位置情報サービスの利用を勤務時間帯に限定すれば、業務外での不適切な利用や無用なデータ収集を防ぐことができるでしょう。
位置情報サービスは、顧客行動などのデータの把握によるマーケティングやコミュニケーション促進、勤怠管理の効率化などで、ビジネスに多大な利便性をもたらします。
しかし、利用目的の明確化やプライバシー保護、セキュリティリスクへの対応が求められます。セキュリティ対策を整備して法令に基づく適切な運用を行い、位置情報サービスをビジネスに役立てましょう。