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【基礎知識】データマイニングとは|分析手法や確認すべきポイントを解説

【基礎知識】データマイニングとは|分析手法や確認すべきポイントを解説

2025 8/18
近年、DX (デジタルトランスフォーメーション) の進展とともに、企業におけるデータ活用の重要性が急速に高まっています。中でも注目されているのが「データマイニング」です。データマイニングは、膨大なデータから有益なパターンや傾向を見つけ出す技術であり、ビジネスの意思決定や業務改善を後押ししてくれます。
本記事では、データマイニングの概念から分析手法、活用事例、注意点までを詳しく解説します。

※ 記事制作時の情報です。

1.データマイニングとは

データマイニングとは、統計学機械学習などを活用して膨大データ分析し、特定傾向パターンなどを検出するプロセス仕組みを指します。単なる集計ではなく、データ間の関係性傾向を明らかにできる点が特徴です。

データマイニング概要のイメージ画像

ビジネスでは、蓄積された大量業務データから価値ある知見抽出し、意思決定業務改善活用する手段として重要役割を果たしています。データマイニング結果を基に予測分類・グルーピング・傾向把握などを行えば、勘や経験に頼らない経営判断可能です。

1-1. AIやビッグデータとの違い


データマイニングは「大量データから価値あるパターンルールを見つけ出す手法」であるのに対し、AIは判断推論など人間知的作業模倣した技術です。また、ビッグデータは、分析学習対象となる膨大データそのものを意味します。

それぞれの特徴以下のとおりです。

項目 特徴
データマイニング ・大量のデータから有用なパターンやルールを抽出する手法
・統計学や機械学習を活用
AI ・人間の判断や認識などを模倣するシステム
・機械学習や深層学習なども含む
ビッグデータ ・構造化・非構造化を問わず、分析や学習の対象となる膨大なデータ

1-2. データマイニングにおけるDIKWモデル


データマイニングには「DIKWモデル」と呼ばれる考え方があります。このモデルは、データマイニングで得られる知識階層的表現したものです。

段階 内容
データ (Data) データベースなどから収集されたデータ
情報 (Information) 収集したデータの分析や集計を通じて、意味がある形式に変換されたデータ
知識 (Knowledge) データから抽出されたパターンやルール
知恵 (Wisdom) 知識を活用した問題解決や判断

下層階層が進むほど、より有用性が高い情報となります。なお、データマイニング実現できるのは知識までであり、知恵段階人間判断力重要です。

1-3. 企業がデータマイニングに注目する理由


企業データマイニング注目する理由は、自社市場競争力向上業務効率化実現できるためです。

統計学機械学習活用して大量データの中から、人間の目では見つけにくいパターン相関関係抽出することで、非効率業務プロセス特定顧客行動傾向把握可能となります。

これにより、勘や経験に頼らない意思決定顧客理解深堀りによる差別化戦略立案実現できます。

2.データマイニングの分析手法:「機械学習」と「統計分析」

データマイニングの主な分析手法には「機械学習」と「統計分析」の2つがあります。それぞれの概要特徴以下のとおりです。

機械学習 統計分析
アプローチ コンピューターが学習 人間が立てた仮説を基にモデルを設計
概要 データから自動的にパターンやルールを学び予測や分類を行う データから傾向や関係性を定量的に解釈する
代表的な手法 ・決定木
・ランダムフォレスト
・クラスタリング
・マーケット・バスケット分析
・ロジスティック回帰
・回帰分析
・相関分析 など
具体例 ・株価や売上の予測
・スパムメールの分類
・ユーザーレコメンド
・異常検知 など
・広告費と売上の関係性
・月別の売上推移
・キャンペーンによる売上増加などの仮説検証

2-1.【機械学習】決定木

すべてのデータ条件などを樹形図整理したうえで、各条件分岐させながら分類予測を行う分析手法です。結果根拠説明しやすいため、医療金融業界で多く使われます。

2-2.【機械学習】ランダムフォレスト

複数の「決定木」をランダム作成し、最終的結果統合する分析手法です。決定木が持つ過学習 (注1) という課題に強く、安定かつ高精度予測可能です。

  • 注1) 学習データに対しては高精度だが、実際データに対しては正しい予測ができない状態

2-3.【機械学習】クラスタリング

類似した特徴を持つデータ同士グループ (クラスタ) として自動的に振り分ける手法です。人間視点では気付くことが困難な「データの中に隠れたパターン構造」を抽出できます。教師データ不要な「教師なし学習」の代表的手法です。

2-4.【機械学習】マーケット・バスケット分析

顧客が「同時購入する商品」の組み合わせを分析する手法です。マーケット・バスケット分析は、アソシエーション分析と呼ばれるデータマイニング手法一種で、アソシエーション分析とは、データ間の関連性や結び付きの強さを明らかにする分析手法です。

関連商品提案レコメンドシステム構築などに活用されています。

2-5.【機械学習】ロジスティック回帰分析

結果が「はい/いいえ」などの2択で表される場合、その結果影響を与える要因分析する手法です。もともと統計モデルとして誕生しましたが、現在では統計機械学習双方使用されています。

確率を通じて分類を行うため、医療での病気リスクマーケティング顧客購入予測などに活用されています。

2-6.【統計分析】回帰分析

「ある結果」と「結果影響を与える要因」の関係性を明らかにする分析手法です。現状把握はもちろん、実際データ存在しない将来予測にも活用できます。

売上予測需要予測など、ビジネスにおける定量的予測に広く用いられています。

2-7.【統計分析】相関分析

2つのデータに対する関係性の強さを明らかにする分析手法です。同方向 (正の相関)・逆方向 (負の相関)・無相関といった動きの傾向把握できます。

例えば、広告費売上など、2つの指標間にどのような傾向があるかを把握する際に活用されます。ただし、相関因果関係を示すものではない点に注意必要です。

3.データマイニングの分析プロセス

データマイニング分析プロセス以下のとおりです。

No 工程 概要
1 目的の設定 どのような点を明らかにしたいのかを明確にする。
2 データ収集・加工 社内システムや外部データなどからデータを収集し、分析に適した形式に加工する。
3 分析手法選定・実行 設定した目的に応じて適切な分析手法を選定し、分析を実行する。
4 分析結果の評価 検出した傾向やパターンの有用性を評価する。
5 ビジネスへの反映 有用性が確認された知見をビジネス施策に反映する。

3-1. 分析結果を実践に活かすコツ

データマイニング分析結果ビジネス活用するには、関係部門との連携重要です。データマイニングはあくまでも「経営判断意思決定根拠」であり、実際ビジネス活用する必要があります。分析チームだけではなく、営業部門マーケティング部門などと連携することで、効果が高い活用方法実現可能です。

また、実行したビジネス施策に対する効果検証重要ポイントといえます。分析施策実施検証改善といったPDCAサイクルを繰り返すことで、さらなる効果期待できるでしょう。

4.データマイニング導入時に確認すべきポイント

データマイニング導入のイメージ画像

 データマイニング導入成功させるには、事前環境整備設計が欠かせません。データマイニング導入時確認すべき3つのポイント解説します。

4-1. データレイクやデータウェアハウスを整備する

データマイニング実施するには、異なる形式構造データ一元的管理できる仕組みが必要です。大量データ非構造化データ (テキスト画像動画音声など) を扱う場合や、データレイク、BIツールなどとの連携を行う場合は、データウェアハウス整備がおすすめです。

4-2. データクレンジングを行う

欠損値異常値など元データ状態問題がある場合分析結果精度低下してしまいます。そのため、AWS Glueなど専用のETLツールやRPAなど自動化ツール活用検討し、データクレンジング作業自動化効率化を図ることが推奨されます。

4-3. データマイニングツールを導入する

専門的知識がなくても簡単操作できるデータマイニングツール導入すれば、データ分析チーム業務負荷軽減効率化実現できます。

なお、ツール選定時以下のようなポイント比較検討しましょう。

  • 必要機能を備えているか
  • 導入および運用費用予算内
  • 既存システムとの連携可能
  • 操作性はよいか
  • セキュリティ面は安全

5.データマイニングの活用事例

すでにデータマイニングは、さまざまな業界活用されています。本章では、データマイニング活用事例業界別紹介します。

5-1. EC業界: レコメンド機能による購買促進

EC業界では、膨大閲覧購入履歴活用したデータマイニングユーザー購買促進活用されています。

多くの企業では、ユーザー行動データ収集し、クラスタリングなどの分析手法で「この商品を見た人におすすめの商品」といったレコメンド機能実現しているのが特徴です。

このレコメンド機能により、ユーザー自身嗜好に合った商品コンテンツ自然に見つけられるため、購買率サイト滞在時間向上寄与しています。

5-2. 金融業界: 不正検知によるリスク回避

金融機関では、取引ログユーザー行動パターンリアルタイムモニタリングし、不正詐欺といった金融犯罪兆候検出する「異常検知」にデータマイニング活用しています。

決定木クラスタリングなどの手法を用いて、リスクが高い取引自動判別したうえで即時アラート発報します。こうした活用技術により、企業損失防止するだけではなく、利用者安心安全確保可能です。

5-3. 医療業界: 治療の最適化

医療機関製薬会社では、電子カルテ検査結果投薬履歴などのさまざまな医療データを用いてデータマイニングを行い、患者傾向分析しています。

データマイニング手法であるクラスタリングなどにより、患者複数タイプ分類することで、グループごとに効果の高い治療法最適薬剤提供実現可能です。

さらに、決定木ロジスティック回帰分析などを活用すれば、治療効果予測リスク要因特定可能となり、より個別化された医療実現貢献します。

6.データマイニング導入時の注意点

データマイニング導入しても、技術人材業務連携のいずれかに課題があると、十分成果を得られないおそれがあります。ここでは、データマイニング導入時によくある注意点対策解説します。

データマイニング導入時の注意点のイメージ画像

6-1. 必要なデータ基盤が整備されていない

データ社内散在している場合や、部門ごとでフォーマット統一されていない場合分析必要情報集約活用できません。

あらかじめデータレイクデータウェアハウス整備推進し、データ全社横断的収集統合可視化できる環境構築することが重要です。

6-2. スキル不足によるツール活用が進まない

高性能データマイニングツール導入しても、ツールを使いこなせる人材社内体制整備されていない場合期待どおりの効果は得られません。

データ活用スキルを持つ人材育成採用をはじめ、外部パートナーとの連携検討しましょう。

6-3. 分析結果が現場に定着しない

分析結果業務に活かされず、現場定着しないケースも多く見られます。分析結果ビジネスに落とし込むには、分析担当者業務部門経営層を巻き込んだチームのもと、定例会議ダッシュボード情報共有し、施策実行効果測定サイクル仕組み化する必要があります。

特に、データ活用一過性施策で終わらせず、継続的改善へとつなげることが大切です。

7.データマイニングの最新トレンド

データマイニングはDX推進中核技術として注目され、営業顧客分析製造設備異常予兆人事離職リスク予測など多部門での活用拡大しています。

近年では、AutoML (自動機械学習) の導入によりモデル構築自動化され、専門知識がなくても高度分析可能となりつつあります。生成AIを使えば、データマイニング分析結果要約解釈自動出力可能です。こうした技術を組み合わせることで「誰でも簡単データ分析を使いこなせる時代」は目前に迫っています。

8.まとめ

データマイニングとは、大量データから隠れたパターン相関関係発見し、意思決定役立てる技術です。データマイニングにはさまざまな分析手法があるため、各手法特徴注意点考慮したうえで選択することが重要です。

なお、昨今ではDX推進生成AIの進化により、データマイニング専門家だけではなく誰もが活用できる環境が整いつつあります。自社競争力強化実現するためにも、データマイニング導入をご検討ください。

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