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※ 記事制作時の情報です。
データマイニングとは、統計学や機械学習などを活用して膨大なデータを分析し、特定の傾向やパターンなどを検出するプロセスや仕組みを指します。単なる集計ではなく、データ間の関係性や傾向を明らかにできる点が特徴です。
ビジネスでは、蓄積された大量の業務データから価値ある知見を抽出し、意思決定や業務改善に活用する手段として重要な役割を果たしています。データマイニングの結果を基に予測・分類・グルーピング・傾向把握などを行えば、勘や経験に頼らない経営判断が可能です。
データマイニングは「大量のデータから価値あるパターンやルールを見つけ出す手法」であるのに対し、AIは判断や推論など人間の知的作業を模倣した技術です。また、ビッグデータは、分析や学習の対象となる膨大なデータそのものを意味します。
それぞれの特徴は以下のとおりです。
項目 | 特徴 |
---|---|
データマイニング | ・大量のデータから有用なパターンやルールを抽出する手法 ・統計学や機械学習を活用 |
AI | ・人間の判断や認識などを模倣するシステム ・機械学習や深層学習なども含む |
ビッグデータ | ・構造化・非構造化を問わず、分析や学習の対象となる膨大なデータ |
データマイニングには「DIKWモデル」と呼ばれる考え方があります。このモデルは、データマイニングで得られる知識を階層的に表現したものです。
段階 | 内容 |
---|---|
データ (Data) | データベースなどから収集されたデータ |
情報 (Information) | 収集したデータの分析や集計を通じて、意味がある形式に変換されたデータ |
知識 (Knowledge) | データから抽出されたパターンやルール |
知恵 (Wisdom) | 知識を活用した問題解決や判断 |
下層へ階層が進むほど、より有用性が高い情報となります。なお、データマイニングで実現できるのは知識までであり、知恵の段階は人間の判断力が重要です。
企業がデータマイニングに注目する理由は、自社の市場競争力向上や業務効率化を実現できるためです。
統計学や機械学習を活用して大量のデータの中から、人間の目では見つけにくいパターンや相関関係を抽出することで、非効率な業務プロセスの特定や顧客の行動傾向の把握が可能となります。
これにより、勘や経験に頼らない意思決定や顧客理解の深堀りによる差別化戦略の立案を実現できます。
データマイニングの主な分析手法には「機械学習」と「統計分析」の2つがあります。それぞれの概要や特徴は以下のとおりです。
機械学習 | 統計分析 | |
---|---|---|
アプローチ | コンピューターが学習 | 人間が立てた仮説を基にモデルを設計 |
概要 | データから自動的にパターンやルールを学び予測や分類を行う | データから傾向や関係性を定量的に解釈する |
代表的な手法 | ・決定木 ・ランダムフォレスト ・クラスタリング ・マーケット・バスケット分析 ・ロジスティック回帰 |
・回帰分析 ・相関分析 など |
具体例 | ・株価や売上の予測 ・スパムメールの分類 ・ユーザーレコメンド ・異常検知 など |
・広告費と売上の関係性 ・月別の売上推移 ・キャンペーンによる売上増加などの仮説検証 |
すべてのデータや条件などを樹形図に整理したうえで、各条件を分岐させながら分類や予測を行う分析手法です。結果の根拠を説明しやすいため、医療や金融業界で多く使われます。
複数の「決定木」をランダムに作成し、最終的に結果を統合する分析手法です。決定木が持つ過学習 (注1) という課題に強く、安定かつ高精度な予測が可能です。
類似した特徴を持つデータ同士をグループ (クラスタ) として自動的に振り分ける手法です。人間の視点では気付くことが困難な「データの中に隠れたパターンや構造」を抽出できます。教師データが不要な「教師なし学習」の代表的な手法です。
顧客が「同時に購入する商品」の組み合わせを分析する手法です。マーケット・バスケット分析は、アソシエーション分析と呼ばれるデータマイニング手法の一種で、アソシエーション分析とは、データ間の関連性や結び付きの強さを明らかにする分析手法です。
関連商品の提案やレコメンドシステムの構築などに活用されています。
結果が「はい/いいえ」などの2択で表される場合、その結果に影響を与える要因を分析する手法です。もともと統計モデルとして誕生しましたが、現在では統計と機械学習の双方で使用されています。
確率を通じて分類を行うため、医療での病気リスクやマーケティングの顧客購入の予測などに活用されています。
「ある結果」と「結果に影響を与える要因」の関係性を明らかにする分析手法です。現状の把握はもちろん、実際にデータが存在しない将来の予測にも活用できます。
売上予測や需要予測など、ビジネスにおける定量的な予測に広く用いられています。
2つのデータに対する関係性の強さを明らかにする分析手法です。同方向 (正の相関)・逆方向 (負の相関)・無相関といった動きの傾向を把握できます。
例えば、広告費と売上など、2つの指標間にどのような傾向があるかを把握する際に活用されます。ただし、相関は因果関係を示すものではない点に注意が必要です。
データマイニングの分析プロセスは以下のとおりです。
No | 工程 | 概要 |
---|---|---|
1 | 目的の設定 | どのような点を明らかにしたいのかを明確にする。 |
2 | データ収集・加工 | 社内システムや外部データなどからデータを収集し、分析に適した形式に加工する。 |
3 | 分析手法選定・実行 | 設定した目的に応じて適切な分析手法を選定し、分析を実行する。 |
4 | 分析結果の評価 | 検出した傾向やパターンの有用性を評価する。 |
5 | ビジネスへの反映 | 有用性が確認された知見をビジネス施策に反映する。 |
データマイニングの分析結果をビジネスに活用するには、関係部門との連携が重要です。データマイニングはあくまでも「経営判断や意思決定の根拠」であり、実際のビジネスに活用する必要があります。分析チームだけではなく、営業部門やマーケティング部門などと連携することで、効果が高い活用方法を実現可能です。
また、実行したビジネス施策に対する効果検証も重要なポイントといえます。分析→施策実施→検証→改善といったPDCAサイクルを繰り返すことで、さらなる効果が期待できるでしょう。
データマイニングの導入を成功させるには、事前の環境整備と設計が欠かせません。データマイニング導入時に確認すべき3つのポイントを解説します。
データマイニングを実施するには、異なる形式・構造のデータを一元的に管理できる仕組みが必要です。大量のデータや非構造化データ (テキスト、画像、動画、音声など) を扱う場合や、データレイク、BIツールなどとの連携を行う場合は、データウェアハウスの整備がおすすめです。
欠損値や異常値など元データの状態に問題がある場合、分析結果の精度は低下してしまいます。そのため、AWS Glueなど専用のETLツールやRPAなど自動化ツールの活用を検討し、データクレンジング作業の自動化・効率化を図ることが推奨されます。
専門的な知識がなくても簡単に操作できるデータマイニングツールを導入すれば、データ分析チームの業務負荷軽減や効率化を実現できます。
なお、ツール選定時は以下のようなポイントを比較検討しましょう。
すでにデータマイニングは、さまざまな業界で活用されています。本章では、データマイニングの活用事例を業界別に紹介します。
EC業界では、膨大な閲覧・購入履歴を活用したデータマイニングがユーザーの購買促進に活用されています。
多くの企業では、ユーザーの行動データを収集し、クラスタリングなどの分析手法で「この商品を見た人におすすめの商品」といったレコメンド機能を実現しているのが特徴です。
このレコメンド機能により、ユーザーは自身の嗜好に合った商品やコンテンツを自然に見つけられるため、購買率やサイト滞在時間の向上に寄与しています。
金融機関では、取引ログやユーザーの行動パターンをリアルタイムでモニタリングし、不正や詐欺といった金融犯罪の兆候を検出する「異常検知」にデータマイニングを活用しています。
決定木やクラスタリングなどの手法を用いて、リスクが高い取引を自動判別したうえで即時アラートを発報します。こうした活用技術により、企業の損失を防止するだけではなく、利用者の安心・安全も確保可能です。
医療機関や製薬会社では、電子カルテや検査結果、投薬履歴などのさまざまな医療データを用いてデータマイニングを行い、患者の傾向を分析しています。
データマイニングの手法であるクラスタリングなどにより、患者を複数のタイプに分類することで、グループごとに効果の高い治療法や最適な薬剤の提供を実現可能です。
さらに、決定木やロジスティック回帰分析などを活用すれば、治療効果の予測やリスク要因の特定も可能となり、より個別化された医療の実現に貢献します。
データマイニングを導入しても、技術・人材・業務連携のいずれかに課題があると、十分な成果を得られないおそれがあります。ここでは、データマイニングの導入時によくある注意点と対策を解説します。
データが社内に散在している場合や、部門ごとでフォーマットが統一されていない場合、分析に必要な情報を集約・活用できません。
あらかじめデータレイクやデータウェアハウスの整備を推進し、データを全社で横断的に収集・統合・可視化できる環境を構築することが重要です。
高性能なデータマイニングツールを導入しても、ツールを使いこなせる人材や社内体制が整備されていない場合、期待どおりの効果は得られません。
データ活用スキルを持つ人材の育成や採用をはじめ、外部パートナーとの連携も検討しましょう。
分析結果が業務に活かされず、現場に定着しないケースも多く見られます。分析結果をビジネスに落とし込むには、分析担当者・業務部門・経営層を巻き込んだチームのもと、定例会議やダッシュボードで情報を共有し、施策実行と効果測定のサイクルを仕組み化する必要があります。
特に、データ活用を一過性の施策で終わらせず、継続的な改善へとつなげることが大切です。
データマイニングはDX推進の中核技術として注目され、営業の顧客分析、製造の設備の異常予兆、人事の離職リスク予測など多部門での活用が拡大しています。
近年では、AutoML (自動機械学習) の導入によりモデル構築が自動化され、専門知識がなくても高度な分析が可能となりつつあります。生成AIを使えば、データマイニングの分析結果の要約や解釈も自動で出力可能です。こうした技術を組み合わせることで「誰でも簡単にデータ分析を使いこなせる時代」は目前に迫っています。
データマイニングとは、大量のデータから隠れたパターンや相関関係を発見し、意思決定に役立てる技術です。データマイニングにはさまざまな分析手法があるため、各手法の特徴や注意点を考慮したうえで選択することが重要です。
なお、昨今ではDX推進や生成AIの進化により、データマイニングの専門家だけではなく誰もが活用できる環境が整いつつあります。自社の競争力強化を実現するためにも、データマイニング導入をご検討ください。
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