例えば、広告費用と売上の関係性を調べる際などに役立つ分析手法です。しかし、あくまで相関関係であって、因果関係を示すわけではありません。また、相関の強さは、分野や解釈によって変わってくることにも留意しましょう。
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※ 記事制作時の情報です。
データ分析とは、収集したデータを整理・分析し、意思決定に活用できる知見を導き出すプロセスです。分析手法は多岐にわたり、目的に応じて適切な手法を選択することが重要です。データ分析は、ビジネスの戦略立案や研究開発における仮説検証など、多様な分野で活用されており、現状把握や将来の動向予測を効果的に行うことができます。
ただし、データ分析は万能ではなく、数値化できない定性的なデータには不向きです。また、企業のデジタル化が進んでいないと、データの収集や管理に膨大な手間とコストがかかるため、データ分析を取り入れるのは困難な場合があります。
データ分析によって、根拠に基づいた意思決定が可能になり、企業の競争力を高められます。予測困難なVUCA (注1) 時代の急速な市場変化に対応し、ビジネスの最適化や業務効率化を図るためにはデータに基づく客観的判断が不可欠です。
近年のAIやDXの進展に伴い、データ分析を経営戦略の中核に据える企業が増えています。市場動向の把握から意思決定まで、ビジネスのあらゆる場面でデータ分析が重要な役割を果たしています。
データ分析で扱われるデータの種類は下表のとおりです。
データの種類 | 説明 | |
---|---|---|
質的変数 | 質的変数はカテゴリ情報を示し、名義尺度と順序尺度に分類できる。性別や職業のように、カテゴリとして分類されるデータを指す。計算には適さない。 | |
名義尺度 | 名義尺度は、数値や順序を持たないデータのカテゴリ分けを指す。血液型や居住地などが該当する。 | |
順序尺度 | 順序尺度は、序列があるデータのこと。アンケートなどの段階評価 (「非常に満足」「満足」「不満」など) が代表例。 | |
量的変数 | 量的変数は、数値として測定できるデータを指す。売上金額や年齢などのように数値で表されるデータ。 | |
間隔尺度 | 間隔尺度は、データ同士の差を比較できる測定値のこと。試験の点数を例にすると、80点と90点の差は、70点と80点の差と同じ10点として扱うことが可能。 | |
比例尺度 | 比例尺度は、絶対的なゼロが存在するデータで、売上や収入といった計測値が含まれる。 | |
離散変数 | 離散変数は、飛び飛びの値のみをとるデータを指す。サイコロの目や世帯人数などが該当する。 | |
連続変数 | 連続変数は、測定値が細かく分割できるデータを指す。身長 (171.1cm、171.2cmなど) のように、細かい単位での測定が可能なものが該当する | |
横断面データ | 横断面データは、特定の時点で収集された複数項目のデータグループを指す。例えば、全国の店舗の今月の売上データなどが該当する。クロスセクションデータともいう。 | |
時系列データ | 時系列データは、特定の項目を時間の経過に沿って収集されるデータ。過去数年間の月別売上データなど、変動を分析するために使用。 | |
一次データ | 一次データとは、データ分析者自身が直接収集したデータのこと。独自の分析ができるため、他社とは差別化された分析が可能。 | |
二次データ | 一次データに対し、他社が収集した既存のデータを二次データと呼ぶ。収集の手間は省けるが、目的に一部合致しない場合や、独自性のある分析は難しい。 |
データ分析を活用することで、企業はビジネスの意思決定をデータに基づいて行い、競争力を高めることが可能です。
それにより企業が得られる、具体的なメリットを3つ紹介します。
データ分析に基づき、意思決定を行う「データドリブン経営」が実現できます。感覚的な判断に頼らず、客観的な情報に依拠した戦略立案や課題解決が可能になります。市場動向や消費者のニーズを的確に把握し、新たな商品・サービスの開発や新規事業の展開につなげることができます。
データ分析を通じて、在庫量を最適化して保管コストを削減したり、需要予測生産計画を効率化し、製造コストを抑制できます。
また、生産ラインのデータを収集・分析して業務のムダな部分を特定し、製造プロセスの効率化を図るといった活用法も考えられます。
さらには、顧客のニーズや行動パターンを把握し、効果的なマーケティングやカスタマーサポートなどでも応用できます。
例を挙げると、購買データの分析に基づいてパーソナライズ化したプロモーションを提供し、顧客満足度を高めることで、リピーターの増加が図れます。これは、顧客との長期的な関係の構築やブランド価値の向上にも寄与します。
データ分析は多くのメリットがある一方で、導入や運用において課題も存在します。ここでは、企業がデータ分析を活用する際に、直面しやすい2つのデメリットについて解説します。
データ分析には、専用ソフトウェアの購入やシステムの構築、データを扱う専門人材などの確保のため、初期投資と運用コストが必要です。また、データ量が膨大になる場合はサーバーの増強費用やメンテナンス費用なども発生し、相対的なコスト負担が大きくなる可能性があります。特に中小企業では、コストの問題は見逃せない要素となるでしょう。
データ分析は、分析に使用するデータの品質に大きく依存します。誤ったデータや欠損値、データの偏りがあると、分析結果が不正確なものになりかねません。ゆえに、データのクリーニング (欠損値や重複値を取り除く作業) や精度を保つための管理が必要になります。
このデータ品質については、ISO/IEC 25012 (注2) によって以下の15の評価項目が定められています。
1 | 正確性 |
---|---|
2 | 完全性 |
3 | 一貫性 |
4 | 信ぴょう性 |
5 | 最新性 |
6 | アクセシビリティ |
---|---|
7 | 標準適合性 |
8 | 機密性 |
9 | 効率性 |
10 | 精度 |
11 | 追跡可能性 |
---|---|
12 | 理解性 |
13 | 可用性 |
14 | 移植性 |
15 | 回復性 |
データ分析手法には、目的に応じてさまざまな種類があります。ここでは、相関分析や主成分分析など、8つの分析手法について、それぞれの特徴を解説します。企業の課題やニーズに合わせて、適切な手法を選択することが重要です。
データ分析を効果的に行うためには、定められた手順に従うことが重要です。
データ分析のプロセスを以下の6つのステップに分けて解説します。
データ分析の第一段階で、どんな問題を解決すべきか、何を達成したいのか、目的を明らかにします。問題や目的が定まっていなければ、どのようなデータ分析が必要か決定できません。
売上の向上を目的とする場合、顧客数や1人当たりの購入額、成約率の数値改善につながるため、それらに関連するデータを分析すべきだと判断できます。目的を明確にし、問題を具体化することで、データ分析がより効果的かつ効率的に進み、問題解決に有効な情報が得られます。
目的を明確にした後は、問題の原因を明らかにする「課題定義」を行います。解決したい問題にどの要因が関与しているか具体的に検討して、改善すべき課題を決定します。ただし、課題を適切に定義するためには、ビジネスの理解と現状の把握が不可欠です。課題が顕在化していなかったり、課題の裏に別の課題が隠れていたりするケースもあるため、課題発見のために現場でのヒアリングやアンケートなどの予備調査を実施することがあります。
課題が明確になったら、目的達成に向けて「仮説」を設定します。仮説とは、課題解決に向けて考えられる要因と改善策のことです。この仮説を立てることで分析の方向性が定まり、作業を効率的に進めることができます。
例)
課題 | Webサイトの特定ページで離脱率が高い。 | |
---|---|---|
↓ | ||
仮説 | 現状 | ページの読み込み速度が遅いことが離脱率を高めている可能性がある。 |
改善後 | ページの速度改善により離脱率が低下する。 | |
↓ | ||
データ分析 | 収集データ | 読み込み速度 (秒) / 離脱率 (%) / ページ別アクセス数 |
分析方法 | 速度と離脱率の相関分析 / 高離脱ページと低離脱ページの比較 |
このように、明確な仮説に基づいて分析項目と手法を設定することで、効率的かつ効果的なデータ分析が可能になります。
仮説設定後に、検証に適した施策を検討します。仮説を基に具体的なアクションプランを策定し、必要なデータと分析手法を決定します。また、仮説に基づいた施策を実行する際は、効果測定のための指標やデータ収集の手段を確定させておくことも重要です。その上で、必要となるコストやリソースの確保についても事前に考慮します。
施策の実行と併せて、後の効果検証の準備も進めます。
例えば、プロモーション施策の効果検証のために顧客の反応を追跡したり、売上データのモニタリングなどを行ったりします。
事前に設定した仮説とかけ離れた結果が出る場合は、仮説の見直しや追加分析の検討が欠かせません。特に、複数の要因が関連する分析については、施策実行と効果検証を何度か繰り返す必要があるでしょう。
施策の完了後に「振り返り」を行い、得られた成果を確認して評価を行います。最初に掲げた目的が、施策によってどの程度達成できたかを確認することが重要です。客観的な評価には定量的効果が有効ですが、すべての評価対象が数値化できるとは限りません。その際は、定性的効果も軽視せず、評価基準に盛り込みます。
この振り返りを通して、データ分析を活用した課題解決のプロセス全体を見直し、次回の施策に活かすことが大切です。成功したポイントや改善点などを関係者間で共有すると、組織全体における今後のデータ分析に基づく施策の精度向上につながります。
データ分析を効果的に活用するためには、3つの重要なポイントがあります。
データ分析の成功には、チーム全体での目標の共有が大切です。分析担当者だけでなく、関係者全員が目標を理解し、それぞれの役割を認識することで、より実効性の高い仮説を立てることができます。また、仮説設定の段階から現場の意見を積極的に取り入れると、より実態に即した分析が可能になります。
分析結果を評価する際は、数値だけでなく、ビジネスの観点や現場の実態も考慮することが重要です。例えば、数値が改善している場合でも、その変化が一時的なものなのか、持続的なものなのかを見極める必要があります。また、予期せぬ副次的な効果についても注意を払い、総合的な評価を心がけましょう。
データ分析の効率化には、BI (注5) ツールの活用が効果的です。BIツールを使用すると、システム間を横断したデータの収集が可能になり、データの可視化や高度な分析が容易となります。データを手作業で収集する際と比較して圧倒的に効率的であり、ヒューマンエラーのリスクも大幅に低減できます。データをグラフ化するなど視覚的に把握することも可能なため、分析結果を迅速かつ正確に把握することができます。
KDDIは、生成AIの社内実践と法人のお客さまへの展開を推進しています。社内向けに「KDDI AI-Chat」を導入し、約1万人の社員が利用可能な環境を整備しました。現在では全社員の7割以上が活用しており、プログラミング工数の削減やアンケート分析の効率化などに役立てています。
この知見を活かして、法人向けに「Azure OpenAI Service」の提供や企業内データとの連携支援を行っています。具体的には、電話の音声データを音声認識AIによってテキスト化し、生成AIで要約するといった利活用ができます。KDDIは、生成AIを用いたテキストデータ分析で、企業のサービス改善やマーケティングへの活用を支援します。
この事例の詳細については、以下の記事もご参照ください。
IoTや5G、クラウド技術の活用は、工場の生産データをリアルタイムで分析し、遠隔制御の導入やボトルネックの特定、プロセスの最適化につなげることができます。このようなDXとデータ分析の組み合わせで、製造業における省力化や生産性向上が期待されています。
この事例の詳細については、以下の記事もご参照ください。
KDDIは、商圏分析と地域活性化を実現するソリューションとして「KDDI IoTクラウド Data Market〜Location Analyzer〜」を提供しています。このサービスを導入した名鉄グループ様では、事業環境の変化に即応するため、10mメッシュという高精度な人流データ分析を実現し、約50のグループ企業で活用しています。
具体的には、名鉄協商様のコインパーキング事業において、人流データ分析を導入し、担当者の経験と勘に頼っていた新規開業判断や料金設定を、滞在人口データや属性分析に基づいて行えるようになりました。実際の施策として、夜間人口の増加傾向を把握し、夜間割引の開始時刻を20時から18時に前倒しするなど、きめ細かな対応で売上アップに貢献しています。
この事例の詳細については、以下の記事もご参照ください。
データ分析を上手に活用するには、メリットとデメリットを理解し、目的に合わせて適切な手法を選ぶことが重要です。また、データ分析を行う際は、目標の明確化や仮説の設定、分析結果の客観的な評価、 BIツールの活用による効率化といったポイントも押さえておきましょう。
KDDIではデータ分析をサポートする豊富なソリューションを提供しています。お客さまが保有するデータの分析から、必要なデータの収集・組み合わせまで「KDDI IoTクラウド Data Market」によって一括したサポートが可能です。
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