※ 記事制作時の情報です。
特に被害が多い代表的な攻撃手法は次の6つです。
それぞれの特徴と攻撃の傾向を知ることで、自社に必要な対策を考えやすくなります。
標的型攻撃は、特定の企業や組織を狙って行われるサイバー攻撃です。攻撃者は目的に合った相手を選び、詳細な調査を行ったうえで計画的に侵入を試みます。代表的な手口が、取引先を装ったメールを送り、添付ファイルやリンクを開かせてウィルスに感染させる方法です。文章やデザインが本物に近いため見分けにくく、気づかないまま感染してしまうことがあります。侵入後は、社内ネットワークを移動しながら情報を盗み出す動きが続くため、早期の発見と適切な対処が非常に重要になります。
ランサムウェアは、パソコン内のデータを暗号化し、解除する代わりに身代金を要求する攻撃です。攻撃者は企業の業務停止を狙うため、支払いを急がせるようなメッセージを表示します。近年は、暗号化に加えて盗み出したデータを公開すると脅す二重恐喝型が増えています。中小企業も例外ではなく、セキュリティ対策の甘さを狙われ被害が急増しています。業務継続に必要なデータを失う可能性があるため、バックアップの確保や早期対応が欠かせません。
フィッシング詐欺は、実在する企業を装ったメールで偽サイトへ誘導し、IDやパスワードなどの情報を盗み取る攻撃です。正規サイトに似せて作られているため、本物と誤解して個人情報を入力してしまう人が少なくありません。近年はメールだけでなく、SMSを悪用する「スミッシング」も増えており、宅配業者の不在通知を装うメッセージが代表的な例です。送られてきたリンクを不用意に開くと、不正アプリを強制インストールされるおそれがあります。内容の真偽を確かめる習慣を持つことが、被害を防ぐうえで重要です。
サプライチェーン攻撃は、狙った企業に直接侵入するのではなく、その取引先や委託先を経由して攻撃する手法です。攻撃者は、比較的セキュリティ対策が弱い傾向にある中小企業を踏み台にし、最終的に大企業のネットワークへ入り込むことを狙います。取引先との正規のやり取りに見えるため、不審な通信として気づきにくい点が厄介です。業務で関わる企業が多いほど攻撃対象が広がり、被害が連鎖する可能性もあります。十分な対策を行っていない企業は、意図せず攻撃者の入口として利用される危険があるため、サプライチェーン全体での取り組みが欠かせません。
DDoS攻撃は、大量のアクセスをサーバーに送り続けることで処理能力を奪い、サービスを利用できなくする攻撃です。攻撃者は多くのコンピューターを乗っ取り、同時にアクセスさせるため、短時間でサーバーが過負荷になります。ECサイトや予約システムが狙われるケースも多く、サービス停止による売上損失が深刻な問題となります。攻撃元が分散されているため、単純な遮断が難しい点も特徴です。
ゼロデイ攻撃は、まだ発見されていない、または修正されていないソフトウェアの弱点 (脆弱性) を狙う攻撃です。企業が対策を講じる前に攻撃が行われるため、防ぐことが難しく、大きな被害につながる危険があります。攻撃者は脆弱性が公開される前に悪用するため、通常のアップデートだけでは十分に防げない場合があります。常に最新の状態を保ちながら、異常な動作に早期に気づける体制が重要になります。
サイバー攻撃を受けると、業務停止や情報流出など企業に深刻な影響が生じます。取引先からの信頼が失われるだけでなく、対応に多くの時間と費用が必要になるケースも少なくありません。国内外では、多くの企業が実際に被害を受けており、その被害規模は年々大きくなっています。国内では、ランサムウェアによりサーバーが暗号化され、長期間業務が止まったケースがあり、海外では、大手企業がサプライチェーン攻撃を受け、広範囲で情報流出が発生したケースが広く知られるようになりました。こうした被害は決して他人事ではなく、本格的な対策を取らない企業ほど標的になりやすい状況といえるでしょう。実際の被害事例を知ることは、対策の必要性を理解するうえで重要です。
サイバー攻撃の目的は金銭の要求だけではなく、機密情報の窃取や社会への影響を狙うなど多岐にわたります。「攻撃されるほどの価値はない」と考える企業もありますが、対策が十分でない企業ほど攻撃者にとって侵入しやすい標的になります。
サイバー攻撃の動機はさまざまですが、主な目的は4つに分類できます。企業としては、それぞれの目的を知ることで、自社がどのような攻撃を受ける可能性があるか判断しやすくなります。
| 目的 | 内容 |
|---|---|
| 金銭的要求 | 身代金や不正送金を狙う攻撃で、ランサムウェアや詐欺メールが代表例です。企業の混乱を利用して金銭を得ようとします。 |
| 産業スパイ | 技術情報や顧客データを盗み取り、競合に利益をもたらす行為です。標的型攻撃がよく使われます。 |
| 政治・思想的主張 | 政治的メッセージの発信や社会不安の創出を目的とする攻撃です。特定団体への抗議として行われることがあります。 |
| 愉快犯 | 明確な目的はなく、システム破壊や混乱そのものを楽しむ行為です。攻撃対象は無差別で、予測が難しいことが特徴です。 |
中小企業が攻撃者に狙われやすい理由には2つの背景があります。
一つは、セキュリティ対策が十分ではないケースが多いことです。専任の担当者を置けなかったり古いシステムをそのまま使用していたりすると、防御に隙が生まれ、攻撃者にとって侵入しやすい環境となり、標的として選ばれやすい要因になります。見落とされた脆弱性を悪用されると、気づかないうちに内部まで入り込まれるおそれもあるでしょう。
もう一つは、サプライチェーンの一部として狙われる点です。大企業と取引する中小企業が踏み台にされ、正規の通信を装って不正アクセスの入口として悪用されるケースが確認されています。大企業に直接侵入するよりも、セキュリティが手薄な企業を経由したほうが攻撃者にとって効率的であるため、この手口は広く使われているのが実情です。
サイバー攻撃に対抗するには、外部からの侵入を防ぐ「入口」、内部での被害拡大を抑える「内部」、情報の持ち出しを防ぐ「出口」という三つの観点で備える方法がよく採用されています。さらに、あらゆる通信や操作を信頼せず都度確認する「ゼロトラスト」という考え方も広まり、より強固な防御を実現しやすくなっています。
入口対策は、外部から企業ネットワークへ侵入しようとする脅威を防ぐための取り組みです。攻撃者は不正アクセスや偽装メールを利用して侵入を試みるため、入口部分を強化することが重要です。主な対策は次のとおりです。
内部対策は、攻撃者がネットワーク内部へ侵入した後でも、被害が広がらないように抑えるための重要な取り組みです。データを安全に保持する体制も整えておくことで、被害発生時の復旧を早められます。代表的な内部対策は次の4つです。
出口対策は、社内の情報が外部へ漏れてしまうことを防ぐための取り組みです。万が一、攻撃者がネットワーク内部に入り込んだとしても、情報が外へ送信されなければ被害は抑えられます。そのため、外部に向けた通信を監視し、不審なデータ送信があれば自動で遮断する仕組みが欠かせません。
加えて、USBメモリーなどの外部記録媒体は、意図せず情報を持ち出してしまう原因になりやすいため、利用を制限することが効果的です。攻撃だけでなく、社員の操作ミスによって起こる情報漏えいも少なくありません。誤送信を防ぐ機能を活用したり、持ち出し可能なデータを明確にしたりすることで、人為的なミスのリスクを下げられます。
こうした対策を組み合わせることで、外部漏えいの可能性は大幅に減り、企業の情報をより安全に守れるようになります。
サイバー攻撃を防ぐためには、技術的な仕組みだけに頼るのではなく、従業員一人ひとりの意識を高めることが欠かせません。攻撃メールを不用意に開いたり、不正なサイトにアクセスしたりと、日常の行動が被害のきっかけになることが多いためです。こうした人的なリスクを減らすためには、知識と注意力を育てる取り組みが重要になります。
まず効果的なのが、定期的なセキュリティ研修です。攻撃の手口や最新の事例を学ぶことで、どのようなメールやサイトに注意すべきか判断しやすくなります。さらに、実際の攻撃を模した「標的型攻撃メール訓練」を行うと、疑わしいメッセージを見抜く力が身につきます。疑似メールを実際に受け取ることで、注意すべきポイントを理解しやすくなる点が特徴です。
これらの取り組みを継続することで、従業員の意識が自然と高まり、組織全体の防御力を強化できます。
サイバー攻撃を受けた際に被害を抑えるためには、次の二つの対応がとくに重要です。
攻撃に気づいたときは、どの端末やシステムに異常が起きているのかを判断し、被害の拡大を防ぐために、影響が疑われる端末を早急にネットワークから切り離すなど、初期の対処が重要です。
サイバー攻撃が疑われるときは、まず被害状況の確認を行います。どの端末で異常が起きているのか、エラーメッセージの有無、アクセスできないシステムがあるかなどを確認し、影響範囲を素早く把握します。異常が複数端末に広がっていないかを見極めることが重要です。
次に行うのが被害拡大の防止です。感染の疑いがある端末はネットワークから即座に切り離し、LANケーブルを抜く、Wi-Fiを無効にするなど、物理的に接続を遮断します。これにより、ほかの端末やサーバーへの感染拡大を防ぐことが可能です。同時に、共有フォルダや外部サービスへのアクセスも制限し、被害が広がらないよう保護していきましょう。
被害の拡大を止めた後は、原因の特定に進みます。ログを確認し、どの時点で不審な通信が行われたのか、詐欺メールがきっかけだったのか、脆弱性を悪用されたのかを調査することが重要です。侵入経路が分かれば、復旧作業の優先順位や再発防止策を検討しやすくなります。
初動対応が完了した後は、まず「システムの復旧」を進めます。バックアップが用意されていれば、攻撃を受ける前の状態に戻すことで安全に業務を再開できます。復旧の過程では、データが破損していないか、システムが正しく動作するかを確認しながら慎重に作業を進めることが大切です。
復旧が一通り完了したら、「再発防止策の検討」に移ります。攻撃の原因や侵入経路を明らかにし、設定の改善やセキュリティ対策の追加を進めていきましょう。必要に応じて監視体制を強化したり、社員向けのルールを見直したりすることで、同じ手口で再び被害を受けるリスクを減らせます。
また、個人情報が外部に流出した可能性がある場合には、「関係機関への報告」も欠かせません。とくに個人情報保護委員会への報告は義務となるケースがあるため、状況に応じて適切に届け出ることが求められます。これらの対応を確実に行うために、外部の専門機関を活用することも有効です。
サイバー攻撃は手口が増え続けており、規模の大小にかかわらず企業が被害を受ける可能性があります。特に中小企業は対策が不足しやすく、攻撃者に狙われる危険が高まっています。被害を避けるためには、攻撃の種類や目的を理解し、入口・内部・出口の三つの視点で対策を整えることが重要です。また、技術的な防御だけでなく、従業員の意識向上も欠かせません。万が一攻撃を受けた場合の手順を把握しておくことで、復旧をスムーズに進めやすくなります。継続的な対策に取り組むことで、企業全体のセキュリティレベルを高められます。
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