※ 記事制作時の情報です。
サイバー攻撃で特に注意が必要な攻撃は次の10種類です。
①ランサムウェア:暗号化と恐喝で業務停止を引き起こす
②サプライチェーン攻撃:取引先を経由するため発見しにくい
③標的型攻撃:特定組織を狙う高度な手口
④フィッシング詐欺:偽サイトで情報を盗む
⑤BEC:なりすましで金銭をだまし取る
⑥Emotet:メールで広がる感染力の強いウィルス
⑦DDoS攻撃:サービスを停止させる大量通信
⑧SQLインジェクション:データ改ざんにつながる危険な攻撃
⑨ゼロデイ攻撃:修正前の弱点を突く
⑩パスワードリスト攻撃:流出情報を悪用して不正ログインを試みる
ランサムウェアは、パソコン内のデータを暗号化し、元に戻す条件として身代金を要求する攻撃です。最近は暗号化に加え、盗み出したデータを公開すると脅す「二重恐喝」が増え、被害の深刻度が高まっています。感染経路として多いのは、不審なメールの添付ファイルや危険なサイトへのアクセスをきっかけに不正なプログラム (マルウェア) が入り込むケースです。一度暗号化されると復旧が難しく、業務停止に直結するため、定期的なバックアップが非常に重要になります。また、怪しいメールを開かない、不明なファイルを実行しないなど、従業員が基本的な判断を身につけることも対策のひとつです。早期に気づくための監視体制を整えておくことで、被害の拡大を防ぎやすくなります。
サプライチェーン攻撃は、標的となる企業に直接侵入するのではなく、関連企業や取引先を足がかりにして攻撃する手口です。例えば、セキュリティ対策が十分ではない中小企業のネットワークに侵入し、その企業との通信を経由して最終的な目的である大企業へアクセスを試みます。取引先とのやり取りに紛れて攻撃が進むため、発見が遅れやすい点が大きな問題になります。対策としては、取引先を含めたセキュリティ方針の統一や、外部との通信を細かく監視する仕組みが有効です。特に中小企業は踏み台にされるリスクが高いため、基本的な防御策の整備が欠かせません。
標的型攻撃は、多くの攻撃のなかでもとくに巧妙で、狙いを定めた相手に向けて計画的に行われる点が特徴です。攻撃者は、事前に組織の業務内容や関係者の情報を集め、実在する取引先や社員を装ったメールを送りつけます。見た目や文面が本物とほとんど変わらないため、受信者が不審だと感じずに開いてしまうことがあります。添付ファイルやリンクを開いた瞬間にウィルスへ感染し、内部ネットワークに侵入される危険があります。侵入後は、機密情報の窃取やシステムの改ざんを密かに行うため 、早期に気づくことが難しい点も問題です。こうした被害を防ぐには、従業員がメールの扱い方を正しく理解することが欠かせません。
フィッシング詐欺は、本物に似せて作られたメールやサイトへ利用者を誘導し、IDやパスワード、クレジットカード番号などの情報を盗み取る手口です。メールの文面やロゴが正規サービスと似ているため、利用者が気づかずに個人情報を入力してしまうケースが後を絶ちません。最近では、SMSを悪用する「スミッシング」も増えており、宅配業者の不在通知や利用サービスの案内を装って偽サイトへ誘導する被害が多く見られます。対策としては、 URLが正しい情報かアクセス前に必ず確認すること や、多要素認証を設定し、不正ログインを防ぐ仕組みを整えることが有効です。
ビジネスメール詐欺 (BEC) は、取引先や社内の関係者になりすまし、金銭を不正に振り込ませる手口です。攻撃者は名前やメールアドレスを巧妙に偽装し、支払いを急がせる内容で担当者の判断を惑わせます。実際には偽の口座へ誘導することが目的で、丁寧な文面のため不審点に気づきにくいケースが多くあります。また、経営層を装って「至急対応」を指示し、心理的な焦りを利用する方法もよく使われます。対策としては、送金依頼を受けた際に必ず別の連絡手段で確認することが有効です。さらに、振込の最終確認を複数人で行う体制を取り入れることで、思い込みによるミスを防ぎ、被害を大幅に抑えられます。
Emotet (エモテット) は、メールで感染を広げるマルウェアで、アドレス帳に登録された相手の名前を悪用し、本物のように見える不正メールを自動で送信するため、受け取った側が疑わずに開いてしまうことがあります。添付ファイルの開封やリンクのクリックをきっかけに感染し、パスワードやメール情報が盗まれる危険があります。被害を防ぐには、WordやExcelなどの「マクロ機能」を安易に有効にしないことが重要です。また、少しでも違和感のあるメールは、添付ファイルを開く前に送信者へ別の方法で確認する習慣を持つと、安全性が高まります。こうした日常的な注意を徹底することが、組織全体の感染防止につながります。
DDoS攻撃は、サーバーに大量の通信を送って処理能力を奪い、サービスを利用できなくする手口です。攻撃者は、ウィルスに感染させた複数のパソコンや機器を遠隔で操作し、一斉にアクセスさせます。短い時間で負荷が急激に高まり、ECサイトや予約システムのように常に利用されるサービスが停止してしまうこともあります。売上だけでなく信頼にも影響するため、早めの対策が欠かせません。
被害を抑えるには、急増する通信を自動でブロックする仕組みを導入したり、普段とは違うアクセスをいち早く察知できる監視体制を整えたりすることが重要です。また、複数のサーバーに負荷を分散させる構成にしておくと、攻撃を受けてもサービスを継続しやすくなります。
SQLインジェクションは、Webサイトの入力欄に不正な文字列を入力し、データベースを意図しない形で操作する攻撃です。本来は検索やログインのために使う仕組みを悪用し、顧客情報の閲覧や改ざん、削除まで行われるおそれがあります。入力内容のチェックが不十分なサイトほど狙われやすく、攻撃に気づくまでに時間がかかるケースも少なくありません。
被害を防ぐには、入力された文字列をそのまま処理しないようにする仕組みを取り入れたり、外部からの不正な操作を遮断するWAF (Web Application Firewall) を導入したり、定期的な脆弱性診断を行ったりして、設定の抜け漏れを早い段階で見つけて修正することが有効です。
ゼロデイ攻撃は、ソフトウェアの弱点がまだ公表されていない段階を狙う攻撃で、企業が対策を取る前に仕掛けられます。修正プログラムが存在しないため防ぎにくく、気づかないうちに情報が盗まれたり、システムが操作されたりする危険があります。攻撃者はこの準備不足の瞬間を狙うため、被害が広がりやすい点が問題です。
対策としては、ソフトウェアを常に最新の状態に保つことに加え、不審な動作を検知できるセキュリティ製品の導入が有効です。未知の攻撃であっても挙動から判断してブロックできる仕組みを取り入れることで、リスクを抑えられます。
パスワードリスト攻撃は、別のサービスで流出したIDとパスワードをまとめたリストを悪用し、さまざまなサイトに自動でログインを試す手口です。攻撃者は専用のツールを使い、大量の組み合わせを短時間で照合し、一致すればアカウントへ不正にアクセスされてしまいます。パスワードを使い回している人ほど狙われやすく、広範囲のユーザーが被害に遭う可能性があります。
対策としては、利用するサービスごとに異なるパスワードを設定することです。加えて、ログイン時に追加の確認を行う二段階認証を設定しておくと、パスワードが盗まれた場合でも不正ログインを防ぎやすくなります。
サイバー攻撃は手口が幅広く、Webサイトの仕組みやメール、通信経路、さらには利用者の操作まで、多方面が狙われるようになっています。攻撃者は弱点を見つけて巧みに突いてくるため、一つの対策だけでは十分とはいえません。どこに危険が潜んでいるのかを理解し、対象ごとに対策を整えることが重要になります。
Webサイトには、利用者が入力した情報を処理する仕組みが多く組み込まれています。この部分に弱点があると、攻撃者に悪用されるおそれがあります。画面に不正なスクリプトを表示させるXSS (クロスサイトスクリプティング) や、利用者の意図しない操作を強制的に実行させるCSRF (クロスサイトリクエストフォージェリ) が代表的な例です。さらに、送られてきた文字列をそのままシステム命令として扱わせるOSコマンドインジェクションのような手口も確認されており、注意が必要な攻撃手法といえるでしょう。これらを防ぐには、入力された内容を正しく確認する仕組みや、想定外の動作を抑制する設定を整えることが大切です。
インターネットを利用する際は、端末からサーバーまでさまざまな経路を通ってデータが送受信されます。この通信の途中を狙う攻撃として代表的なのが、中間者攻撃です。攻撃者が通信の間に入り込み、送られた情報を盗み見たり、内容を書き換えたりする危険があります。また、IPスプーフィングのように、偽装した送信元アドレスを使って不正な通信を行い、受信側をだます手口も確認されています。こうした攻撃を防ぐには、通信内容を暗号化して第三者が読み取れない状態にすることが重要です。さらに、社外のネットワークに接続する際はVPNを利用し、安全な経路で通信する習慣を徹底することで、情報の漏えいや改ざんリスクを効果的に減らせます。
オンラインサービスでは、本人確認のためにIDとパスワードを入力する場面があります。この仕組みを突破しようとする攻撃が、認証情報を狙う手口です。代表的なのは、無数の組み合わせを試して正しいパスワードを割り出すブルートフォース攻撃や、端末に潜む不正プログラムが入力内容を盗み取るキーロガーです。どちらも利用者が気づきにくく、被害が発覚しにくい点が問題になります。さらに、同じパスワードを複数サービスで使い回していると、一つの流出が別のアカウントの乗っ取りにつながるおそれがあります。これを防ぐには推測されにくいパスワードを個別に設定し、生体認証や二段階認証を組み合わせることが効果的です。
関連サービス: KDDI IDマネージャー
サイバー攻撃のなかには、人の心理を利用して情報を引き出す手口があります。代表例がソーシャルエンジニアリングで、攻撃者は取引先や上司になりすまし、パスワードや機密情報の提出を求めます。「至急対応を」といった文言で焦らせ、冷静な判断を奪うのが常套手段です。ほかにも、SMSで偽サイトへ誘導するスミッシングや、サポート窓口を装って電話で情報を聞き出す詐欺が確認されています。公共の場で画面をのぞき見するショルダーハッキングなど、身近な環境が悪用される例もあります。これらを避けるには、不自然な連絡は必ず確認し、身に覚えのないリンクを開かない習慣が有効です。
サイバー攻撃は高度化が進み、企業はこれまで以上に幅広い対策が求められるようになっています。技術面の対策に加えて、従業員の意識向上や日頃のルール整備が欠かせません。最新の脅威を把握し、組織全体で備える姿勢が重要になります。
近年のサイバー攻撃は高度化が進み、AIが悪用される事例も増えています。生成AIを使って本物の担当者が送ったように見えるメールを作り、受信者をだますケースが代表的です。さらに、個人情報を分析して、相手ごとに文面を最適化した詐欺メッセージを送る手口も見られます。また、ランサムウェアによる攻撃をサービスとして提供するRaaS (Ransomware as a Service) が広がり、専門知識がなくても攻撃に加担できる状況になりました。被害を避けるためには、最新の動向を継続的に把握し、自社の対策に反映していく姿勢が求められます。
サイバー攻撃に備えるためには、技術的な対策と日々の運用を両立させることが欠かせません。まず意識したいのが、多層的に守るという考え方です。不審な挙動を検知できるEDR (Endpoint Detection and Response) を導入すれば、侵入の早期発見につながり、被害を最小限に抑えやすくなります。さらに、システムを常に最新の状態に保ち、脆弱性を放置しない管理体制も重要です。また、人を狙う攻撃に備えるためには教育も有効です。定期的な研修や疑似攻撃メールの訓練を実施すると、攻撃の特徴を理解しやすくなり、日常の注意力が自然と高まります。
サイバー攻撃は年々多様化し、企業が抱えるリスクは一段と複雑になっています。まずは代表的な攻撃種類と特徴を理解し、自社のどこに弱点があるのかを把握することが、適切な対策を選ぶうえで大切です。また、システム面の備えだけでは十分とは言えず、従業員の意識向上も欠かせません。日ごろのちょっとした注意が、大きなトラブルを防ぐ力になります。さらに、サイバー攻撃は完全に防ぎきることが難しいため、異常に気づいたときに素早く対応できる体制を整えておくことが企業を守るための鍵になります。
サイバー攻撃の手口が高度化するなか、企業にはより強固なセキュリティ体制が求められています。KDDIでは、ゼロトラストの考え方に基づき、外部・内部を問わずあらゆる通信を検証しながら安全性を確保する「マネージド ゼロトラスト」サービスを提供しています。ネットワークや端末の状態を可視化し、不審な挙動を早期に検知することで、被害拡大を防ぎやすくなります。自社にどのような対策が必要なのか知りたい方や、既存の環境を見直したい場合には、ぜひKDDIへご相談ください。