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リモートデスクトップとは?仕組みや設定方法をご紹介
Smart Workコラム vol. 50

リモートデスクトップとは?
仕組みや設定方法をご紹介

2024 3/29
「情報通信技術を活用した時間や場所の制限をなくした柔軟な働き方」を意味するテレワーク。新型コロナウイルスの影響により、働き方の新たなかたちとして注目を集めました。しかしテレワークと出社とではハードウェアの環境が異なり、業種によっては業務効率が低下する可能性も否めません。その懸念を解消する技術の一つが「リモートデスクトップ」です。 この記事では、リモートデスクトップの仕組みや設定方法、導入によるメリットや注意点などをご紹介します。

リモートデスクトップとは

リモートデスクトップとは、遠隔地にあるコンピューターを、手元にある端末を使って操作する技術です。
手元端末ノートパソコンに限らず、タブレットスマートフォン使用するケースもあります。

ファイル作成展開などの処理自体遠隔地コンピューターによって行われます。そのため、手元端末には遠隔操作必要処理能力さえあればよく、遠隔地にあるコンピューター同程度スペック必要ありません。

リモートデスクトップは、WindowsやmacOSに標準搭載されている機能利用して実現可能なため導入比較的容易であり、テレワーク採用している企業でもよく活用されています。

1.リモートデスクトップの仕組みと使用方法

コンピューターキーボードマウスディスプレイといった入出力装置情報処理実行する演算装置などによって構成されています。リモートデスクトップでは、遠隔地にあるコンピューター (ホスト端末) が演算装置手元にある端末 (クライアント端末) が入出力装置として構成されるようなイメージです。

リモートデスクトップ使用方法は主に3種類で、標準搭載のOSを利用する方法、Webブラウザ利用する方法リモートデスクトップ専用アプリ利用する方法があります。それぞれ順番解説していきます。


1.1 WindowsやMacのOSを使用する場合

WindowsやmacOSに標準搭載されている機能を用いることでリモートデスクトップ実現します。
はじめから搭載されている機能を使うため、新たなソフトウェアダウンロードする必要はなく無料使用可能です。
Windows・macOSの双方とも、システム設定からリモートデスクトップ機能オンにすると使用可能になります。
ただしmacOSでは「リモートマネージメント」という名称になっています。


1.2 Google Chrome を使用する場合

Webブラウザの Google Chrome を使用してリモートデスクトップ実現します。Windows、macOS、LinuxのいずれのOSでも対応しているため、OSが異なる端末接続することに向いています。
ホスト端末に Chrome をインストールし、さらに Chrome 拡張機能の Chrome Remote Desktop を追加することで使用可能になります。

最初に、Chrome ブラウザ検索バーに「https://remotedesktop.google.com/access」と入力して設定画面表示させます。
次に、拡張機能インストールし「ホスト端末名称」と「PINコード」と呼ばれるパスワードのようなものを設定したら準備完了です。


1.3 専用のアプリを使用する場合

リモートデスクトップ専用アプリインストールし、ホスト端末・クライアント端末接続操作します。通信暗号化方式にAES256を採用しているセキュリティ機能の高いものや、画面共有遅延がなく操作性が高いものなどさまざまな種類があるため、業務内容対応しているOS、コストパフォーマンスなどを見比べながら決めるとよいでしょう。

2.リモートデスクトップを導入するメリット

リモートデスクトップによってコンピューター遠隔操作できるようになると、どのようなメリットが生まれるのでしょうか。
主なものを3つご紹介します。


2.1 遠隔操作でどこでも作業できる

リモートデスクトップではファイル作成更新などの情報処理そのものはホスト端末によって行われます。つまりインターネット環境さえあれば、どこにいても社内にいるときと同じように業務を進められるのです。

また、社内ホスト端末ハードウェアやOSを統一しつつも、クライアント端末各社員が使いやすいものを選ぶことができるため、個々に合った形でのテレワーク可能になります。


2.2 比較的安価に導入できる

複雑設定不要導入しやすい点もメリットの一つです。Windows、macOSに標準搭載されている機能を用いる方法と Chrome ブラウザを用いる方法はいずれも無料であり、リモートデスクトップ設定さえ済ませてしまえばすぐに利用可能です。


2.3 情報漏えいのリスクを抑えることができる

リモートデスクトップでは情報処理そのものをホスト端末によって進められるため、クライアント端末には業務上データ保存する必要がありません。データ保存されたハードウェア社外に持ち出すことがなくなるため、紛失盗難といったトラブルによる情報漏えいを防ぐことが可能になります。

3.リモートデスクトップを導入する際の注意点

導入比較的容易でありテレワーク導入にも向いているリモートデスクトップですが、ホスト端末クライアント端末通信における注意点を知っておく必要があります。主なものを2つご紹介します。


3.1 十分なセキュリティ対策が必要

クライアント端末には業務上データ保存されないため、比較的安全ではありますが、セキュリティ対策不要というわけではありません。
例えば、リモートデスクトップは、インターネット経由ホスト端末クライアント端末接続するため、コンピューター名やPINコードなどが悪意のある第三者に知られてしまうと、不正操作をされるリスクがあります。

利用にともなうセキュリティリスク理解したうえでVPNの確立やIPアドレス制限導入など、不正アクセスへの対策を行いましょう。


3.2 回線速度の影響を受けやすい

利用するインターネット回線速度が遅い場合遠隔操作結果クライアント端末に返ってくるまでにタイムラグが生じます。タイムラグとは、ホスト端末での処理結果が、クライアント端末画面反映されるまでに時間がかかる現象です。

操作のたびに反映待ちの時間発生すると業務効率はかえって低下してしまいます。タイムラグが生じないように回線環境を整えておく必要があるでしょう。

4.リモートデスクトップ環境の構築に必要なもの

リモートデスクトップ技術クライアント・ホスト・ネットワークの3要素によって成立しています。
ここでは、各要素について解説します。


4.1 クライアント

クライアントとは、自分手元にある端末のことを指します。日本語直訳では「依頼主」といった意味を示し、遠隔操作をしたい端末命令を送ります。

ファイル作成更新などの処理は行わないため、ホスト端末と同レベル処理能力必要ありません。比較的安価値段でも入手可能です。また、用途によってはタブレットスマートフォン代用可能です。


4.2 ホスト

遠隔操作される側の端末ホストと呼び、リモートデスクトップでは主に社内で用いられているコンピューター該当します。

クライアントからの命令実行し、結果表示した画面クライアント端末共有します。業務遂行十分処理能力が求められるため、サーバールームにCPUやメモリーディスクなどを集約してデスクトップ環境リモート仮想的構築する手法存在します。


4.3 ネットワーク

ホストクライアントを結ぶ回線のことをネットワークと呼びます。クライアント操作したい内容送信したり、ホスト処理結果画面を返したりする際に、情報が通る交通網ネットワークです。

ネットワーク設定は特に複雑なことをする必要はなく、OSに標準搭載されている機能ブラウザ機能利用することで設定完了します。

回線速度不十分だとかえって業務効率低下するため、利用する回線速度には充分注意を払いましょう。
また手軽ネットワークセキュリティ向上を図りたい場合にはVPNの利用が向いています。

VPNについては、こちらの記事解説していますのでぜひご覧ください。

5.リモートデスクトップの設定方法・手順

ここからは、リモートデスクトップ設定方法や大まかな手順をご紹介します (当記事ではWindowsの操作方法をご紹介しています) 。


5.1 ホスト端末の情報を確認

まずは遠隔操作したいホスト端末コンピューター・ユーザー・パスワード確認します。コンピューター名は、オフィス使用されているコンピューター名称で、Windowsでは「デバイス名」として表記されています。デスクトップ画面左下にある「スタート」をクリックし、「設定」→「システム」→「詳細情報」の順に進んでいくと確認できます。

ユーザー名とパスワードは、遠隔操作したい端末へのログイン情報です。オフィス使用されているコンピューター設定されていない場合、新しくユーザー名とパスワード設定必要です。


5.2 リモート接続の有効化 (ホスト端末)

初期設定ではほかの端末からのリモート接続無効になっているため、ホスト端末操作してリモート接続有効化します。

ホスト端末情報確認した手順同様に「スタート」をクリック、「設定」→「システム」と進んで「リモートデスクトップ」をクリックするとリモートデスクトップ設定画面が開きます。「リモートデスクトップ有効にする」をオンにしたら設定完了です。


5.3 リモート接続 (クライアント端末)

ホスト端末設定完了したら、クライアント端末操作してホスト端末へのリモート接続を行います。事前確認したホスト端末コンピューター・ユーザー・パスワード用意しましょう。

スタート」をクリックしたら「Windows アクセサリ」と書かれているフォルダを探します。
フォルダを開き「リモートデスクトップ接続」をクリックすると接続画面が開きます。

コンピューター名 (デバイス名) を入力し「接続」をクリックするとユーザー・パスワード入力を求められるため、それぞれ入力してOKボタンを押せば接続完了です。

6.リモートデスクトップ利用時にエラーが起きたときの対処法

ホスト端末設定完了クライアント端末からの接続成功したら、ホスト端末遠隔操作可能になります。
しかし、接続がうまくいかない、一度接続できたが接続できなくなるといったエラー発生する可能性もあります。
このような問題対処する主な方法をご紹介します。


6.1 ホストが見つからない場合

接続したいホスト端末が見つからず接続ができないケースです。
まずは、ホスト端末スリープモードにしたりシャットダウンしたりしていないかを確認しましょう。リモートデスクトップ基本的に、ホスト端末起動している状態でないと接続ができません。

ホスト端末起動している場合は、コンピューター名を誤って入力している可能性があります。
入力した内容が正しいか否かを確認してみましょう。正しいコンピューター名がわからない場合は、ホスト端末操作して再度確認する必要があります。初回接続時同様手順ホスト端末デバイス名を確認しましょう。


6.2 ネットワークエラー

コンピューター名は正しいがネットワーク上にホスト端末検出できないといった場合は、ネットワークプロファイル設定
「パブリックネットワーク」になっていることでエラーが起きている可能性があります。パブリックネットワークとは公衆無線LANなどにコンピューター接続する際に推奨される設定のことで、インターネット接続しているデバイスネットワーク上で検出されないようになっています。

リモートデスクトップ利用するには設定を「プライベートネットワーク」に変更する必要があります。
Windowsでは、「スタート」をクリックしたあと、「設定」→「ネットワークインターネット」と進み、ネットワークプロファイルの種類から「プライベートネットワーク」を選択することで設定可能です。

変更方法詳細はOSのバージョンによって異なるため、各社公式サイトをご覧ください。


6.3 ファイアウォール設定に問題がある場合

ネットワーク上でホスト端末デバイス検出できるにもかかわらず接続ができない場合ファイアウォールによってリモート接続拒否されている可能性があります。ファイアウォールとは、ネットワーク上の通信監視して不正アクセスからコンピューターを守る仕組みです。

ファイアウォール原因場合リモート接続許可するように設定変更する必要があります。

スタート」をクリックし、「Windows システムツール」→「コントロールパネル」→「システムセキュリティ」と進み「Windows ファイアウォールによるアプリケーション許可」を開きます。もしくは、スタートメニューに「Windows ファイアウォールによるアプリケーション許可」と入力し、一覧から選択します。

アプリ一覧表示されるため、その中から「リモートデスクトップ」を選択し、「設定変更」をクリックして変更反映させます。この変更だけでは解決しない場合、「セキュリティ強化されたWindows Defender ファイアウォール」の「受信規則」を変更する必要があります。

コントロールパネルの「システムセキュリティ」から「管理ツール」を開き「セキュリティ強化されたWindows Defender ファイアウォール」をクリック、開かれた画面左側表示されている「受信規則」を選択して必要操作を行います。

不必要通信アプリ許可してしまわないよう、社内ネットワーク担当者外部専門職の方と相談をしながら操作してください。


6.4 キーボードのレイアウトが変わってしまう場合

リモートデスクトップ有効にすると、キーボードレイアウト日本語から「USキーボード」と呼ばれる配列変更されることがあります。この場合優先する言語設定変更することで解消できます。

スタート」をクリックし、「設定」→「時刻言語」と進み、「言語」をクリックします。優先する言語一覧から「日本語」を選択したら、「オプション」をクリックします。

ハードウェアキーボードレイアウト」の「レイアウト変更する」を開き、日本語キーボード選択します。クライアント端末再起動して、元に戻っているか確認を行いましょう。

7.まとめ

リモートデスクトップは、テレワーク実施するうえで大変便利技術です。WindowsやmacOSに標準搭載されている機能を用いて実現することも可能なため、業務効率化施策のなかでも試しやすい部類です。ただし、コンピューター名やログインID、パスワード外部に漏れないようにセキュリティ対策が欠かせません。

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