クラウドインテグレーターとして、クラウドリフト、モダナイゼーションなど多数の顧客システム開発実績を持つKDDIアイレットが、AIインテグレーションについてご紹介します。
ユーザー部門から多くの開発依頼を受けるIT部門やDX部門の方必見です。
AIの活用は、特定の業務に生成AIを取り入れる段階から、企業活動そのものをAI前提で見直す段階へと移りつつある。
本記事では、オンラインセミナーの内容をもとに、新生KDDIアイレットが目指すAI前提時代の開発支援と、企業のAI活用を構想から開発・運用まで支えるサービス群『gaipack』が実現するAI駆動開発の姿を紹介する。
第1部に登壇したKDDIアイレット株式会社 (以下、KDDIアイレット) の執行役員・岡本 真樹 氏は、AI前提時代における新生KDDIアイレットの役割を語った。
AIの活用は、特定の業務に生成AIを取り入れる段階から、企業活動そのものをAI前提で見直し、AIネイティブな企業へと進化する段階へ移りつつある。
岡本 氏は「AIは部分的な実装にとどめず、活用が前提の企業戦略、事業、組織へとつなげ、AIの存在を意識しないレベル、つまりAIネイティブな状態に到達する未来を作っていくことが企業の競争優位性につながると考えている。」と説明した。
こうした変化に対応するため、KDDIグループはクラウド技術とシステム開発で成長してきたアイレットを戦略子会社として強化した。KDDIから営業・コンサルティング人材を投入し、グループ各社の専門性と技術力を結集することで、顧客の構想段階から開発、運用までを一気通貫で支援する体制を整えたのが、新生KDDIアイレットである。
新生KDDIアイレットの強みは、Amazon Web Services (以下、AWS) をはじめとする主要クラウドなどを横断して扱うマルチクラウドに対応できる高い技術力と、構想・戦略策定から開発、運用、セキュリティ対策、AI活用までをワンストップで支援できる体制にある。単なるシステム開発にとどまらず、顧客の事業課題に踏み込んだ取り組みにより、業務効率化や 新たな価値創出の実現を支援するのが特長だ。
その支援領域は、クラウドインフラ構築、アプリケーション開発、AIシステム開発など幅広い実績を持ち、これまで2,500社以上、4,300件を超えるプロジェクトに対応してきた。
岡本 氏は「これからのシステム開発では、設計戦略、モダナイゼーション、内製化、AI実装、運用高度化に至るまで、すべてにAI活用を前提にすることが重要になる」と強調した。
第2部に登壇した西田 駿史 氏は、開発現場に問いを投げかけた。「皆さんの開発パートナーは、AI時代の開発の常識にアップデートできているでしょうか。」
西田 氏によれば、開発現場でのAI活用はこの2〜3年で大きく変化してきたという。最初に主流となったのは指示文を磨き、いかに上手に頼むかという「プロンプトエンジニアリング」だ。次に広がったのが、RAGやメモリー、ツール連携などを使って、AIに必要な情報を効率的に届ける「コンテキストエンジニアリング」。そして現在重要になっているのが、AIが安全に自走できる環境そのものを構築する「ハーネスエンジニアリング」だ。
AI活用の焦点は、言葉の工夫から情報設計へ、さらに運用の仕組みへと移ってきた。 同じ変化は、開発の現場でも起きている。ここ1〜2年で広がったのが、AIに「こんな感じで作って」と雰囲気で依頼しながら進める「バイブコーディング (Vibe Coding)」だ。プロトタイプや個人開発では有効な一方、チーム開発や本番運用を前提にすると、意図と実装がずれる、品質が安定しない、再現性がないといった限界が生じる。
そこで重要になるのが、あらかじめ仕様を言語化し、人間とAIの共通言語をつくる「仕様駆動開発 (Spec-Driven Development)」だ。何を作るのか、どこまでをAIに任せるのかを先に定めることで、AIの出力を開発チームの意図に近づけやすくなる。ただし、仕様を書いても実装中のAIの挙動までは制御できない。だからこそ、2026年に入って注目が高まっている「ハーネスエンジニアリング」が要になる。 ハーネスとは、馬の大きな力を正しい方向へ導くための馬具を指す。AIも同じように、自由に動かすだけでは、現場で安定した成果を出し続けることは難しい。AIに正しい情報を渡し、やってはいけないことを制約し、進め方を制御しながら、結果を検証する。AIが迷わず、安全に、目的に沿って動ける環境を整えることで、その力を最大限に引き出す設計だ。
「『AIを使っています』だけでは、もはや差別化にはなりません。AIが安定して成果を出す環境設計こそが、これからの競争力です」と西田 氏は強調した。
そして、このような環境設計の先にあるのが、開発の進め方そのものを変える「AIDD (AI Driven Development/AI駆動開発)」だ。西田 氏は、AIDDを「人が『判断』し、AIが『実行』を駆動する開発」と表現した。従来の開発では、人が仕様を書き、設計し、実装し、テストする流れが一般的で、AIツールはあくまでも補助として使われていた。しかしAIDDでは、この役割分担を見直し、人が目的設定や判断、承認を担い、AIが仕様整理、設計、実装、テスト、改善といった実行部分を進める。
西田 氏は、AIDDの価値について「普段の業務の言葉を、開発可能な仕様と実際に触れる成果物に変えることによって、ソフトウェア開発の敷居を下げ、成果物を作成するスピードを高速化することです」と説明した。また、AIDDの魅力は、単なる高速化にとどまらない。大きな特徴の一つは、開発の過程で生まれる成果物が残ることだ。仕様や設計、ルールが形として蓄積されるため、次の開発にも生かしやすく、継続的な改善につなげられる。結果として、属人化を抑え、品質のばらつきを小さくしやすくなるのだ。もう一つの特徴は、開発の進め方そのものを変える点にある。AIDDは、まず動くものを早く形にし、その後、仕様、テスト、コード、レビュー、改善知見をつなげ、継続的に進化させていく——AIを前提にした新しい開発スタイルといえる。
このAIDDを、開発工程にスキームとして取り込んでいるのが、KDDIアイレットが提供する『gaipack (Generative AI Pack:ジーエーアイパック)』である。KDDIアイレットは、AI駆動開発の黎明期からAIDDを実践し、仕様駆動開発やハーネスエンジニアリングの考え方を取り込みながら、独自のスキームとして磨いてきた。「仕組みで開発を支える」という思想が土台にあるからこそ、AIDDも単に早く作るための手法にとどまらない。成果物の運用まで含めて継続的に回る仕組みとして設計している点が、他ベンダーとの違いだ。
西田 氏は、「AIDDを安心して業務に組み込める状態まで含めて提供することが、『gaipack』の考えるAI駆動開発だ」と説明した。実際に、ある大規模な全面刷新プロジェクトでも成果が表れている。通常であれば2〜3年規模を見込むようなリニューアルを、AIDDの活用によって半年で完遂した事例だ。既存コードをAIが参照できる形に整理して仕様理解と実装を効率化し、コーディング規約や設計ルール、テスト手順を再利用可能な形に整備することで、誰が実装しても品質が揺れにくい状態をつくった。さらに、形式的なチェックや一次レビューをAIに任せ、人は本質的なロジックや仕様の確認に集中できるようにした。西田 氏は「これは単なる効率化ではなく、開発プロセスそのものを変えた結果です」と語る。制約の多い現場ほど、AIDDによって、開発プロセスを見直すことで得られる効果はより大きくなる。
AI活用を企業に根づかせるには、開発手法だけでなく、ガバナンスやデータ基盤、運用保守まで含めた設計が欠かせない。実際、多くの企業では、AIを導入したいと考えていても、「現場で何の AIが使われているか把握できていない」「セキュリティ製品の運用負荷が高い」「逆に社内規制が強すぎて活用が進まない」といった課題に直面している。このような課題の背景には、AI活用を継続的に進めるためのガバナンスが十分に整っていないことがある。また、AI活用を進めるうえでは、データの利活用も重要なテーマである。社内のデータが部門ごとに分断され、サイロ化していると、AIに必要な情報を十分に生かすことができない。データ基盤の整備や権限管理、運用管理が不十分なままでは、AI活用も一部の業務にとどまりやすくなる。
KDDIアイレットは、こうした企業課題に対して、生成AI導入・活用に伴う課題をワンストップで解決する15種類のAI統合ソリューション群として『gaipack』を提供している。AIDDによる開発支援に加え、セキュリティ、ガバナンス、データ基盤、運用保守までを継続的に支援することで、企業がAIを一過性の取り組みで終わらせず、事業活動の中で活用し続けられる状態になることを目指している。
AI活用で問われているのは、どのツールを導入し、どう使うかではない。AIに何を任せ、人がどこで判断し、どう運用・改善していくか——業務や開発のプロセスにAIをどう組み込むかまで含めて設計できるかどうかだ。実際、AI導入が進む企業の現場でも、運用管理の難しさ、セキュリティへの不安、データ活用の遅れといった課題が生まれているが、これらは単にツールを入れるだけでは解決しない。KDDIアイレットは、AI駆動開発とそれを支えるガバナンス、データ基盤、運用保守の支援を通じて、企業がAI時代の開発へ移行するための伴走を続けていく。西田 氏は「AI時代の開発の常識は、すでに変わり始めています。次は、皆さまの現場でどう活かせるかを考える段階です」と語り、講演を締めくくった。
AI活用の第一歩から高度な課題解決まで、KDDIが幅広くご支援します。
私たちのサービス、ソリューションについては以下からお問い合わせください。
お客さまのあらゆるニーズにお応えします。