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ソブリンクラウドとは?必要性や注目される背景、日本での取り組みを解説

ソブリンクラウドとは?必要性や注目される背景、日本での取り組みを解説

2026 1/30
ソブリンクラウドとは、データの主権を自国で管理できるクラウドサービスのことです。海外事業者のクラウドを利用する場合、どの国の法律が適用されるのか、データがどのように扱われるのかといった不安が残るケースがあります。ソブリンクラウドは、こうした法的リスクや統制面の懸念を軽減できる点が大きな特徴です。近年は、セキュリティ強化やデータ保護の重要性が高まるなかで、その必要性に注目が集まっています。本記事では、ソブリンクラウドの基本的な考え方や注目される背景、従来のクラウドとの違いについて、分かりやすく解説していきます。

※ 記事制作時の情報です。

1.ソブリンクラウドとは何か

ソブリンクラウドとは、経済安全保障観点からデータシステム主権自国管理できるクラウドを指します。大きな特徴は、どの国の法律適用されるかという「法的支配権」を明確コントロールできる点にあります。

従来クラウドでは、海外事業者拠点法令影響を受ける場合がありました。ソブリンクラウドでは、データ保管場所運用主体自国 (特定地域) に限定し、外部からの不当干渉制約を受けるリスクを抑えます。その結果機密情報を扱う企業公共分野でも、安心してクラウド活用しやすくなります。

ソブリンクラウドとは何かのイメージ画像

2.ソブリンクラウドが確保する4つの主権

ソブリンクラウドは、データ主権システム主権運用主権技術主権の4つを確保する考え方に基づいています。これらは、国や組織クラウド環境において自律的意思決定制御権確保するために重要とされる要素です。

2-1. データ主権|データの法的保護


データ主権|データの法的保護のイメージ画像

データ主権とは、企業組織クラウド上に保存されたデータ所有権管理権保持し、他国法律規制影響を受けないようにするための取り組みを指します。

クラウド利用する場合データセンター設置国によっては、国外法律適用される可能性があり、その代表例が、米国のCLOUD Act (クラウド法) (注1) です。日本企業米国製クラウド (AWS、Azure、Google Cloud) を利用する場合データ日本にあっても米国法律に基づき米国政府から開示要求を受けるリスク想定されます。

ソブリンクラウドでは、データ自国内保管し、自国法的管轄下管理する仕組みのことで、これにより外部からの強制開示越境リスクを抑えやすい点が特徴です。

機密情報個人情報を扱う企業にとって、クラウドセキュリティ確保しながら法的保護維持できる点は、大きな安心材料になります。

  • 注1) 米国法律で、米国企業提供するクラウドサービス保存されたデータについて、データ海外にあっても米国政府開示要求できる制度を定めたもの。

2-2. システム主権|技術的独立性

システム主権とは、企業組織重要なITシステムデータ設計運用管理に関する制御権を、自社または国内事業者管理下に置くことを指します。システムインフラ海外企業サービスへの過度依存を避け、外国法域外適用管轄権影響を受けにくい体制構築することが重要です。

システム主権確立は、セキュリティ運用上リスク低減するとともに、長期的デジタルインフラ自立性確保し、経済安全保障観点からも重要な取り組みと位置づけられています。

2-3. 運用主権|運用の自律性

運用主権とは、クラウド監視管理自国体制で行い、外部左右されない運用実現することを指します。具体的には、システム監視障害対応ログ確認などを自国民技術者が担い、運用内容を自ら把握できる状態を指します。この仕組みは、運用透明性を高める点でも重要です。海外事業者運用を委ねている場合実際対応状況が見えにくく、一方運用主権確保すれば、判断対応自社国内パートナー完結でき、説明責任も果たしやすくなります。

2-4. 技術主権|開発の国産化

技術主権とは、クラウド基盤、OS、セキュリティ、AI などの技術基盤知的基盤開発維持を、自国主体的管理統制できる状態を指します。海外ベンダー技術過度依存すると、仕様変更提供終了影響直接受けやすくなりますが、技術主権確保すれば、設計技術選択運用方針を自ら決定でき、長期的安全性柔軟性確保することが可能となります。さらに、知的財産国内保護できる点も大きな魅力であり、設計情報ノウハウ国内蓄積されることで、技術流出抑制にもつながります。

3.ソブリンクラウドが注目される3つの理由

ソブリンクラウド注目を集める背景には、地政学的リスクの高まり、サイバー攻撃などのセキュリティ脅威深刻化、そして経済安全保障への関心拡大があります。国際情勢法制度変化は、クラウド継続利用影響を与える可能性があり、企業のBCP (事業継続計画) 対策としても主権意識した環境整備重要になっています。

3-1. 地政学的リスクの高まり

国際情勢不安定化は、クラウドサービス継続利用にも影響を与えています。例えばウクライナ情勢では、紛争地域関係するインフラ事業者制限を受け、一部クラウドサービス停止制約された事例がありました。特定の国や地域依存したクラウドは、政治判断制裁措置によって突然利用できなくなる可能性があります。

また、EUのGDPR (一般データ保護規則) のように、個人データ国外移転を厳しく制限する規制強化されています。これにより、データ保管場所管理主体によっては、業務継続支障が出る可能性否定できません。こうした背景から、地政学的リスク前提にしたクラウド選定は、企業のBCP対策において欠かせない視点となっています。

3-2. セキュリティ脅威の深刻化


企業活動デジタル化が進む中で、扱う情報の量と重要性は年々高まっています。顧客情報設計データ業務ノウハウデータとして集中管理される一方、ひとたび漏えいが起きれば、事業継続企業信用深刻影響を及ぼします。実際サイバー攻撃巧妙化しており、特定企業社会インフラを狙う事例も増えています。

特に電力通信金融医療などの分野では、システム停止社会全体混乱をもたらしかねません。そのため、セキュリティ自社管理下で強く保てる環境が求められています。

セキュリティ脅威の深刻化のイメージ画像

3-3. 経済安全保障の重要性拡大

経済安全保障観点からもクラウドの在り方が重視されるようになっています。日本海外クラウドへの依存が高く、利用料データ処理費用国外に流れる「デジタル赤字」が課題です。

経済産業省によると、2024年には約6.85兆円に達し2035年に最大45兆円規模膨張するおそれがあると警鐘を鳴らしています。こうした状況改善するには、国内クラウド産業育成し、重要データ基盤国内循環させる仕組みが欠かせません。

特に生成AIの開発で使われる大量学習データには、企業ノウハウ個人情報公共性の高い情報が含まれることも多く、これらを海外環境に預けたままにすると、管理利用透明性確保しにくくなります。

ソブリンクラウド活用すれば、学習データ国内法制度管理体制のもとで運用でき、知的財産機密情報を守るうえで大きな支えとなるでしょう。

  • ※ 外部サイトへ遷移します。

4.ソブリンクラウドとほかクラウド形態の違い

ソブリンクラウドは、主権確保重視する点でほかのクラウド形態と大きく異なります。

クラウド形態 利用環境 主権の確保 特徴
パブリッククラウド 不特定多数の企業でクラウド基盤を共有 低い 低コストで導入しやすく、拡張性・利便性が高い
プライベートクラウド 自社 (または特定組織) のみで専有 一部可能 高いセキュリティと内部統制を重視できる
ハイブリッドクラウド 共有 (パブリック) と専有 (プライベート) を併用 限定的 システム特性に応じた柔軟な使い分けが可能
ソブリンクラウド 国内・特定主体 (国・組織) 専有+強い制御下 高い 法令遵守やデータ主権を強く求められる用途に適する

4-1. パブリッククラウドとソブリンクラウドの違い

パブリッククラウドは、必要機能をすぐに使え、規模拡大もしやすい点が魅力です。世界各地データセンター活用できるため、コスト利便性重視する用途に向いています。ただし、運営元海外企業場合国外法律適用される可能性があり、状況によってはデータ開示を求められるリスク否定できません。

一方ソブリンクラウドは、データ保管場所運用自国法制度管理体制のもとで行う仕組みです。どの法律適用されるかが明確になるため、企業情報の扱いを主体的管理しやすくなります。その反面利用できるサービスの幅や最新機能選択肢は、パブリッククラウドより限られる場合がある点に留意必要です。

機密性の高い情報基幹業務では主権重視し、一般業務では利便性優先するなど、役割に応じて使い分ける考え方が現実的といえるでしょう。

4-2. プライベートクラウドとソブリンクラウドの違い

プライベートクラウド自社専用環境用意することで、セキュリティ運用ルール柔軟設計できる点が特徴です。ただし、インフラ基盤技術運用ツールの多くを海外ベンダー依存しているケースもあり、法的支配権技術面主導権まで完全自社で握れるとは限りません。

一方ソブリンクラウド専用環境であることに加え、運用監視国内事業者自国人材が担うことで、国外情勢海外法令影響を受けにくくなり、対外依存度を抑えやすくなります。

用途リスク許容度に応じて、どこまで自立性を求めるかを見極めることが重要です。

4-3. ガバメントクラウドとソブリンクラウドの違い

ガバメントクラウドソブリンクラウドは、いずれも国や社会安全を支える重要基盤ですが、その目的役割には違いがあります。ガバメントクラウドは、国や自治体共通利用する政府専用クラウド基盤として設計され、行政サービス効率化コスト削減を主な目的としています。標準化された仕組みを用いることで、各省庁自治体が同じ基盤上安全システム運用できる点が特徴です。

一方ソブリンクラウド経済安全保障観点から、海外法令影響を受けにくい環境を整え、重要情報国内管理できる点に価値があります。

5.日本における展望とベンダー動向

国内では経済安全保障重要性からソブリンクラウド需要が高まり、主要ITベンダー専用サービス強化しています。経済安全保障推進法により国内データ管理要請が強まり、クラウド市場成長期待される状況です。

5-1. 国内ベンダーの取り組み状況

国内では主要IT事業者が、ソブリンクラウド実現に向けた取り組みを進めています。A社は国内データセンター活用し、データ保管運用国内法のもとで管理できる基盤提供中です。B社は高いセキュリティを求める企業向けに、専用クラウド運用支援展開し、厳しい要件に応える仕組みを整えました。C社も通信基盤連携した国内向クラウド強化しています。

なお、海外クラウド基盤国内運用適合させる技術提携モデル (例: Oracle Alloy) も採用が進んでいます。(注2)

  • 注2) Oracle Alloy は、国内パートナー企業 (SIer や通信事業者) が自社ブランドオラクルクラウド機能セキュリティ提供できるモデルです。データ主権要件を満たしながら国内データセンター運用でき、海外法令影響を抑えながら高度クラウド基盤利用できます。

主要事業者の取り組み

事業者 提供形態 特徴
A社 国内クラウド基盤 国内データ保管・運用対応
B社 企業専用クラウド+運用支援 規制業種対応を強化
C社 国内クラウド+通信連携 通信最適化との融合

5-2. 今後の市場発展と導入事例

金融医療公共分野では、今後ソブリンクラウド導入がさらに進むと見込まれています。これらの分野は、個人情報機密性の高いデータ大量に扱うため、データ保管場所法的管轄について厳格管理が求められる領域です。

金融分野では顧客情報取引データ国内管理できる点が評価され、システム基盤一部として採用検討され、医療分野でも、診療情報検査データ安全に扱う必要があるため、国内法のもとで運用できる環境が求められます。

公共分野では、行政データ住民情報海外法令影響から切り離す動きが進み、ソブリンクラウド有力選択肢となっています。

データレジデンシー (データ保管場所に関する規制) 要件が厳しい業界ほど、主権確保できる点が強みとなり、長期的安定運用信頼性確保後押しとなる見込みです。

6.KDDIでの取り組み

KDDIでは、ソブリンクラウドデータ主権確保し、クラウド上の機密情報国内安全管理する「KDDI暗号鍵管理サービス for Google Cloud」を提供しています。暗号鍵とは、データ暗号化復号するための重要情報であり、誰が管理するかによって安全性が大きく左右されます。本サービスでは、国内事業者であるKDDIが暗号鍵国内管理することで、お客さま側にデータ主権確保され、保管データ機密保持対策強化します。今後運用主権技術主権観点からも、ソブリンクラウドのさらなるラインアップ拡充サービス強化に取り組んでいます。海外法令による強制開示リスクを抑えながら、Google Cloud の利便性活用できます。

7.まとめ

ソブリンクラウドの大きな特徴は、データシステム主権自国法制度管理体制のもとで確保できる点にあります。地政学的リスクサイバー攻撃経済安全保障への関心が高まる中、クラウド選定において主権意識する重要性は増しています。ソブリンクラウドは、データ主権運用自律性技術面での独立性重視する企業公共分野にとって、有力選択肢といえるでしょう。一方で、利便性機能面ではパブリッククラウドとの使い分けも欠かせません。自社業務特性リスク許容度を踏まえ、最適クラウド構成検討することが、これからの安定したIT基盤づくりにつながります。

ソブリンクラウドをご検討中の方はKDDIにご相談ください

ソブリンクラウド導入活用検討する際は、自社業務内容や扱うデータ特性に合った設計が欠かせません。法的支配権暗号鍵管理方法まで含めて考えることで、セキュリティ利便性両立が図りやすくなります。

KDDIは、ソブリンクラウドデータ主権確保する「KDDI暗号鍵管理サービス for Google Cloud」を提供します。国内暗号鍵管理することで、クラウドサービスプロバイダー管理組織分離し、海外法規制などの影響を受けないよう機密保持対策強化します。お客さま側にデータ主権確保されると同時に、Google Cloud の利便性活用可能です。

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