2025年6月25日〜27日に東京ビッグサイトで開催された「ワークプレイス改革EXPO 2025」では、総務・人事・経営層をはじめとした幅広いビジネスパーソンに向けて、働きやすいオフィスづくりを支援する多彩な製品・サービスが紹介された。
KDDIは「ABW (Activity Based Working) 型オフィス」をテーマに出展し、最新のICT技術と内装設計を連動させたソリューションを提案。働きやすさを追求したオフィス環境づくりの実例やノウハウを紹介した。
本レポートでは、KDDIブースの展示内容を中心に、当日の会場の様子をレポートする。
「ワークプレイス改革EXPO 2025」は、バックオフィス総合展「総務・人事・経理Week」の一環として開催された。
近年のテレワークやハイブリッドワークの普及に伴い、企業には生産性と従業員満足度を両立させる「新しいオフィスの在り方」の見直しが求められている。
会場には、総務・人事・経理・法務・広報・DX/IT推進担当者から経営層まで、幅広いビジネスパーソンが来場。ブースでは相談やデモ体験が可能であり、自社の課題解決に向けたヒントを得られる絶好の機会となっていた。
KDDIが「ABW (Activity Based Working) 」をテーマに出展したブースには、2020年8月の虎ノ門への法人部門の移転や、2025年7月の「TAKANAWA GATEWAY CITY」への本社移転で培った経験とノウハウが反映されていた。移転のコンセプト策定から内装設計、ツール選定に至るまでの数年にわたる議論と検討の軌跡が、言わば展示の軸になっているといえるだろう。
業務内容や役割に応じて働く場所を自由に選べる「ABW型オフィス」の実現には、ICTと内装の連動設計が欠かせない。
特に、「オフィス構築時にはICT検討が後回しにされやすく、その結果、手戻りや再調整が多発する」といった課題も指摘されている。これに対し、KDDIの提案する「ファシリティイノベーション」では、ICTと内装の検討を初期段階から並行して進めることで、手戻りを最小限に抑え、スムーズに計画を進める仕組みを実現している。このアプローチは、実際の移転経験を踏まえたものだ。ブースでは「ABW型オフィス成功のカギはICT」と題し、移転時に実際に活用された最新ICT機器の展示とデモを通じて、ICTと内装の連携の重要性とその効果について、来場者に具体的なヒントを提供した。
展示ブースには、高輪新本社にも実際に採用されたICT機器や最新ソリューションが並んだ。なかでも来場者から注目を集めていたのが「ファシリティイノベーション」「クラウド電話」「Starlink Business」の3つのソリューション。来場者はオフィス設計と通信インフラの連動で生まれる、柔軟で効率的なワークプレイスを体感していた。
実際に高輪新本社でも採用された「Neat Board Pro」は、65インチのマルチタッチスクリーンに加え、高性能な音響・広角カメラ・ホワイトボード機能などを備えたオールインワンのデバイス。ZoomやMicrosoft Teamsに対応し、対面とオンラインの垣根を感じさせない会議体験を提供する。
ほかにも、オフィス全体での安定したWi-Fi環境を構築する「HPE Aruba Networkingアクセスポイント」や、持ち運びしやすい上に電力のシェアも可能な次世代型バッテリー「e-block」や「Energy Bottle」なども展示。いずれも自由度の高いワークスタイルを支えるアイテムとして、来場者からの注目を集めていた。
KDDIブースでは、「クラウド電話」ソリューションも紹介されていた。オフィスの代表番号や内線通話といった固定電話機能をクラウド化し、PCやスマートフォンからも同じ通話環境を利用できるサービスだ。
Zoomの画面からそのまま電話対応ができる「Cloud Calling for Zoom Phone」や、「Webex Calling」の実機が展示されていたほか、Microsoft Teamsに電話機能を追加してチャットや会議と一体化して使える「Cloud Calling for Microsoft Teams」も紹介されていた。
クラウド電話のメリットは、場所を問わず快適に通話できることに加え、物理的な設備が最小限に抑えられるため、工事手配の手間も削減できる点にある。来場者からは「新しいワークスタイルを支える効果的なツールになる」との声もあり、導入を具体的に検討する姿も見受けられた。
災害時にも安定した通信を確保できる「Starlink Business」も展示された。これは、米SpaceX社が展開する衛星通信サービスで、地上インフラに依存しないインターネット接続を可能にする。有事の際にも事業継続を支える通信手段として注目されている。
展示コーナーでは、Starlink端末とともに、KDDIが提供する法人向けサービスパッケージも紹介された。
BCP (事業継続計画) 対策としての活用イメージや料金情報も提示され、来場者が導入後の具体的な運用イメージを持つことができる内容となっていた。インフラ障害や災害に備える手段として衛星通信のニーズは高まっており、特に企業におけるBCP対策への関心が集まっている。
KDDIは、国内初のStarlink認定インテグレーターとして、法人・自治体向けの導入を先駆けて支援しており、衛星通信のリーディングカンパニーとして、設置や導入支援はもちろん、カスタマーサポートや通信DXなどをトータルサポートしている。
「ワークプレイス改革EXPO 2025」には、多彩なソリューションが集結し、働きやすいオフィス環境づくりの最新動向が紹介されていた。特に、テレワークと出社を融合させたハイブリッドワークの定着に伴い、企業には生産性向上と従業員満足度を両立させる新たなワークプレイスの構築が求められている。
会場では次世代オフィスの姿が提示され、来場者は自社の課題と照らし合わせながら情報収集を行っていた。また、併催のセミナーでは、最新トレンドや具体的な導入事例が紹介され、多くの参加者が実践的なヒントを得ていた。
今回の展示は、「場所に縛られずにシームレスに働ける環境を整えたい」「オフィスの移転・レイアウト変更と合わせて働き方も見直したい」といった現場のニーズに応える提案となったはずだ。KDDIは、自社の移転経験を基に、成功事例や課題、失敗談も踏まえたノウハウを提供している。働き方コンセプト策定支援から、オフィスレイアウトの設計・デザイン、ネットワーク・ICT・内装を含めたオフィス創出までをトータルで支援し、社員一人ひとりの柔軟な働き方を可能にする空間づくりを力強く後押しする。