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AIカメラとは|特徴と3つの機能でできること、身近な活用事例を解説

AIカメラとは|特徴と3つの機能でできること、身近な活用事例を解説

2025 11/19
AI (人工知能) を活用した「AIカメラ」の進化は、監視や品質管理のあり方を根本から変えつつあります。AIカメラを活用すれば、従来のネットワークカメラでは難しかった自動認識や高度な解析が可能です。導入により、企業や自治体の業務効率化および安全性向上に貢献します。
本記事では、AIカメラの仕組みや種類、導入するメリット、適切な選び方、具体的な活用事例を解説します。

※ 記事制作時の情報です。

1.AIカメラとは

AIカメラとは、映像リアルタイム解析自動判別する機能を備えたネットワークカメラ (インターネット接続できるカメラ) です。顔認識物体検出行動パターン解析などをAIが自律的に行うため、人手を減らしつつ効率的監視データ活用可能です。

昨今では防犯システム無人店舗など、私たちの身近にあるさまざまなシーン導入が進んでいます。

AIカメラとはのイメージ画像

1-1. 従来のネットワークカメラとの違い

従来ネットワークカメラとAIカメラの主な違いは、検知精度自動化レベルです。

従来ネットワークカメラは、映像記録遠隔視聴主目的としており、撮影された内容解析人間が後から行う必要がありました。一方でAIカメラは、撮影同時解析実施し、異常特定物体などをリアルタイム検出可能です。これにより監視精度向上するだけではなく、映像記録から通知発報までを自動化でき、運用効率飛躍的に高まります。

項目 従来のネットワークカメラ AIカメラ
検知精度 ・動体検知中心
・誤検知多め
・顔や物体を高精度に識別可能
自動化レベル ・記録 ・記録
・解析
・通知
主な活用シーン ・映像記録
・遠隔視聴 など
・入退室管理
・不良品検知
・行動分析 など

2.AIカメラの種類

AIカメラは主に「エッジAI」と「クラウドAI」に分類されます。エッジAIは、カメラ本体解析完結するため、リアルタイム性に優れています。一方クラウドAIは、サーバー高度処理を行うため、精緻解析可能です。

導入にあたっては、処理速度コスト拡張性比較し、用途設置環境に応じて最適方式を選ぶことが重要です。

2-1. エッジAIカメラの特徴

エッジAIカメラは、カメラ本体または近接するエッジ端末搭載されたAIチップが、映像リアルタイム解析します。クラウドとの通信必要としないため、タイムラグ通信コストを抑えられる点がメリットです。また、工場屋外現場など、電波不安定環境でも安定的稼働できます。

一方で、エッジ側のチップ依存するため処理能力には限界があり、複雑解析大規模データ学習不得意です。また、カメラ設置台数によっては機器単価が積み重なり、初期導入コスト高額となることがあります。

2-2. クラウドAIカメラの特徴

クラウドAIカメラは、撮影した映像インターネット経由クラウドサーバー送信し、解析を行います。クラウド側は必要に応じて処理能力柔軟拡張でき、膨大データ学習最新アルゴリズム活用可能なため、複雑パターン認識長期的傾向分析得意とします。さらに、大容量映像データ長期間保存する必要があるケースにも適しています。

ただし、映像データ常時クラウドに送るため、安定した通信環境不可欠です。また、解析性能通信量に応じてクラウド利用料発生し、ランニングコストが高くなる場合があります。

3.AIカメラの3つの機能とできること

AIカメラの3つの機能とできることのイメージ画像

AIカメラは主に以下の3つの機能を有しており、多様シーン活用されています。

  • 顔認識機能
  • 物体検出機能
  • 動作パターン解析機能

3-1. 顔認識機能

顔認識機能は「検知」「識別」「認証」の3工程人物自動的特定します。

工程 詳細
検知 カメラで撮影した画像から顔を検出する。
識別 目・鼻・口などの位置や顔の輪郭といった特徴的な情報をデータとして抽出する。
認証 識別により抽出した「顔の特徴データ」とあらかじめ登録済みの「顔画像データ」を照合および認証する。

顔認識機能パスワード入力物理的カードキーなどが不要なため、高い利便性特徴です。また、カードキー紛失盗難パスワード漏えいといったリスクがなく、従来認証方法よりも高いセキュリティ環境実現できます。

主な利用シーン以下のとおりです。

  • 入退室管理
  • 不正侵入防止
  • 来店者識別

3-2. 物体検出機能

物体検出機能は、カメラ映像に映る人や車両動物商品異常物体などの対象をAIが自動検出し、その位置種類個数特定します。

主な流れは以下のとおりです。

  1. 映像から対象物体がどこにあるかを絞り込む
  2. 対象物体が何であるかを分類する

「人が3人」「車が2台」のように、映像の「どの位置に」「何の物体が」「いくつあるか」を映像から正確把握できる点が特徴です。

物体検出機能は、高度応用分野である自動運転にも欠かせません。走行中車両歩行者動物車線信号標識といった要素認識した上で、安全走行できるよう車体制御しています。

また、産業分野では以下のように活用されています。

  • 製造業: 生産ライン上の不良品即時発見し、廃棄ロス削減
  • 小売業: 陳列棚商品補充タイミング把握し、在庫管理効率化

このように、物体検出機能多様業種において、品質向上作業負荷軽減貢献しています。

3-3. 動作パターン解析機能

動作パターン解析機能は、人や物の動きを継続的解析し、異常改善点即座通知します。

工程 詳細
検出 映像内の物体を認識する。
追跡 検出した物体の移動経路・速度・滞在時間を時系列的に記録する。
解析 記録された物体の移動経路・速度・滞在時間を解析し、通常パターンと比較する。
検知・アラート AIが「通常」と異なる行動パターンと判断した場合、即座にアラートを発報する。

例えば、工場では作業員動線分析して工程改善活用可能です。また、店舗では不自然滞在時間検知するため、防犯対策強化できます。

4.AIカメラを活用するメリット・デメリット

AIカメラは、監視自動化による業務効率化安全性向上に強みがある一方導入費運用費などコスト面に注意必要です。

  • メリット1. 人件費削減につながる
  • メリット2. 24時間監視可能になる
  • メリット3. 街の持続的発展推進される
  • デメリット1. 初期導入コストが高い
  • デメリット2. 運用管理のための学習コストがかかる
AIカメラを活用するメリット・デメリットのイメージ画像

4-1. メリット1. 人件費削減につながる

AIカメラは、自動監視により警備員監視スタッフ人件費大幅削減可能です。

夜間警備員を1名配置した場合年間約600万円コスト必要となります。

年間 日数 費用 備考
平日 246日 3,690,000円 1万5,000円/日で計算
土日祝 119日 2,380,000円 2万円/日で計算
合計 365日 6,070,000円

一方で、夜間警備員配置せず、KDDIのAIカメラサービスである「KDDI Video Management Service」を導入した場合、AI基本料解析サーバー利用料ライセンス料などを含めても年間約233万円に抑えられます。

この例では、AIカメラ導入により年間約374万円コスト削減可能です。仮に初期投資額を500万円で3年間運用した場合以下のようにROI (投資対効果) を算出できます。

ROI = (年間削減額×運用年数-初期投資額)/初期投資額×100
例) 124.2 = (374×3-500)/500×100

上記では、3年間運用初期投資額回収し約124%の投資対効果 (ROI) が見込めます。このように、人件費削減できる点はAIカメラ導入の大きなメリットです。

4-2. メリット2. 24時間監視が可能になる

AIカメラ昼夜を問わず稼働し、無人環境でも異常自動的検知して通知可能です。これにより、夜間休日など人員配置しにくい時間帯でも一定監視品質維持できます。

また、人間のように疲労注意力低下がないため、監視精度反応速度が常に安定している点もAIカメラの強みです。さらに、赤外線搭載したAIカメラ導入すれば、暗所悪天候下でも安定した映像解析実行でき、防犯事故防止信頼性が高まります。

こうした特徴により、人手不足深刻現場や高いセキュリティ性が求められる現場において、常時監視ができる点がメリットです。

4-3. メリット3. 街の持続的な発展が推進される

AIカメラは、街中設置された映像から人流交通量などの膨大データ収集し、AIが解析することで都市運営防災計画活用できます。

KDDIが提供する「WAKONX SmartCity」では、イベント時の来街者数滞在エリア把握にAIカメラ利用し、混雑緩和施設運用最適化実現しています。また、収集データ都市計画反映することで、防犯対策公共交通改良など、持続可能なまちづくりにも寄与します。

4-4. デメリット1. 初期導入コストが高い

AIカメラ導入には、デバイス購入費設置工事費システム構築費必要です。AIチップ搭載カメラ本体価格は1台当たり10万円前後から数十万円と幅があり、従来ネットワークカメラ (約3万~10万円) と比べて2~3倍程度価格差があります。さらにクラウド使用量解析ソフトライセンス費用加算されるため、設置規模によっては合計数百万円になる場合があります。

しかし、AIによる自動監視業務効率化によりコスト削減期待されるため、おおむね2~4年で投資回収見込まれます。特に警備業務スリム化により年間数十万円数百万円規模削減実現すれば、中長期的なROI (投資対効果) は高まるでしょう。

4-5. デメリット2. 運用・管理のための学習コストがかかる

AIカメラ高精度映像解析を行えますが、適切活用するには操作設定データ解析方法の深い理解が欠かせません。担当者管理画面操作アラート設定レポートの読み取りなどを学ぶためのコスト発生します。また、システム変更時にはAIの再学習も求められます。

なお、社内マニュアル作成ベンダーによる研修を通じて効率的教育を行えば、学習コスト削減しつつ、スムーズ活用できる体制づくりを実現可能です。

5.AIカメラの選び方

AIカメラを選ぶ際は、以下の4つのポイント比較することが重要です。

  • 画質解像度で選ぶ
  • AI機能種類で選ぶ
  • 導入コストで選ぶ
  • サポート体制で選ぶ

5-1. 画質と解像度で選ぶ

AIカメラ活用するには、用途に適した画質解像度選定することが重要です。一般的監視用途であれば、フルHDでも十分映像確保できますが、細部まで鮮明に捉える必要がある小売店舗商品管理や、広範囲一度撮影する街頭監視などの用途では、4K以上高解像度推奨されます。

解像度が高いほど、細かな動作対象物正確認識できますが、その分、保存容量ネットワーク負荷増加する点には注意必要です。必要撮影範囲とAI解析目的考慮し、最適画質を選ぶことでコスト抑制につながります。

5-2. AI機能の種類で選ぶ

必要なAI機能整理することで、過剰投資を避けられます。

機能 主な用途
顔認識 入退室管理・セキュリティ強化 など
物体検出 製造業の異常検知 など
動作パターン分析 施設全体の行動解析 など

一般的に、AIカメラ機能増加するほどコスト上昇します。業務必要となる精度同時処理数などを踏まえ、必要機能だけを選定することが、費用対効果を高めるポイントです。

5-3. 導入コストで選ぶ

AIカメラ選定では、機器本体価格設置工事費ネットワーク環境整備費などの初期コストだけではなく、ライセンス料やクラウド利用料などのランニングコストも含めて総合的評価します。

初期投資を抑えたい場合は、基本機能のみのエッジAIカメラ導入するか、月額課金型クラウド型AIカメラ活用する方法有効でしょう。中規模であればエッジAIカメラクラウド録画サービスを組み合わせたシステム大規模であればクラウドAIカメラ専用管理サーバーを組み合わせたシステムなどがおすすめです。

5-4. サポート体制で選ぶ

AIカメラ高機能であるほど設定運用複雑になるため、導入後サポート充実しているかは重要判断基準です。

初期設定支援や、トラブル発生時迅速な問い合わせ対応定期的ソフトウェア更新などを提供するベンダーを選べば、運用リスク低減し、長期的安心してAIカメラ活用できます。

6.AIカメラの身近な活用事例

AIカメラ製造業建築業医療介護小売業など多様現場導入が進んでいます。本章では具体的事例を2つ紹介します。

  • 小売店によるパーソナライズレコメンド
  • 物流センターにおける高度監視体制

6-1. 小売店によるパーソナライズレコメンド

あるコンビニエンスストアでは、AIカメラ活用最適商品をおすすめするAIサイネージ導入しました。

このサービスでは「商品棚の前で長時間迷っている」あるいは「おにぎりを手に取った」など、顧客店舗内で取った行動に応じて、サイネージ人気商品割引情報などを表示可能です。

これにより、リアルタイム顧客一人ひとりに適切広告情報表示し、より効果的ターゲティング実現しています。

  • ※ 外部サイトへ遷移します。

6-2. 物流センターにおける高度な監視体制

ある物流企業では、複数物流センター監視カメラ映像を「KDDI Video Management Service (KVMS)」で統合管理し、AI解析による高度監視体制構築に取り組んでいます。

KVMSは既存監視カメラ活用し、KDDIの閉域網を通じてセキュア映像クラウド蓄積管理します。この映像をAIによりリアルタイム解析することで、防火防犯などの高度化および未然防止をはじめ、監視業務効率化目指しています。

7.まとめ

AIカメラ顔認識物体検出動作パターン解析といった高度機能活用により、監視管理業務自動化効率化実現できる革新的ツールです。導入にあたっては、エッジAIとクラウドAIそれぞれの特性コスト構造を深く理解することが欠かせません。導入目的コストサポート体制など複数選定基準総合的比較検討することが、AIカメラメリット最大限に引き出し、効果的活用成功させる鍵となります。

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