「つなぐチカラ」をよりシンカさせ、あらゆる社会課題に立ち向かう。
多数の次世代型低軌道衛星により高速・低遅延通信を提供します。
KDDIは『つなぐチカラ』でビジネス、ライフスタイル、社会をアップデートします。
場所にとらわれずつながるソリューションを、デバイスからセキュリティまで支援します。
KDDIは、グローバルビジネスの成長をお客さまと共に実現します。
CO2排出量の可視化から削減まで、一貫してカーボンニュートラル実現を支援します。
中小規模の事業者向けに特化したスマートフォンのご利用方法のご案内です。
中小規模事業者のやりたいことや変えたいことを、モバイルとクラウドの技術を用いてサポートします。
※ 記事制作時の情報です。
医療分野では、AIがさまざまな領域で活用されており、導入は年々加速しています。厚生労働省が設置した「保健医療分野におけるAI活用推進懇談会」(注1) では、AIの活用が期待できる6つの重点領域が示されています。
【重点領域での活用想定例】
医療AI、特に画像診断支援における活用は急速に進展しており、主に以下の3つの用途で導入が進んでいます。
AIが医師より先に画像を診断し、胸部X線やCT、MRIなどの膨大な画像から異常を抽出します。特に、大量の画像診断が求められる現場での負担軽減が見込めます。
医師の診断後にAIが再確認することで、見落とし率が低減し、診断の信頼性が高まります。ディープラーニングを活用したスクリーニング支援により、医師は重点的に画像の確認に注力でき、診断精度の向上につながります。
内視鏡や超音波検査の最中に、AIが病変の兆候を即座に検出して可視化することで、医師の判断をサポートします。これにより、病変の見落しのリスクを低減しつつ、診察中の判断負荷を抑えることができるだけでなく、医師の業務負担の軽減にもつながります。
将来的には、専門医によって「正解 (例:正常・異常)」が事前にラベリングされた医療画像データ (教師付き画像データ) の大量収集と、それを活用するための体制構築が図られることで、さらなる分析精度の向上が期待されます。
実際の医療現場では、AIを活用したさまざまな取り組みが進められています。以下では、画像診断やオンライン診療、処方支援といった具体的な事例を紹介します。
AI画像診断は、医療画像から病変を検出する分野で活用が進んでいます。
一例として、専門医でも見極めが難しい早期胃がんに対して、ディープラーニングを用いた画像認識AIが高い精度を発揮しています。理化学研究所と国立がん研究センター東病院の共同研究チームの事例では、36万枚の画像をAIに学習させることで、陽性的中率 (コンピューターが「がん」と判断した画像中、実際に「がん」であった割合) 93.4%、陰性的中率 (コンピューターが「正常」と判断した画像中、実際に「正常」であった割合) 83.6%という高精度を実現しました (注2)。
AIを活用したオンライン診療サービスも広がりを見せています。
例えばオンラインの診断アプリでは、以下のサービスをワンストップで提供します。
サービスによっては、診療結果や処方内容を患者自身がアプリ上で確認・管理したり、診療履歴をもとに再診予約や健康アドバイスを受けたりすることも可能です。
AIによるオンライン診療を導入することで、感染症の流行時における在宅療養にも対応できるようになります。
薬の処方にもAIが活用されています。例えば、診断結果に基づく薬の処方では、患者の体重や健康状態に応じて調整が必要です。しかし、多忙な医師が全ての情報を細かく考慮するのは難しい場合もあります。
そこで、AIが血圧や過去の服用データなど多様な情報を解析することで、医師の負担を減らしつつ、各患者にとって最適な投薬が可能となります。また、薬の相互作用や副作用リスクを検出し、患者の安全性を確保する取り組みも有効です。
医療AIの導入には、主に以下5つのメリットがあります。
それぞれのメリットをくわしく解説します。
AIは膨大な医療データや画像を学習することで、病気の微細な兆候や複雑なパターンを高い精度で認識します。これにより、ヒューマンエラーによる見落としが減少し、正確な診断が可能です。
特に、早期発見が難しい疾患や症状が曖昧なケースにおいては、人力では困難なほどのデータ量を分析可能なAIが大きな力を発揮します。
また、人による診断では医師ごとに診断結果のばらつきが生じますが、AIの分析結果を活用することでばらつきを抑えやすくなります。
AIの導入は、過重労働が深刻な課題となっている医療現場の改善にもつながります。
例えば、画像診断や問診、カルテの作成補助といった業務の一部をAIに分担してもらえるため、医師の作業量を大幅に削減可能です。これにより、医師はより専門的な判断や患者との対話に集中でき、医療の質そのものの向上を促します。
また、長時間労働による疲労や判断ミスのリスクの抑制にもつながるため、医療の安全性向上や働き方改革の推進効果も期待できます。
診療報酬明細書の作成やカルテ記録などの事務作業は、医師や医療スタッフの大きな負担となりがちです。AIによってこれらの作業を自動化すれば、人的な負担を大幅に軽減することが可能です。
また、AIによって人が担う作業が減ることで、人件費削減も見込めます。加えて、医療従事者は患者対応に集中できるようになるため、クリニックや病院全体のサービス品質向上にもつながるでしょう。
AIは医療ミスのリスク軽減にも大きく貢献します。
例えば、診断や処方の際に、AIが過去の症例データと照合して異常やリスクを自動検出し、医師に警告を出すことが可能です。これにより、誤診や処方ミスなどの人為的なエラーの防止につながります。特に、複雑な症例や複数の疾患が併存するケースでは、客観的かつ機械的に判断できるAIの判断が重宝します。
また、前述のとおり医師や医療スタッフの負担が軽減される効果もあり、この点でも疲労からくる判断ミスを回避できる可能性が高まります。
医師不足や専門医の偏在により、都市部と地方で受けられる医療の質に差が生じるケースは少なくありません。AIは、こうした地域医療の格差を埋める手段として期待されています。
例えば、AIの活用によって、都市部にある医療機関との診療データ共有や、高度な画像分析などが可能となるため、へき地の医療機関でも都市部と同程度の高度な医療サービスを実現できます。また、AIによって遠隔診療を行うことで、専門医が常駐しない地域でも迅速な治療が可能です。
多くのメリットがある医療AIですが、導入にあたっては慎重な検討と対策が必要です。以下のような注意点も押さえておく必要があります。
各注意点をくわしく解説します。
最終的な意思決定は、AIではなく医師が自らの責任で行う必要があります。
AIは学習データをもとに分析を行うため、珍しい病気や未知の病気には正確に対応できないためです。言い換えると、AIの提案をそのまま受け入れてしまうと、誤診するリスクがあります。
また、厚生労働省の通達でも、AIを活用した診療を行う場合も、最終的な診断・治療の判断はあくまで医師が行い、その責任も医師が負うとされています (注3)。
上記を踏まえて、医師にはAIが導き出した情報を参考にしつつ、自らの経験や知識を活かして判断を下すことが求められます。
現時点 (2025年) では、前述のとおり医師が最終的な責任を負うとされています。
一方で、厚生労働省が2019年にまとめた資料では「AI技術の進展を踏まえた継続的な議論の必要性」が指摘されており、将来的には上記の判断基準が変わる可能性も示唆されています (注4)。
このような背景を踏まえると、現時点では医師による最終判断を行いつつ、将来的な制度変化に備えておくことが求められます。
高精度な判断をAIが実施するには、膨大かつ多種多様な症例データが必要です。
しかし、個人情報ということもあり、質の高い症例データを十分に確保できないケースも少なくありません。単に数を確保しても、データに偏りがあると特定の条件下で誤診する可能性が高まるため注意が必要です。
また、漏えいや悪用を回避するために、確保した個人情報の取り扱いには細心の注意が求められます。
医療AIは、診断精度の向上や事務作業の効率化といった多くのメリットをもたらし、今後の医療現場における中核的な技術として期待されています。
一方で、導入に際しては、学習データの確保や人間の判断とのバランスといった課題も存在します。医療現場にAIを導入する際には、想定されるリスクへの対策を講じることが重要です。
また、社会全体で倫理・法的な枠組みの整備が同時に進むことも、医療AIの進歩には欠かせないでしょう。
KDDIでは、「生成AI」導入時のコンサルティングから設計、構築までトータルでサポートいたします。生成AIによる業務効率化や課題解決を実現するためのご支援が可能です。
生成AIサービスの導入には、インフラの整備、セキュリティ対策を含めた運用方針の策定が必要不可欠です。生成AI導入における多様なお悩みにも対応可能です。業務効率化やサービスの高度化を検討中の方は、ぜひKDDIにご相談ください。