このページはJavaScriptを使用しています。JavaScriptを有効にして、または対応ブラウザでご覧下さい。

中小規模のお客さま 個人のお客さま
閉じる
閉じる
閉じる
医療AIの未来とは|実現されるデジタル革新と医療現場の変化

医療AIの未来とは|実現されるデジタル革新と医療現場の変化

2025 8/19
医療現場では、AI (人工知能) の導入が急速に進み、これまで人の手に頼っていた業務や判断の一部が自動化されつつあります。診断や治療の精度向上だけではなく、医師の負担軽減や地域医療の格差是正にもAIの貢献が期待されており、まさに医療の未来を左右する技術です。
本記事では、医療AIの活用方法や事例、導入するメリット、注意点について、最新の動向を踏まえながらくわしく解説します。

※ 記事制作時の情報です。

1.医療AIの活用方法

医療分野では、AIがさまざまな領域活用されており、導入は年々加速しています。厚生労働省設置した「保健医療分野におけるAI活用推進懇談会(注1) では、AIの活用期待できる6つの重点領域が示されています。

医療AIの活用方法イメージ画像

重点領域での活用想定例

  1. ゲノム医療: AIが遺伝情報解析し、個人最適治療法提案します。
  2. 画像診断支援: X線やMRI画像をAIが解析し、病変検出サポートします。
  3. 診断治療支援: 電子カルテなどの医療データをAIが分析し、診断治療精度向上実現します。
  4. 医薬品開発: 新薬候補化合物をAIが設計選定し、開発期間コスト削減します。
  5. 介護認知症: 生活習慣健康データ分析し、高齢者ケア認知症対応効率化します。
  6. 手術支援: 手術予後データ学習により、合併症回避確率が高い手術選択可能となります。

1-1. 医療AIの主な機能


医療AI、特に画像診断支援における活用急速進展しており、主に以下の3つの用途導入が進んでいます。

1. 診断の事前支援

AIが医師より先に画像を診断し、胸部X線やCT、MRIなどの膨大な画像から異常を抽出します。特に、大量の画像診断が求められる現場での負担軽減が見込めます。

2. 診断後のダブルチェック

医師の診断後にAIが再確認することで、見落とし率が低減し、診断の信頼性が高まります。ディープラーニングを活用したスクリーニング支援により、医師は重点的に画像の確認に注力でき、診断精度の向上につながります。

3. 診察中のリアルタイム支援

内視鏡や超音波検査の最中に、AIが病変の兆候を即座に検出して可視化することで、医師の判断をサポートします。これにより、病変の見落しのリスクを低減しつつ、診察中の判断負荷を抑えることができるだけでなく、医師の業務負担の軽減にもつながります。

将来的には、専門医によって「正解 (例:正常異常)」が事前ラベリングされた医療画像データ (教師付画像データ) の大量収集と、それを活用するための体制構築が図られることで、さらなる分析精度向上期待されます。

2.医療AIの活用事例

医療AIの活用事例イメージ画像

実際医療現場では、AIを活用したさまざまな取り組みが進められています。以下では、画像診断オンライン診療処方支援といった具体的事例紹介します。

2-1. AIによる画像診断

AI画像診断は、医療画像から病変検出する分野活用が進んでいます。

一例として、専門医でも見極めが難しい早期胃がんに対して、ディープラーニングを用いた画像認識AIが高い精度発揮しています。理化学研究所国立がん研究センター東病院共同研究チーム事例では、36万枚画像をAIに学習させることで、陽性的中率 (コンピューターが「がん」と判断した画像中実際に「がん」であった割合) 93.4%、陰性的中率 (コンピューターが「正常」と判断した画像中実際に「正常」であった割合) 83.6%という高精度実現しました (注2)

2-2. AIを活用したオンライン診療

AIを活用したオンライン診療サービスも広がりを見せています。

例えばオンライン診断アプリでは、以下サービスワンストップ提供します。

  • 症状に基づいてAIが考えられる病名予測
  • 近隣医療機関案内
  • ビデオ通話による医師診療
  • 診断後処方せん配送

サービスによっては、診療結果処方内容患者自身アプリ上で確認管理したり、診療履歴をもとに再診予約健康アドバイスを受けたりすることも可能です。

AIによるオンライン診療導入することで、感染症流行時における在宅療養にも対応できるようになります。

2-3. AIによる薬の処方支援

薬の処方にもAIが活用されています。例えば、診断結果に基づく薬の処方では、患者体重健康状態に応じて調整必要です。しかし、多忙医師が全ての情報を細かく考慮するのは難しい場合もあります。

そこで、AIが血圧過去服用データなど多様情報解析することで、医師負担を減らしつつ、各患者にとって最適投薬可能となります。また、薬の相互作用副作用リスク検出し、患者安全性確保する取り組みも有効です。

3.医療AI導入のメリット

医療AI導入のメリットイメージ画像

医療AIの導入には、主に以下5つのメリットがあります。

  1. 診断精度向上を図れる
  2. 医療現場負担を減らせる
  3. 事務作業自動化効率化できる
  4. 医療ミスリスク軽減できる
  5. 地域格差是正につながる

それぞれのメリットをくわしく解説します。

3-1. 診断精度の向上を図れる

AIは膨大医療データ画像学習することで、病気微細兆候複雑パターンを高い精度認識します。これにより、ヒューマンエラーによる見落としが減少し、正確診断可能です。

特に、早期発見が難しい疾患症状曖昧ケースにおいては、人力では困難なほどのデータ量を分析可能なAIが大きな力を発揮します。

また、人による診断では医師ごとに診断結果のばらつきが生じますが、AIの分析結果活用することでばらつきを抑えやすくなります。

3-2. 医療現場の負担を減らせる

AIの導入は、過重労働深刻課題となっている医療現場改善にもつながります。

例えば、画像診断問診カルテ作成補助といった業務一部をAIに分担してもらえるため、医師作業量大幅削減可能です。これにより、医師はより専門的判断患者との対話集中でき、医療の質そのものの向上を促します。

また、長時間労働による疲労判断ミスリスク抑制にもつながるため、医療安全性向上や働き方改革推進効果期待できます。

3-3. 事務作業を自動化・効率化できる

診療報酬明細書作成カルテ記録などの事務作業は、医師医療スタッフの大きな負担となりがちです。AIによってこれらの作業自動化すれば、人的負担大幅軽減することが可能です。

また、AIによって人が担う作業が減ることで、人件費削減見込めます。加えて、医療従事者患者対応集中できるようになるため、クリニック病院全体サービス品質向上にもつながるでしょう。

3-4. 医療ミスのリスクを軽減できる

AIは医療ミスリスク軽減にも大きく貢献します。

例えば、診断処方の際に、AIが過去症例データ照合して異常リスク自動検出し、医師警告を出すことが可能です。これにより、誤診処方ミスなどの人為的エラー防止につながります。特に、複雑症例複数疾患併存するケースでは、客観的かつ機械的判断できるAIの判断重宝します。

また、前述のとおり医師医療スタッフ負担軽減される効果もあり、この点でも疲労からくる判断ミス回避できる可能性が高まります。

3-5. 地域格差の是正につながる

医師不足専門医偏在により、都市部地方で受けられる医療の質に差が生じるケースは少なくありません。AIは、こうした地域医療格差を埋める手段として期待されています。

例えば、AIの活用によって、都市部にある医療機関との診療データ共有や、高度画像分析などが可能となるため、へき地の医療機関でも都市部同程度高度医療サービス実現できます。また、AIによって遠隔診療を行うことで、専門医常駐しない地域でも迅速治療可能です。

4.医療AI導入時の注意点

多くのメリットがある医療AIですが、導入にあたっては慎重検討対策必要です。以下のような注意点も押さえておく必要があります。

  1. 人による判断との併用必須
  2. 責任所在今後変わる可能性がある
  3. 学習データ大量必要

各注意点をくわしく解説します。

4-1. 人による判断との併用が必須

最終的意思決定は、AIではなく医師が自らの責任で行う必要があります。

AIは学習データをもとに分析を行うため、珍しい病気未知病気には正確対応できないためです。言い換えると、AIの提案をそのまま受け入れてしまうと、誤診するリスクがあります。

また、厚生労働省通達でも、AIを活用した診療を行う場合も、最終的診断治療判断はあくまで医師が行い、その責任医師が負うとされています (注3)

上記を踏まえて、医師にはAIが導き出した情報参考にしつつ、自らの経験知識を活かして判断を下すことが求められます。

4-2. 責任の所在が今後変わる可能性がある

現時点 (2025年) では、前述のとおり医師最終的責任を負うとされています。

一方で、厚生労働省が2019年にまとめた資料では「AI技術進展を踏まえた継続的議論必要性」が指摘されており、将来的には上記判断基準が変わる可能性示唆されています (注4)

このような背景を踏まえると、現時点では医師による最終判断を行いつつ、将来的制度変化に備えておくことが求められます。

4-3. 学習データが大量に必要

高精度判断をAIが実施するには、膨大かつ多種多様症例データ必要です。

しかし、個人情報ということもあり、質の高い症例データ十分確保できないケースも少なくありません。単に数を確保しても、データに偏りがあると特定条件下誤診する可能性が高まるため注意必要です。

また、漏えいや悪用回避するために、確保した個人情報の取り扱いには細心注意が求められます。

5.まとめ

医療AIは、診断精度向上事務作業効率化といった多くのメリットをもたらし、今後医療現場における中核的技術として期待されています。

一方で、導入に際しては、学習データ確保人間判断とのバランスといった課題存在します。医療現場にAIを導入する際には、想定されるリスクへの対策を講じることが重要です。

また、社会全体倫理法的枠組みの整備同時に進むことも、医療AIの進歩には欠かせないでしょう。

生成AIの活用をご検討中の方はKDDIへ

KDDIでは、「生成AI導入時コンサルティングから設計構築までトータルサポートいたします。生成AIによる業務効率化課題解決実現するためのご支援可能です。

生成AIサービス導入には、インフラ整備セキュリティ対策を含めた運用方針策定必要不可欠です。生成AI導入における多様なお悩みにも対応可能です。業務効率化サービス高度化検討中の方は、ぜひKDDIにご相談ください。

関連記事


ピックアップ