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AIアプリ開発とは、AI(人工知能)技術を活用し、データ分析や自動化、判断処理といった機能をアプリとして実装する取組です。
これまでは高度な専門知識が必要でしたが、生成AIやノーコード開発ツールの登場により、個人や非エンジニアでも手軽に始められるようになりました。
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AIアプリ開発は、次の6ステップで進めると全体像を把握しやすくなります。ここでは、チャットボットや画像分類アプリを例に流れを解説します。
AIアプリにはさまざまな種類がありますが、ビジネスでよく利用される代表的なものは以下の3つです。
① チャットボット
② 画像認識アプリ
③ 音声認識・音声合成アプリ
チャットボットは、自然言語処理(NLP)を用いてユーザーの意図を理解し、質問に合わせた返答を行う仕組みです。問い合わせ対応の自動化や、社内マニュアルの検索支援など、幅広い用途で使われています。
近年は生成AIを取り入れたタイプが増え、文脈やニュアンスを読み取った自然な応答が可能になりました。API(※1)を利用すれば、短いコードで対話モデルを呼び出し、簡易的な社内向けボットを作ることも可能です。
画像認識アプリは、画像に写った物体、人物、文字の特徴を判別し、必要な情報を抽出する仕組みです。商品画像のカテゴリ自動分類、不良品の検知、顔認証による本人確認、OCR(文字認識)など、多くの業務で利用されています。
仕組みとしては、画像を数値データに変換し、パターンを学習したモデルが、特徴の違いを基に分類や判定を行います。最近ではAPIが充実しており、画像を送信するだけで判定結果が返ってくるため、個人でも短いコードで機能を組み込むことが可能です。
この方法を使えば、商品分類アプリや簡易的な認証ツールを小規模に試作できます。
音声認識・合成アプリは、話した言葉をテキストに変換したり、文章を自然な音声で読み上げたりする技術です。会議の議事録作成や動画のナレーション生成など、作業負担を軽減する用途で活用されています。
音声認識は、音の特徴を数値化し、学習済みモデルが言葉の内容を推定して文字にします。音声合成は、文章を基に読み方や抑揚を判断し、自然な音声データを作成する機能です。
開発においては、音声を送るだけでテキスト化できるAPIや、文章から音声を生成するAPIを使えば、短いコードで実装できます。SDK(※2)を使えば、スマホアプリへの組み込みもスムーズに行えます。
AIアプリ開発には、以下の3つのスキルが役立ちます。
① プログラミング言語(Pythonなど)
② 機械学習・データ分析の知識
③ Webアプリ向けフレームワークの活用
アプリの動作ロジックを組んだり、学習済みモデルを実装したりするために、プログラミングの知識が必要です。なかでもPythonは扱いやすく、AI分野で広く選ばれている言語です。
Pythonが主流となっている理由は、短いコードで処理を書ける点と、AI開発向けのライブラリが豊富にそろっている点にあります。特にTensorFlowやPyTorchは、モデルの構築や調整において必須といえるライブラリです。
初心者の場合、基本文法を学んだあとにサンプルコードを動かしながら覚える方法が取り組みやすいでしょう。paizaやドットインストール、YouTubeの無料講座などのオンライン学習サービスも充実しています。
機械学習では、正解付きのデータから規則を学ぶ、教師あり学習がよく使われます。これは分類や予測を行う際の基本となる考え方です。ほかにも、データ構造の特徴を自動で見つける教師なし学習などがあります。
AIの精度を高めるには、データの重複削除や欠損の確認といった前処理が欠かせません。データの質がモデルの性能に直結するため、収集と整理の工程は極めて重要です。
データ分析にはPythonのライブラリPandasが便利で、表形式のデータを読み込み、並べ替えや抽出を効率的に行えます。学習する際は、公式ドキュメントや入門書のサンプルを動かしてみると理解が深まるでしょう。
AIモデルをアプリとしてブラウザ上で動かすにはStreamlitやFlaskといったWebアプリケーションを開発できるフレームワークが役立ちます。画面表示や入力フォームの設置などを効率よく進め、学習済みモデルを利用者が触れられる形に整えられます。
Streamlitは、短いコードでボタンや入力欄を作れる手軽さが特徴です。チャットアプリや文章要約ツール、画像分類アプリなどのプロトタイプ(試作品)を素早く構築するのに向いています。
Flaskは、画面構成やデータの受け渡し、処理の流れを細かく設計したい場面に適したフレームワークです。既存の業務システムやクラウドサービスと連動するWebアプリの開発などで活用されます。
AIアプリは、必ずしもプログラミングを行わなくても作成可能です。近年では、生成AIにやりたいことを伝えるだけで処理の流れを作れたり、ノーコード開発ツールで画面設計ができたりする方法が広がっています。
KDDIが提供する「ELYZA Works with KDDI」では、文章や業務の流れを入力するだけで、AIアプリの案を自動で生成することが可能です。チャットボットや文章自動化ツールなども短時間で設計できるため、小規模な検証や初めての導入にも向いています。
AIアプリ開発をスムーズに進めるために、以下の3点を意識しましょう。
まずは「誰の」「どんな課題を」解決するのかを明確にすることが重要です。利用者の立場や実際の作業フローを具体的に想像することで、必要な機能や画面構成が見えてきます。例えば「顧客からの問い合わせ負担を減らしたい」のか、「社内に届く大量のメールを自動で振り分けたい」のかによって、必要な機能は全く異なります。
目的が決まれば、集めるべきデータの種類や量を判断しやすくなります。自然言語処理か画像認識か、選定すべき技術も自然と定まるでしょう。
AIアプリ開発では、最初から多機能を目指さず、必要最低限の機能のみを備えたMVP(Minimum Viable Product)から始める方法が有効です。まずは最小限の機能でリリースし、実際に使ってもらいながら改善点を探ることで、無駄な開発を防ぎ、コストを抑えられます。
例えば、画像分類アプリなら、画像をアップロードする欄と判定結果の表示だけのシンプルな画面構成から始めます。これなら短期間で作成でき、効果検証もすぐに実行可能です。
開発中にエラーが出たり、想定どおりに動かなかったりすることはよくあります。その際は、まず同じ内容の事例がないかを調べましょう。技術情報共有サイトQiitaには実装例やトラブル対応の投稿が多く、原因の見当をつける際の参考になります。
また、使っているライブラリやフレームワークの公式ドキュメントを確認すると、正しいコードの書き方や引数の意味を把握しやすく、根本的な理解につながるでしょう。
さらに、ChatGPTにエラーメッセージを入力し、原因と修正案を聞いてみます。どのような処理をしようとしていたかを併せて伝えると、より的確なアドバイスが得られます。
組織でAIアプリ開発を進める際、特定の担当者だけが技術に詳しくなり、ほかのメンバーが扱えない、属人化が起こりがちです。個人や部署ごとにバラバラの仕組みを作ってしまうと、ノウハウが共有されず、組織全体での活用が進みません。
この課題を解決するには、組織として共通の方針を持つことが効果的です。開発したアプリを共有する場を設けたり、技術的な相談窓口を作ったりすることで、担当者以外も活用しやすくなります。
また、成果や改善点を定期的に振り返り、運用ルールを整えることで、組織全体でAI活用を推進できるようになります。
AIアプリは、確認作業や文書作成といった定型業務の負担軽減に大きな効果を発揮します。ここでは、労務管理のチェックと請求書対応を自動化した2つの事例を紹介します。
人事部門では、36協定の超過を防ぐため、担当者が全社員の勤怠データを日々集計・確認していました。対象人数が増えるにつれてチェック漏れのリスクが高まり、担当者の負担も限界に達していました。
開発したAIアプリでは、勤怠情報や労働時間の上限を入力すると、時間外労働の予測や稼働可能日数、休憩時間不足の従業員、推奨事項などを自動で整理・提示します。複数の項目をまとめて判定できるため、状況を把握しやすくなりました。
その結果、日次の集計作業にかかる手間が減り、複雑な規制の確認も正確かつ迅速に行えるようになりました。
経理部門では、毎月多くの取引先から届く請求書をチェックし、未受領の企業を特定して催促メールを送る作業が続いていました。手作業による確認は抜け漏れが起こりやすく、メール文面の作成にも時間を取られていました。
AIアプリでは、請求書一覧データと担当者名を入力すると、未受領の企業を整理し、各社向けの催促メール文案を自動で作成します。必要な情報をまとめて確認できるため、判断しやすくなりました。
未受領の把握からメール作成までのフローが自動化されたことで、作業時間が短縮されただけではなく、ヒューマンエラーの防止や担当者の心理的負担の軽減にもつながりました。
AIアプリ開発は、課題の整理からデータ収集、モデル構築、アプリ実装までの流れを押さえることで、スムーズに進められます。チャットボットや画像分類など用途は幅広く、生成AIやノーコード開発ツールの普及により、開発のハードルは大きく下がっています。
開発を成功させるには、目的設定や小規模な検証を行い、必要なスキルを学びながら段階的に改善していくことが重要です。組織内でノウハウを共有しやすい仕組みを整えることで、AIアプリ開発の効果を最大化できるでしょう。
KDDIでは、専門知識がなくても業務に特化したAIアプリを簡単に作成できる「ELYZA Works with KDDI」をご提供しています。やりたいことを入力するだけで高品質なアプリを自動生成し、組織で共有可能。必要に応じて、ユースケース策定から精度向上まで伴走するカスタマーサクセス支援もご利用いただけます。
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